だれかに話したくなる本の話

我が子に「勉強する意味」を問われたら何と答える?作家が語るその本質

我が子に「勉強する意味」を問われたら何と答える?作家が語るその本質(*画像はイメージです)

「勉強しなさい」「勉強は子どもの仕事」といった言葉を子どもの頃に大人から言われたことがある人は多いだろう。けれど、大人になった今、子どもに「勉強をする意味」「勉強の価値」を問われたら、答えられるだろうか。偏差値の高い大学に入って、大きな会社に入るため、というのはもう通用しない時代でもある。

現在放送中のドラマ『ドラゴン桜』第2シリーズで、「バカとブスほど東大へ行け」という阿部寛さん演じる主人公のセリフが話題となっているが、勉強は他者に勝つため、また社会的な成功のためにするものなのだろうか。これに対して、「勝つことがそれほど大事なことなのか、と疑問を持たせることこそが本当の教育ではないのか」と考えるのが『勉強の価値』(森博嗣著、幻冬舎刊)の著者である作家・工学博士の森博嗣氏だ。

勉強の価値

勉強の価値

勉強が楽しいはずない。特に子供が勉強しないのは「勉強は楽しい」という大人の偽善を見透かしているからである。まず教育者は誤魔化さずこれを認識すべきだ。でなければ子供が教師の演技を馬鹿馬鹿しく思い両者の信頼関係が損なわれる。僕は子供の頃あまりに美化された「勉強」に人生の大事な時間を捧げる必要があるか疑った。が、現在(正確には21歳から)は人は基本的に勉強すべきだと考える。それは何故か?人に勝つため、社会的な成功者になるためではない。ただ一点「個人的な願望」からそう考える理由を、本書で開陳する。