PROFILE
著者プロフィール

松本青郎

まつもとしげお
著者イラスト
スターウォーズで悟った人
幼少のころより心身ともに虚弱で会話も下手で協調性がなく性格も悪く人間関係はトラブルを起こすため転職すること11社、究極の悲観主義者だった男が会社を経営する運命をたどる。毎日が不安と恐怖にさいなまれる中、「救われたい」との一心で始めた心理学、自己啓発セミナー、成功哲学、引き寄せの法則など、精神修養にかけた費用は2千万円に。必死で学び実践し、建築不況下に工務店経営をはじめ14年間、年商2-3億円の黒字無借金経営に成功する。
社会的・金銭面での成功を手に入れるも、経営における人間関係面での問題をかかえ躁鬱をジェットコースターのように繰り返す。そんな中、学生時代から大好きだった映画「スターウォーズ」は人生の真理が描かれていることに気づく。
そして人生のバイブルとして、何度も観返し、その教えを活用することで、自分が求め続けた幸せは、社会的・金銭的成功の中にないと気づき、悟りの境地を得る。すると、面白いように数多の苦難を乗り越えることができるようになる。
現在は、ライフワークとして過去の自分と同じ呪縛に苦しんでいる人たちを解放すべく、スターウォーズで悟った教えを日々、面白くわかりやすく伝道している。

松本青郎公式ブログ

CONTENTS
目次

  1. プロローグ
    スターウォーズは悟りの教科書
  2. 第1章
    スターウォーズは、家族の愛の物語
    人生はストーリーのあるドラマ?あなた専用の体感型アトラクション
  1. 第2章
    スターウォーズは、悟りの視点の物語
    人生という体感型動画をどう観るのか?

INTERVIEW
著者インタビュー

最近、見かけることが多くなった「自己肯定感」という言葉。これは、自分の「良いところも悪いところもひっくるめて肯定する感覚」のことを指す。

しかし、実際は自分と他人とを比べて「あれが足りない、これが足りない」と悩むのが人間というもの。どうすれば自分を丸ごと肯定できるようになるのだろうか。

この点について詳しく書かれている『スターウォーズは悟りの教科書 Star Wars is The Bible of Enlightenment』(ヒカルランド刊)の著者、松本青郎さんにお話を聞いた。

― まずは本書の執筆経緯を教えていただけますか。

松本:
きっかけは、3年前に突然、全身に蕁麻疹と高熱が出て3週間ほど動けなくなってしまったことでした。経営の傾いていた父の会社を引き継ぎ、注文住宅を建てたり、リフォームを請け負ったりして11年が経とうとしていた頃のことです。その年は、過去最高の業績を達成することができました。なのに体は悲鳴をあげたのです。
蕁麻疹は自分の免疫が自分を攻撃してしまった結果引き起こされる炎症ですから、原因は精神の失調にあるのではと直感しました。
そこで、部屋にあった書籍を読み漁り、自分と向き合い続けているうちに、私は「本当の自分の人生を生きてこなかった」ことに気づき、それこそが蕁麻疹の原因なのだと突き止めたのです。
それ以来、「本当の自分」を探究するようになり、以前は見て見ぬふりをしてきた感情に向き合うことで、本当の自分がやりたいことを見つけることができました。
その「本当の自分がしたいこと」の手始めが、本の執筆作業だったわけです。

― 「本当の自分がやりたいこと」とは、具体的にどのようなことだったのでしょう。

松本:
「世界中の子供達がありのままの自分を受け入れ、やりたいことをできる世界を創る」ことです。そうすれば比較のない世界になり、平和が訪れます。そこで、まず大人たちに求められることは、ありのままの自分を認め、自分を愛することです。このような理想を実現するためにセミナーや講演、コンサルティングなどの活動をしていきたいと思います。

― なぜ、そのような活動をしたいと思うようになったのでしょうか。

松本:
私は幼少期に両親から期待と心配という形で愛情を受け続けました。幼いころから「お前は後継ぎだ、社長になるんだ」「三代目は会社を潰すというが、二代目のお前は大丈夫か?」「会社を潰すバカ社長になるなよ」といつも脅迫めいた形で言われ続けて育ったんです。
両親は私に標準以上の能力を望んでいましたが、私は同年代の子たちと比べて、体力がなく、コミュニケーションも苦手で、「読み・書き・そろばん」も人より遅れをとっていました。正式な診断は受けていないので何とも言えませんが、いま思えば、自分はADHD(注意欠如多動性障害)やアスペルガー症候群に近い雰囲気の子どもでした。
両親は私を愛していたがゆえに、期待と裏腹に失望は大きく、深い悲しみと私の将来を憂う不安は怒りとなり、余計に私を激しく非難する悪循環を繰り返しました。そして私は、両親に喜んでもらいたいという思いから、自分を責め、否定し続けてきたのです。
先の蕁麻疹と高熱で、自分に向き合った時に、それまで「もっと成功しなければならない」と自分を脅迫し続けてきたことや、両親を喜ばすために両親の目標を自分の目標だと勘違いして生きてきたということに気づいたのです。
動けなくなってしまったのは、その時の業績を知った父親が私に「お前の方が経営者として上だ」と言ったために、それまで私を突き動かす原動力となっていた脅迫観念が昇華し消失したからでしょう。おかげで、それまでの疲労が吹き出し「燃え尽き症候群」のような状態になってしまったのです。
このような経緯で、自分がかつて味わったような「愛の行き違い」がない世界にしたいと思ったのです。

― そのような原体験があるからこそ、かつての自分と同じ思いをする子どもが出ないよう、啓蒙活動をしていきたいということなのでしょうか。

松本:
そうです。私が不器用だったのと同じくらい、父も教育に対して不器用でした。わが子に大きな期待を寄せていた分、「できないことだらけ」の現実を前にして、よほど悔しかったといいますか、悲しくもあり腹立たしかったのでしょう。私が何か「できないこと」に直面するたび、「お前はダメな人間なんだから、もっとがんばらなきゃいけない」と叱責し続けました。
たとえば子どものころ、こんなことがありました。ある日、父と公園でキャッチボールをすることになったのですが、いざ始めようと父のほうを見ると、手に持っていたのはソフトボールの三号球。通常の軟式野球ボールの倍はあろうかという大きさですから、当然、小学生だった私の小さな手にはおさまりません。それでもがんばって、砲丸投げのようにして投げたのですが、スナップもきかないしスピードも出ない。で、父は「どうして、こんなこともできないんだ」と怒りだしました。

― 子どもとしては、それは辛い体験ですね。

松本:
子ども時代は、こういうことの連続でした。当時は辛さしか感じませんでしたね。でも、だからこそ今はこう思います。かつて父が私に対してしたことの逆、つまり、親がわが子を他の子と比較して「あれが足りない、これが足りない」と欠点を指摘するのではなく「そのまま」を受け入れることが、子どもの人生に与える影響は計り知れないな、と。
親がそのように接することで、子どもは親から愛されていると感じることができますし、その結果「自分は愛されるに値する人間なんだ」と思えるようになります。そうして自分で自分を認めることができれば、自然とまわりの人のことを認めることもできるようになります。

― ちなみに松本さん自身、そのような体験を乗り越え、自分で自分を認められるようになったきっかけは、どのようなものだったのでしょう?

松本:
仕事で出会った、ある先輩から言われたひと言が大きかったですね。当時、私は駆け出しでまったく仕事ができなかったのですが、そんな私を見てその先輩は「お前は可哀想なやつだな」と言ったんです。
「仕事ができないのは、お前が悪いからじゃない。親がそういうふうに育てたからだ。可哀想なやつだ」と。傍から見れば、なんでもない言葉に見えるかもしれませんが、私からすれば目から鱗。「うまくいかないのは全部自分が悪いんだ」という思い込みから自由になれたんです。
そのことによって「出来る自分でなければならない」という感情を手放すことができ、精神的にものすごくラクになれたんです。その頃から、自分が何者かを知るために心理学に興味を持つようになりました。

― 松本さんがお父様の会社を継いだのは何年ごろですか。

松本:
2001年ですね。そのときすでに父の会社で働き始めて2年が経っていたのですが、自分が社長になってからはそれまでと比べものにならないくらいのプレッシャーを感じるようになりました。そこからまた苦悩の段階が上がった人生の始まりです。
この苦しみから救われたいと思い、とある成功哲学を学ぶためのセミナーに参加するようになり、最終的に2,000万円ほどのお金を使いました。

― 本書のなかでは随所に心理学の知見が紹介されていますが、セミナーで心理学を学び始めたのもそのころですか。

松本:
そうです。セミナーに参加し出したのは、会社を継いで5年ほど経ったころからですかね。「NLP(神経言語プログラミング)」について学ぶうちに、「自分の物の見方次第で、この世は地獄にもなれば天国にもなる」ということが分かったんです。NLPについての詳しい説明は割愛しますが、NLPを通して「今、目の前で起きている現実 」と「その時、自分のなかで湧きあがっている思考と感情」とを切り離すことの重要性に気づくことができた。ひと言でいえば、自分がこれまで無意識のうちにとらわれていた思い込み等から自由になるための方法を体得できたんです。

― そういえば、本書の表紙にも書かれていましたが、『スター・ウォーズ』にも“Your focus determines your realty.”(君のものの見方が、君の真実を決定づけるんだ)というセリフが出てきますね。

松本:
はい、この一言が象徴的ですが、『スター・ウォーズ』は「現代人に与えられた愛と真理の書」と言っても過言ではないほど、示唆に溢れた作品だと思っています。たとえば、この作品に出てくる「ライトサイド/ダークサイド」という概念はそのまま実人生に当てはめることができます。

― それはどういうことですか。

松本:
まず、ライトサイドとは「ありのままの自己を肯定し、楽しい、ワクワクする、気持ちいいなどの感情によって行動すること」を、ダークサイドとは「自己否定から逃れるために、恐れ、不安、悲しみから来る怒りなどを原動力に行動すること」を指します。
結論から言ってしまえば、本作の主人公の一人、愛情深かったアナキン・スカイウォーカーは「自己否定から来る恐れ」に支配されてしまったがためにダークサイドに堕ち、ダース・ベイダーへと化してしまったのです。
初めは世の中を良くしたい、人々を幸せにしたいと志ながらも、何かのきっかけによりダークサイドに堕ちて悪いことをしてしまう。これは現実世界においても、よくあることですね。
たとえば、新興宗教の教祖はこの点を実に巧みに使います。まず心優しく罪悪感の強い若者を自分のところに集め、彼らのことを褒めて肯定します。でも、信頼を得ると一転、今度はその若者たちの将来を心配するかのような感じで叱るのです。こうすることで自己を否定している若者たちは「自分のことをこんなにも真剣に考えてくれているんだ」と錯覚を起こす。ここまで来れば、強い承認欲求を持つ者同士の集団のできあがりです。心に隙間があるとダークサイドが忍び寄ってくるのです。

― 本書での「なぜアナキン・スカイウォーカーは、ダース・ベイダーになってしまったのか」をめぐっての松本さんの解釈は、とても興味深く感じました。

松本:
アナキンの師匠である、オビ=ワン・ケノービはアナキンを実の子・弟のように想っていました。アナキンもオビ=ワンを実の父のように慕っていました。また、将来を不安視されながら幼少期を過ごした天才アナキンは、周りへの強い承認欲求を持っていた。とりわけオビ=ワンへの認められたいという欲求は大きいものでした。スタンドプレーでいいところをアピールするアナキン。その心の叫びに気づくことができなかったオビ=ワンは、アナキンを傲慢と捉えて不安視します。
アナキンを愛するがゆえにオビ=ワンは事あるごとに、「ジェダイのルールを守れ」と、「正しさ」を押しつけました。そして、その過程でアナキンも正しくあろうと努力しながらも、徐々に「認められない自分」に対しての不安、そこから来る怒りを募らせていった。結果、アナキンはオビ=ワンが思う正義とは逆の世界へ行ってしまったわけです。
作者はこのエピソードを通して、「社会が個人に対して“正しさ”を押しつけるのは簡単だけれど、人間、楽しくなければ生きていけないのでは?」という問題提起をしているようにも受け取れます。
その意味で、子どもが自分を否定して、怒りや悲しみを抱くダークサイドに振れるのか、それとも、自分を認め、心の底から「生んでくれて、育ててくれて、ありがとう」と思いライトサイドに生きるのかは、親の関わり方しだいと言えるのではないでしょうか。

著者近影

― 最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

松本:
大げさな話に聞こえるかもしれませんが、皆さんひとり一人が「ありのままの自分」を認めることができれば、それは必ず世界平和につながると私は考えています。なぜなら、出来ることも出来ないこともある自分を、ありのまま認めることができれば、周囲の人を批判したり、比較する必要そのものがなくなるからです。結果として、争いごとはなくなるでしょう。
なので、自分を許せない人、ありのままの自分を認められない人、人生が思い通りにいかないなあと感じている人、そしてこれからお子さんを育てる親御さん……何よりも自分が幸せになりたい方にぜひ本書を手に取っていただき、日々楽しく過ごしていただけたらと思います。
(了)