
逆境から生まれたチーム
単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: ダイヤモンド社 (2012/4/6)
ISBN-10: 4478015929
ISBN-13: 978-4478015926
発売日: 2012/4/6
商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 1.8 cm
■「現実は想像よりも生々しいものであり、厳しいもの」
―この本はジャンルとしてはビジネス書の棚に入るのかも知れませんが、ノンフィクションやドキュメンタリーのような、最後までノンストップで読み切れてしまう面白さがありました。また、その中にはここまでさらけ出して良いのかと思うくらいの内部事情といいますか、非常にリアルな内容が書かれていて驚きでした。
「ありがとうございます。ベンチャー企業を創業することや、そこで働いている人たちのこと、新たなことに挑戦すること、そして逆境と向き合うことをリアルに書きたいという思いはありました。創業からの7年間を振り返った本ですが、弊社は失敗続きで多くの方にご迷惑おかけしてきましたし、だからこそ、書ける世界観があると思っていたんです」
―こうした会社の失敗した部分をリアルに書くというのは、勇気がいることだと思います。
「良い部分だけを書くことはもちろんできます。ただ、この本で書きたかったことは、挑戦することや逆境を乗り越えることでした。現実は想像よりも生々しいものですし、厳しいものです。だから、自分たちを飾って書くのではなく、悪い部分や厳しい部分も含めて読んで欲しいと思っていましたね」
―飾らないで書いているというところは、すごく感じました。この本を書いているとき、書くべきかどうか悩んだ部分もあったのではないでしょうか。例えば、合併買収のくだりは内容がかなりきわどいですよね。
「きわどいですね」
―でも、ああした事件はベンチャー企業のリアルな部分であり、企業の成長のためのドラマだと思うんですね。
「もちろん書くにあたっては極力、配慮しているつもりです。私の中では、やはりあの事件は私の責任で起きたものだと思っています。だから、どう自分と向き合ったかを書きたいと思っていましたし、相手の方々の責任にしたいとは全く思っていません。自分たちの責任であるというのは真実だと思っていますし、それがちゃんと伝えられるように描写にはかなり気をつけました」
―創業7年目での書籍の出版となりますが、このタイミングを選んだ理由は?
「私たちのような倒産危機から立ち直っただけで、何か特別なことを成し遂げたわけじゃない企業が書籍を出すこと自体おこがましいと思っています。でも、一つの大きな壁を乗り越えたという節目であったこと、また、同じように逆境にいる人たちに対して少しでも想いが届けられればと思ったのがきっかけですね。また、11年3月に起こった震災の影響もあります。日本を支えていこうと思っている人たちに対しても、メッセージを届けたくて執筆に至りました」
―この本を書き上げるまでにどのくらいの期間かかりましたか?
「だいたい半年くらいですね。私自身も仕事をしながらだったので、筆は遅かったと思います」
―小島さんの幼馴染みでもあり、創業以来、ビジネスを共にしてきた吉岡さんにも、執筆のときにご協力いただいたのでしょうか。
「そうですね。吉岡にも協力してもらって、内容の部分にも手を入れてもらいました。だから、彼は著者に近い存在だと思います」
―創業者という存在は、会社を0から立ち上げて成長させていったという存在です。本書ではそうした部分で創業者と途中から入社してきた従業員との意識の差、ギャップで苦しむ描写もありました。今、小島さんはそのギャップをどう捉えているのかお聞きしたいのですが…。
「ギャップは当然あるものですし、起こるものだと思いますが、いずれにしても結局は向き合うしかありません。例えば一緒にやってきた人でも方向性がずれることがありますし、途中から加わる人にも違う方向性に行ってしまうこともあります。だから、どんな思いで会社を経営してきたのか、理念、価値観、ビジョンをすり合わせは大切ですし、大きな軸をつくることは大事だなと思いますね。一緒に輝かしい未来を見るために、意見の衝突を恐れずにお互い向かい合うことでしょうか」
―今、ウィルゲートではそうしたギャップを埋めるために、どのように従業員に働きかけをしているのでしょうか。
「制度面でいうと、理念ですとか“WinG”という価値観、行動指針を評価制度に紐付けたりしていますね。また、人として、どう組織の理念と向き合ってきたか、その評価面談もやっています。また、毎週役員からメールを送信し、理念に対する想いを発信していますし、そのメールをもとに朝会にて社全体で考えるということをしています。ただ発信するだけでなく、従業員が何を考えているのかをアウトプットしてもらい、そのすり合わせを行うようにしていますね」
―経営者と従業員が何を考えているのか、そのすり合わせをしないと組織は一枚岩にはなりませんよね。
「そうなんですよね。でも、これまでの中には自分の考えが合っているのか迷っていた時期もありました。そのため多くの方に迷惑をかけてしまったという強い意識があるので、今では企業として絶対に外してはいけない価値観、考え方は貫くようにしています」
■経営者にとって「若さ」はマイナス?
―また、本書を通じて感じたのが、専務取締役である吉岡諒さんの存在の大きさです。
「そうですね、すごく大きな存在です」
―小島さんにとって吉岡さんはどのような存在なのでしょうか。
「ある意味で、全てを託すことができるパートナーですね。人間はどん底のときに本性というか、本質や性格が出ると思います。ウィルゲートショックが起きたとき、他の道にいけば輝かしい未来があるかも知れないのに、多額の借金を持ってつぶれてしまいそうな会社の連帯保証人になって、あえて苦しい道を一緒に進んでくれるという選択肢は普通取らないと思うんですよ。でも、そこで『当たり前でしょ』って言って自分を支えてくれたというのは、言葉よりも行動が全てですから、本当に信頼できますね。一緒に築き上げてきたという絆があるからこそ、怖いものはないですし……やはり、全てを託すことができるパートナーですね」
―もともと、幼馴染みですからね。
「そうですね、親友でもありますから」
―でも、そうなるとビジネスパートナーとしての関係と親友、幼馴染みとしての関係、この2つが混じってしまうことはあるのではないでしょうか。
「お互い会社を良くするためには自分を厭わないというスタンスを知っています。だから、その人を尊重するということは会社を尊重することはイコールになりますから、言いたいことはためらいなくどんどん言いますね。直して欲しいところはシンプルに伝えますし、それを受け入れてくれるという信頼関係が築かれていますから。喧嘩になったこともありませんし」
―2人で飲みに行くことはあるんですか?
「行きますよ。あとは一緒に遊びに行ったり、みんなでスポーツしたりとかアクティブな感じです」
―本書では高校3年のときに創業して以来、現在までの7年間がつづられていますが、それでもまだ25歳でいらっしゃるんですよね。若いということについて、経営者として負い目を感じたことはありましたか?
「たくさんありますね。若いという理由だけで信頼してもらえなかったり、実績がないというフィルターが入って見られてしまいますから、当初の営業活動は苦戦しました。ウィルゲート自体、無形商材の信頼ビジネスをしていますから、マイナスからのスタートでした。ただ、お金がない、知名度がないと、ないものをあげてもきりがないので、どのようにマイナスを払拭できるほどの信頼を勝ち取れるかというのは考えてやっていましたね」
―今後、ウィルゲートの経営者として、どのようなことをしていきたいとお考えですか?
「ウェブの世界は発展しはじめてきからまだ15年ほどですが、そのスピードは速いですよね。ウィルゲートはSEOの会社として成長をしてきましたが、世の中に価値のあるものを提供し続けることが本来の弊社の存在意義だと思っていますから、SEOの領域を超えて、新たなインターネットメディアや分野に挑戦していきたいと考えています」
―これから起業したいと考えている人やビジネスを始めたいという人たちが実際にそれを始めたとき、華やかな世界だけでなくて、苦しい現実を見なければいけない部分もあると思います。この本は、そういった部分で自分がやろうとしていることに覚悟が持てるのかを問いかける本だと思いますね。
「そうだと思います」
―では、インタビューの読者の皆さん、ベンチャー企業への就職を考えていたり、起業をしたいと思っている方々に向けてメッセージをお願いできますでしょうか。
「ベンチャー企業というところに捉われず、何かに対して本気で向き合うことはすごくストレスがかかったり、負担がかかったりすることだと思います。ただ、逆境にいて悩んでいるのは自分だけではないということ、そして何事も本気で向き合っていると、その先に輝かしい未来に感動することが出来ます。苦しんでも常に前進し続けることが大切です。この本はそのための1つのきっかけになってもらえればいいなと思いますね」
(聞き手/金井元貴)
慶應義塾大学経済学部出身、1986年5月29日岡山県生まれ。
18歳でネットビジネスを開始して、
2006年に株式会社ウィルゲートを設立。
創業間になく組織の内部崩壊により倒産危機に陥るが、それを乗り越えて同社を業界トップクラスの企業へと導く。
現在はSEO事業の他、メディア事業などを展開。
単行本(ソフトカバー): 240ページ
出版社: ダイヤモンド社 (2012/4/6)
ISBN-10: 4478015929
ISBN-13: 978-4478015926
発売日: 2012/4/6
商品の寸法: 18.8 x 13.2 x 1.8 cm




