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amazonへのリンク 交流分析であなたが変わる!心の回復 6つの習慣へ

7万件の「命のメール相談」に応じてきた心療内科医が提唱する、究極の心の健康法。

解説

 うつ病をはじめとした精神疾患の患者数は近年大幅に増加しており、厚生労働省のデータによれば2011年で320万人を超えています。
 社会問題にもなっている“心の病気”。その大きな原因の一つがストレスです。しかし、私たちの日々の生活にはストレスの要因となるものが溢れかえっていて、完全に逃れることはできません。

 横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長で、心療内科医の山本晴義さんは、1973年に医師になって以来、毎日の診療や講演会、メール相談などを通して、労働者たちが生き生きと暮らすためのサポートの取り組みを進めてきました。
 特に2000年から始めた「勤労者メール相談」は、15年で7万件もの相談が寄せられてきたそうです。これは1日平均で約12件~13件になります。しかも、その内容はうつ病や自殺をほのめかす深刻な相談が大半を占めているそうです。
 どうして人は、追い詰められてしまうのでしょうか。

ストレスを溜めこんでしまう人はなかなか直らない?

 先にも述べたように、ストレスの要因はさまざまです。例えば「仕事のストレス」といっても、職場の人間関係や仕事の質と量、作業環境など多岐にわたります。最近では長時間のパソコン作業から精神面の不調に陥る人も増えているそうです。また、「仕事外のストレス」では、家庭内の不和、借金などのトラブル、健康問題などがあげられます。
 でも、うつ病になる人とならない人がいるのは確かです。それはどうしてなのでしょうか。

 山本さんはこう指摘します。仕事でストレスを溜めやすい人は、その仕事を辞めればストレスが溜まらなくなるだろうと考えがちです。しかし、そもそもストレスを溜めやすい性格をしているため、それを直さなければどんな仕事をしてもストレスを溜めてしまうことになります。
 大切なのはストレスに強い考え方であり、解消法であり、生活習慣をきちんと確立することなのです。

10年後も20年後も健康で働けるために

 山本さんは、「メールで相談する」という行為ですら不安で、相談を送るために何日も思い悩んでいる人は少なくないといいます。その中で勇気を出して送ってきてくれた――そんな相談者の気持ちを理解し、受け入れた上で返事を書くように心がけているそうです。

 山本さんの執筆した『心の回復 6つの習慣』(集英社/刊)は、ストレスとの向き合い方、「交流分析」の見地から自分を知る方法、心の回復法などを説明する一冊。
 「あとがき」にこんな質問があります。「65歳~70歳まで働くにはどうすればいいか」。もちろん、人脈やスキルといったものも大切です。しかし、大前提としてあるのが健康な体です。

 「うつ」は誰もがかかる可能性があります。だから、「無理をしている」と感じたら、本書などを参考にして自分自身の働き方を見直してはいかがでしょうか。それは、誰のためでもなく、10年後、20年後に理想的な自分でいるために大事なのです。

(新刊JP編集部)

目次

  • はじめに
  • 第1章 心が弱いから病気になるのではありません

    • お辛いご様子伝わってきます
    • 私が心療内科医になった理由
    • 「死にたいです」というメール
    • メール相談はこうして始まりました
    • ストレスはなぜ起きるのか
    • ストレスはどう解消すればいいのか
    • 大切なのは「気づき」と「セルフコントロール」
    • 心身症という病気はありません
    • うつと心の病気について
    • 心の病気、男と女の違い
    • 慢性のストレスとはどう向き合うのか
    • 傾聴は全ての心の病気に効きます
    • 「今」と「ここ」に集中する
  • 第2章 交流分析を使って自分自身を知る

    • 自分の性格を知るとストレスにうまく対処できる
    • エゴグラムの見方
    • CP(厳しい私)が高いタイプの人の特徴
    • NP(優しい私)が高いタイプの人の特徴
    • CP(厳しい私)も NP(優しい私)も低いタイプの人の場合
    • A(冷静な私)が高いタイプの人の特徴
    • FC(自由な私)を上げる方法
    • AC(順応した私)を上げる方法
    • 嫁姑問題、成田離婚の原因は?―家族編
    • 交流分析を使ってパワハラ上司に対応―仕事編①
    • NP(優しい私)が高い困った上司―仕事編②
    • 変えられないと思っていた性格を変えるよう努力する
    • 交流分析を使ってWIN-WINの人間関係を作る
    • 人間関係をよくする話し方―アサーション
    • あなたを消極的にさせているものの正体
    • 正しい「ノー」の伝え方
    • 怒りという感情をどうしたらいいか
    • 円滑にコミュニケーションを進めるために
    • 肯定的なストロークを増やす
    • 簡単に性格は変えられないが行動は変えられる
  • 第3章 回復のための6つの習慣

    • ストレスそのものをなくすことはできないが…
    • 働く人のストレスを軽くするには
    • 仕事のストレスを減らす4つの方法
    • 正しいストレス解消法を持つことの大切さ
    • 酒と薬と仕事に頼らない
    • 1日15分の運動習慣を
    • 旅は脳のリフレッシュ
    • 呼吸を意識していますか
    • 朝食をきちんと取る人はストレスが少ない
    • 食事を餌にしてはいけません
    • 2通りの支援者がいると心強い
    • おしゃべりは絶大な効果があります
    • 若い頃、親しんだ歌を歌いましょう
    • 早起きの習慣をつける
    • 表情筋がストレスを減らします
    • お酒はほんの軽く1杯まで
    • 番外編 CRY(泣く)
    • ギャンブルはストレス発散になるか
    • 週単位ではなく、1日単位でストレス決算
  • 心の回復実践ノート
  • おわりに

プロフィール

山本 晴義

1948年(昭和23年)東京生まれ。
現横浜労災病院勤労者メンタルヘルスセンター長。
埼玉学園大学客員教授。東北大学医学部卒業。当初は内科医としてスタート。その後、精神科、診療内科へと進む。
絶食療法や温泉療法などユニークな研究にも積極的に取り組んだ経験を持つ、メンタルヘルスの第一人者。
2000年より国の厚生事業の一環として勤労者メール相談を開始。
相談件数は7万件を超えた。診察、講演、執筆、メール相談を通じて健康な心のありかたを伝え続けている。
ストレス教室』『ドクター山本のメール相談事例集』他、著書多数。