自分の声があまり好きじゃない、もう少しはっきりとしゃべられたらいいのに、普段からそう思っている人は少なくないでしょう。自分の声に自信をつけるためには、正しい発声方法を身につけることが大事です。
ヴォイスアップコーチとして活躍する宮川晴代さんは著書『どんな人でも好感度アップ!の声の魔法』(青春出版社/刊)でよく通る声になる、滑舌がよくなるための方法を伝授します。
今回は宮川さんにインタビューを行い、書籍を元に正しい発声方法や滑舌改善法についてお聞きしてきました。
■信頼される話し方をするための発声方法とは
―まず、正しい発声を身につけることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
「これは聞く側と話す側、双方にメリットが生まれます。聞く側、つまり相手側のメリットは3点あって、まずは声を聞き取りやすいということ。だからもっと話を聞きたくなります。次に内容が理解しやすい点。そして最後に好感を持ちやすくなるという部分です。例えばビジネスの場で、初めて会った人の声のトーンで仕事ができそうかどうか判断することはないですか? すごく意志が強そうに聞こえたり。そういった意味で、印象を左右する部分はあるんですよね」
―確かにそうですね。重要な部分です。
「一方、話す側、つまり自分のメリットは自信がつくという点ですよね。自分の出す声に自信が持てるので、話の内容にも自然と説得力がついてきます」
―自信がないという印象を受けてしまう話し方をしてしまう人は、発声の部分で何がいけないのでしょうか。
「声自体が弱々しいところ、そして語尾が消えてしまうところですね。『あれ?いいのかな』という印象を受けてしまいます」
―以前、当時の総理大臣だった小泉純一郎さんが、同じく当時横綱だった貴乃花が優勝した際に贈った「感動した!」という言葉が話題になりましたが、非常に語尾が強く、歯切れの良い発音でした。語尾の印象につられて言葉自体も強く感じましたが、やはり重要な部分なんですね。
「そうですね。小泉元総理はワンフレーズで歯切れよく発声していましたが、そこから強い意志を持っているというイメージが持たれていましたよね。これはリーダーシップを執るための一つのしゃべりの手法で、語尾までしっかり発音すると相手に納得感や安心感を与えやすくなると思います」
―例えば今、就職活動をしている学生さんの中には面接などに進んでいる人もいると思いますが、納得感や安心感を与える話し方のほうが好感を得られるかも知れませんね。
「そうですよね。また、この本を読んでいただくと分かると思うのですが、私のヴォイスアップはヨガの呼吸法を元にしていますから、姿勢も自然に矯正されます。だから、健康になることができるんですよ。それに交感神経と副交感神経は呼吸で調整できるので、正しい腹式呼吸を身につけることで自律神経も整ってきます。 また、質の良い酸素が入ってくるので、血液中の酸素の循環も良くなります。よくストレスから過呼吸になってしまう人がいらっしゃいますが、息がしっかり吐けていないとそうなってしまうんですよね。深呼吸をすると落ち着くとよくいいますが、緊張してしまうと呼吸が乱れてしまうんですね。そこで、腹式呼吸でお腹から呼吸していると自然と乱れずに、冷静でいられることができるようになるんですよ」
―では、正しい発音を身につける上で最初にすべきことは何でしょうか。
「私の場合は呼吸を変えることから始めるのを勧めています。腹式呼吸ですね。呼吸そのものが浅いままですと、声量もあまり変わらないし、ぼそぼそしてしまうのは治りません」
―本書では腹式呼吸をはじめ、ヨガ式呼吸などが紹介されていますが、やはり全ての基礎は腹式呼吸だと思います。でも、なかなか出来ないんですよね…。
「そうですよね。ちゃんとしたトレーニングを受けていない人の多くは『こんなでいいのかな?』と思いながらやっているのではないでしょうか。腹式呼吸に適した身体もあって、この本の中に『VOICE』という言葉をかたどった呼吸法のワークがあるのですが、それは身体の筋肉をほぐすためのワークなんです。だから呼吸に携わる筋肉、いわゆる呼吸筋をゆるめていくことから始めるのがいいと思います。 実は寝ているときは誰でも腹式呼吸しているんですよ。だからできるはずなんですが、意識すると難しいですよね」
■短時間で出来る滑舌改善術とは
―本書でも書かれていますが、腹式呼吸法を身につける上ではお腹に息を入れることが大事ですよね。お腹に息を入れるところまではつかんでいるけれど、その先、その息をどう使って発声するのかというところが分からないんです。
「お腹から声を出す感覚をつかむためには、発声ができるような広いところに行って声を出すのが一番ですね。そのとき、遠くの人に声を届けるようにして出すんです。そして、ここで2つの出し方があります。頭の上から声を出すものと、腹の下から声を出すもの。歌の場合は上から発声することもありますが、多くは下から声を出すことに意識するといいと思います」
―下から声を出すということは、力を下に向けて声を出すということですか?
「まずは、息を吐くときに、足の裏にホースがついていてそこから水が出る感じで吐くんです。声を地面に響かせる感じですね。そして次の段階は、今度は頭と足から力をお腹の部分にぶつけて、丹田から前に出るような感じで話します。これを文章で説明するのは難しいですね…(笑)」
―では、滑舌が悪いことに悩んでいる方も多いと思いますが、そうした人はどのようにしたら上手く話せるようになるのでしょうか。
「まず、どうして滑舌が悪いのかというと、端的に言えば我流の発声法で話しているからです。また、ほかにも口の開きが小さいことも特徴的ですね。日本語ってあまり口を開かなくてもしゃべれますが、音の通りはどうしても悪くなってしまいます。だから、『あ』という言葉を発声するときは、指を2本立てて入れるくらいの大きさまで口を開くといいですね」
―例えば、これから1時間後に就職活動の面接がある、と。その1時間くらいでちょっと滑舌を良くしたいと思ったときにすぐできる改善方法はありますか?
「あります。本書にも書かせていただきましたが、『表情筋ワーク』というのがそれです。顔の筋肉を動かしたり、舌を動かすものなんですが、これだけで顔の筋肉がほぐれますよ。舌も筋肉ですから、いつも同じ動きしかしていないと凝っちゃうんです。そういうときに舌をまんべんなく動かすと、動きが良くなって結構印象が変わります。始まる前にお手洗いに行ってやってみると良いと思います。穏やかな表情も自然に出るようになりますよ。」
―呼吸や発声以外の部分で、自分の声に説得力を持たせる方法はありますか?
「一番大きいのは身振り手振りですね。ゆっくりと身体を大きく動かしたり、手もやはり大きく動かす。また、視線はキョロキョロしないほうが良いです(笑)。緊張しているんだろうなと思うかも知れませんが、やはり落ち着きがない印象を与えがちですよね」
―この『どんな人でも好感度アップ!の声の魔法』ですが、どのような方に読んで欲しいと思いますか?
「自分の声に自信が持てない方、声の通りを良くしたい、声で損してしまっているなあと思っている人ですね。中身がしっかりしていても、表現の部分で損をしてしまっている人は多いと思いますよ。 また、人前で話す機会が多い人、職業でいえば講師の方をはじめ、学生さん、営業さん、電話オペレーターの方、さらには医師の方や看護師さん、教育関係に従事する方にも役立つはずです」
―では最後に、このインタビューの読者の皆様にメッセージをお願いします
「声は、自分に自信を持つことや、人間関係を豊かにする上で非常に大切です。人とのつながりが生まれれば、仕事だけでなくプライベートにも良い作用が生まれてきます。声を磨くことは人生磨きにもつながるので、是非、最初の一歩としてヴォイスアップを始めてもらえれば嬉しいですね。たくさんの気づきがあるはずです」
―ありがとうございました!
■宮川晴代さんセミナー情報
「実践!どんな人でも好感度アップ!の声の魔法」1Dayセミナー
【6名様限定 無料特典あり】
【開催日】2012年3月25日(日) 10:00~16:45 ←受付中
【会場】新宿区内 ※詳細はお申し込み後にご連絡いたします
【参加人数】6名様限定(残席3名)
※少人数で、お一人お一人丁寧にレッスンさせていただきます。 お早めにお申し込みください。
【参加費】36,000円
収益の一部を「あしなが育英会」を通じて震災孤児に寄付します。
【詳細・参加方法】 http://www.voiceup-coach.com/index.html
「ヴォイスアップ会 in 清澄庭園」プチ豪華ランチつき
【開催日】2012年4月14日(土) 10:00~12:30 ←受付中
【会場】清澄庭園内 涼亭
【参加人数】12名様限定
※ 東京とは思えない自然の中をみながら、畳の上でリラックスしながら 行います。
本書にある声レッスンの基礎の快声呼吸法・足指ワークを実施。
緊張を自分で解きたい人・疲労回復させる方法も体得できます。
【参加費】8,400円
収益の一部を「あしなが育英会」を通じて震災孤児に寄付します。
【詳細・参加方法】 http://www.voiceup-coach.com/index.html
ヴォイスアップコーチ。OFFICE M 代表。早稲田大学卒業 「声には価値観と思考のクセが出るが、そのクセは必ず直せる!」という信念のもと、毎月、ビジネスマンや経営者を対象にした「ヴォイスアップセミナー」を定期開催している。心理学・音声学・言語学をベースに、人間が本来もっている呼吸力や五感を活かした独自の「快声法」を開発。「響く声が出るようになった」「アガらなくなった」「仕事がとれる声になった」など、セミナー参加者の98%から改善効果が報告されている。 経営者には「成功する声作り」「声からブランディング」などの個人レッスンを、企業では「売れる営業マンの話し方」「お客様と信頼関係を築く声」をテーマにした研修を行う。ヴァイオリンの最高峰ストラディバリウスと同じ周波数で、脳波にα波が現れる1/fゆらぎ成分を含む「癒しの声」を持つ。これまでの司会実績は約20年。企業の式典・シンポジウム・講演会ほか1000人規模のイベント司会も多数こなし、ビジネス界でも世界的な伝説の投資家ジム・ロジャースの来日講演会で、指名を受け2度の司会を務める。ミッションは「声から人がつながる社会を創る」。