ページトップへ

頭の回転が3倍速くなる!速読トレーニング

このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

解説

 デスクワークの人は心当りがあるはずだが、一日の仕事の中で、メールや資料など、「文書」に目を通す時間が実はかなり多い。
 しかも、ただ読めばいいわけではなく、どんな文書も基本的には内容を理解し、何らかのアウトプットが求められる。

 ならば、文書を読み込み、理解する時間を半分か3分の1に圧縮できれば、その分アウトプットのための時間も増え、仕事の生産性は上がるはずだし、仕事時間も短縮できるかもしれない。

 こうした考えから「速読」を身につけたいと思う人は昔から数多くいた。古くはJ.F.ケネディや司馬遼太郎、最近ではビル・ゲイツなども、速読の必要性を感じ、習得しようとしていたとされる。

圧倒的に読むスピードを上げる秘訣は

 本書の著者で、速読の講師として活躍している角田和将さんによると、速読を習得するための最大のポイントは、意識を「読む」から「見る」に切り替えることだという。

 文字を「読む」ことを意識すると、書かれている文章を一文字ずつ目で追ってしまう。ひたすら目を動かす速度を速くしていけば、この読み方でも速読できるのだろうが、2倍、3倍ともなると難しい。

 これに対して文字を「見る」という方法は、まったく別のアプローチを取る。
 文章を5~7文字単位で視界に入れ、どんどん前に読み進んでいく。慣れれば一度に10文字、15文字を一度に視野に入れられるようになるため、それに伴って飛躍的に文章を理解する速度は上がる。

速読で必要とされる二つの力

この方法で「速読」を身につけていくには、二つの力を鍛えることが重要になる。

  • 一度に多くの文字を視界に入れる「視野の広さ」
  • 視界に入れた文字を瞬時に理解する「理解力」

 である。
 角田さんによると、これらの力は日常生活の中で鍛えることができるそう。
 たとえば、「視野の広さ」は書店で本を探す時、棚の本を一冊一冊見て回るのではなく、棚全体を広く視野に入れて、自分の求めているものを探すことで身についていく。これは本に限らず探し物全般に応用できるはずだ。

 また、さらに速読力を鍛えていきたいという人に向けて、本書ではさまざまなトレーニングを紹介しているため、仕事の能力を上げたい人、あるいは残業続きの毎日をどうにかしたいという人は、「速読」がそれを実現してくれるかもしれない。

インタビュー

「速読に必要なのはイメージ力」読書の速度が3倍になる方法とは

 毎日読む新聞やネットのニュース記事、あるいは仕事のメールが、普段の3倍の速度で読めたらどうだろう。インプットの時間は減り、その分物事を深く考えたり、リフレッシュをしたり、休息に充てられる時間は増えるはずだ。そして、それは難しいことではない。

 特別な才能がなくても、文章を読むスピードは劇的に早くなる。その秘訣を『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』(総合法令出版刊)の著者で、速読日本一になった経験を持つ角田和将さんに聞いた

文章を「ブロック」で見ることが速読につながる

――『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』についてお話をうかがえればと思います。前作『1日が27時間になる! 速読ドリル』に続いて速読の「トレーニング」についての本になりますが、前作から改良されたポイントなどがありましたら教えていただければと思います。

角田和将さん写真

角田: 私が教えている速読の基本的な考え方は、「視野を幅広くとって、そのまま高速で動かしていく」というものです。ですから、それができるのであれば、トレーニングの方法は本を読む以外にも色々あります。前作ではこのことをお伝えしたくて、ドリル形式で速読のトレーニングになる問題を紹介したのですが、全部解いてしまったのでもっと他の問題を、という要望がすごく多かったんです。

今回の本も、速読についての基本的な考え方は変わっていませんが、こういうこともトレーニングになるんですよ、ということで前作とは違う種類の問題を入れるようにしました。

――角田さんが速読の本を出されるのは3冊目です。ご自身の速読についての考え方ですとかトレーニング方法が広がってきたという感覚はお持ちですか?

角田: 読者の方から、僕の本で読んだ速読法を実践しただけでかなり速くなったということはよく聞きますし、おかげさまで本もかなり売れたので、広がってきているとは思います。

――先ほどおっしゃったように、角田さんが提唱している速読の方法は、文字を5文字、7文字、10文字といったブロックで「イメージ」として捉え、それを高速で見ていくというものです。このためのトレーニングによって、読むのが速くなるだけでなく、頭の回転にもいい影響を与えると書かれていましたが、この理由はどんなところにあるのでしょうか。

角田: 高速で文字も見ていくということをやっていると、その速度に脳が徐々に慣れてきます。文字を見る速度に脳が適応しはじめて、見た文字を脳が理解する速度が追いついてくるんです。僕は「脳の可塑性」と言っているのですが、これを続けているうちに、脳の情報処理能力が上がっていきます。

書店で本を探すことも速読のトレーニングになる

角田和将さん写真

――トレーニングの内容が前作より充実しているように思いました。ただ、4章の「イメージトレーニング」などは、一見速読とはあまり関係がないように思えるのですが、速読にまつわるどんな能力が鍛えられるのでしょうか。

角田: 速読を身につけるには、文章を一文字ずつなぞり読んでいくのではなく、文章を見た時に瞬間的にイメージとして認識する力が必要です。
イメージする力というのは、脳の部位でいうと右脳がつかさどっているのですが、4章のイメージトレーニングをすることで、その力を引き出して、目に入った文章をイメージで認識する能力を高めることができます。

――5章の「認識トレーニング」は一列の中に、指定された文字があるかどうかを瞬間的に探していくトレーニングですが、視野を広げるのに非常に有効だと思いました。これは前作にはなかったトレーニングですよね。

角田: そうですね。一列の中をひとつひとつ探してしまうと時間が足りなくなってしまうので、列全体を一度に視野にいれないといけません。

このトレーニングはやや難しめなので、前作には入れなかったんですよ。今回の方が全体的に難易度は高いと思います。

――視野を広げていくために日常的にできるトレーニングはありますか?

角田: これは結局、トレーニングとして何をするかということよりも、意識するかどうかなんですよね。「視野を広げる」ということを難しく考えてしまう方が多いのですが、「幅広く見る」ことを常日頃から心がけていれば、徐々に視野は広がっていくはずです。
今の自分の視野が7文字分だったとして、次は9文字一度に見られるように心がけるのとそうでないのではその後の伸び方はやはり違ってきます。

――本書の中でも書かれていましたが、書店で本を探すというのはいいトレーニングだと思いました。棚の本を一冊ずつ見ていくのではなく、棚全体を視野に収めて探すというのは、角田さんの速読法と重なります。

角田: これは僕自身、周りの人に言われて気づいたんですよね。一緒に書店に行った人が言うには、僕は書店の棚から探している本を見つけるのがすごく速いのだそうです。
意識はしていなかったのですが、そう言われて考えてみると、確かに棚全体を一度に視界に入れて探していました。

――視野を広げるにあたって、目と本や書類との距離も関係するのでしょうか。ある程度距離をとった方が視野は広くとれます。

角田: 目と本の距離が近いほど視野を広く取るのは難しくなるので、トレーニングの意味では近づけてみるのがいいと思います。実生活で素早く本を読みたい時は、ある程度距離を保った方が見やすくはなるでしょうね。ただ、視力の問題もありますから、一概に距離をとればいいともいえません。

たとえば、電子書籍だと文字の大きさを自分の好みに合わせて変えることができますが、小さくすればするほど、視野に入れられる文字の数は多くなる一方で、やはり見えづらくもなりますから、速読を覚えるうえでは障害になる「なぞり読み」になりやすいんです

ついやりがち! 本を読むのが遅い人に特有の悪癖

 溢れ返る情報を取捨選択し、必要なものは取り入れ、不要なら切り捨てる。この処理能力は現代に生きる者としては必須だろう。
 しかし、情報処理はある種事務作業のようなもの。そればかりやっていては生産性は上がらないし、自分のやりたいことをやる時間も限られてしまう。

 だからこそ、文章を素早く読むスキルが求められる。通常の2倍から3倍の速度で読めるようになるという速読術のキモを、『頭の回転が3倍速くなる! 速読トレーニング』(総合法令出版刊)の著者で、速読日本一の経験を持つ角田和将さんに聞いた。

「まずは素直にやってみる」が成長のポイント

――「なぞり読み」のお話が出ましたが、角田さんの速読法の最大のカギは、「なぞり読み」から「文字のかたまりをイメージとして捉える」へ、いかに意識を変えていくかだといえます。

角田和将さん写真

角田: 「なぞり読み」の癖がついてしまっているなら、それはもう受け入れて矯正していくしかありません。
誤解しないでいただきたいのは、速読のトレーニングをしたからといって、じっくり本を味わうことができなくなるわけではないということです。小説など丁寧に読みたい本ならば、「なぞり読み」で丁寧に読めばいい。どちらかを身につけるとどちらかができなくなるといったことではないんです。

――速読のトレーニングをすることによって、読むのが劇的に速くなる人もいれば、そこまで速くならない人もいるかと思います。両者にはどんな違いがあるのでしょうか。

角田: 僕が感じるのは、教えたことを素直にやるかどうかが一番大きな違いだと思います。
僕の速読教室に来ないでも、僕が本で書いたことを実践するだけでどんどん速読を身につけてしまう要領のいい人がいるんですけど、そういう人はみんな純粋というか、本に書いてあることを疑わずに素直に実践できる人です。そのうえで思いついたことがあれば、自分なりに試してみる。こういう人は上達が早いですね。
本音を言えば、もっと高いところを目指して教室にも通ってほしいのですが(笑)。

――角田さんは本書のなかで「速読力」を「人生の基礎体力」だとしています。この理由についてもお聞きしたいです。

角田: 僕が教えている速読のトレーニングでは右脳を活性化するというお話をしましたが、右脳というのは「気まぐれ脳」と呼ばれるとともに「ポジティブ脳」とも呼ばれます。
なぜこんな呼び名なついているかというと、疲れていたり、嫌だと感じていたりといった状況下ではあまり働かないんですよ。反対に、「楽しい」「おもしろい」「これをやりたい」と感じた時ほど活発に働きます。そうなると、脳の働きに行動力がついてくるようになるんですよ。「これをやりたい」と思ったことに対して、実際に体が動くようになってくる。

そして、やりたいことに対して行動を起こせるようになれば、問題点も見えてきますし、課題もわかります。トライ&エラーを繰り返しながら、行きたい方向に近づいていくプロセスに入っていけるわけです。

速読というのは文章を素早く見て理解する力なのですが、それを鍛えることが自分の生きたいような人生を生きることにつながっていくのだと僕は考えています。

――最後になりますが、速読を身につけることによって人生がどう変わっていくかということについて教えていただければと思います。

角田: 情報化社会だとされる現代において、素早く情報処理する力は必須で、身につけておかないと自分のところに入ってくる情報量に追いつけなくなってしまいますし、情報処理にばかり時間を取られてしまいます。これではやりたいことがあってもなかなかできないですよね。

でも、速読というスキルを身につけることで普通なら1時間かけて読む本を20分で読めるようになれば、40分時間ができるわけで、それは自分のために使うことができます。

お金を稼ぐにしても、勉強をするにしても、どんなことをするにも必要なのは時間で、これが確保できないと、結果的に何もできない自分になってしまう。だから、「時間を生み出すこと」が何をするにしても始まりになります。「速読=文章を速く読むこと」というだけでなく、人生を変える可能性があるものです。そんなに難しいスキルでもないですし、身につけておいて損はないはずなので、ぜひこの本をよんでチャレンジしてみていただきたいですね。

(新刊JP編集部)

目次

  1. 第一章 速読で、時間の「質」と「量」が変わる!

    1. 速読を身につけると、こんなにいいことがある!
    2. 「速読ができるようになる」とは?
    3. 速読トレーニングの本当の活用方法
    4. 速読トレーニングの原理原則
    5. 速読には右脳の働きが欠かせない
    6. 速読をする目的を明確にしよう
  2. 第二章 間違い探しトレーニング(文字編)

    1. やり方と注意点
  3. 第三章 間違い探しトレーニング(イメージ編)

    1. やり方と注意点
  4. 第四章 イメージトレーニング(文字 ⇔ イメージ)

    1. やり方と注意点
  5. 第五章 認識トレーニング(数字編)

    1. やり方と注意点
  6. 第六章 視野拡大トレーニング

    1. やり方と注意点
  7. 第七章 文章作成トレーニング

    1. やり方と注意点
  8. 第八章 一問一答・思い出しトレーニング

    1. やり方と注意点
  9. 第九章 速読トレーニングで、 頭の回転を3倍速くする!

    1. 速読トレーニングで頭の回転を加速させる
    2. 書店でも速読トレーニングはできる!
    3. 速く読んで理解力も高めるには
    4. 無理せず続けられる方法だけを続ける
    5. 速読トレーニングは人生の基礎能力を鍛えてくれる
    6. おわりに

プロフィール

角田和将さん写真

角田和将

1978年生まれ。Exイントレ協会代表理事。
高校時代、国語の偏差値はどんなにがんばっても40台。本を読むことが嫌いだったが、借金を返済するため投資の勉強をはじめる。 そこで500ページを超える課題図書を読まざるを得ない状況になり、速読をスタート。
開始から6ヶ月後に日本速脳速読協会主催の読書速度認定試験で、1分間約1万文字の認定を受ける。
8ヶ月目には同協会主催の速読甲子園で準優勝、翌月に開催された特別優秀者決定戦で速読甲子園優勝者を下し、約2万人中1位の日本一となる。その後、独立。
速読を通じて時間の量と質を変えることの大切さを教えるため、国内外を飛び回っている。
これまでに指導した生徒は1000名超。「1日で16冊読めるようになった」「半年間で500冊もの本を読んだ」など、ワンランク上の速読を目指しつつ、挫折しない、高い再現性を実現する指導を行なっている。
投資においても、1000名の受講生に対して、独自の理論に基づく速読理論と経験を踏まえた指導を行ない、月収数十万円~数百万円の利益を上げるトレーダーを多数輩出している。 著書に、『速読日本一が教える1日10分速読トレーニング』(日本能率協会マネジメントセンター)、10万部を突破した『1日が27時間になる! 速読ドリル』(総合法令出版)がある。