だれかに話したくなる本の話

「フェイスブック」 その落とし穴

ジプトで起きている反政府デモで大きな役割を果たしているのが「フェイスブック」や「ツイッター」などのソーシャルメディアです。
 日本でも昨年、「ツイッター」がブレイク。年明けには映画「ソーシャル・ネットワーク」が公開され、「フェイスブック」の認知度も高まりつつあります。

 世界で5億人ものユーザーが存在し、押しも押されもせぬSNSとなった「フェイスブック」ですが、実名性や顔写真の公開などからそのマイナス面も表面化しているようです。
 「フェイスブック」の成り立ちや社会への影響力をわかりやすく解説する『Facebook 世界を征するソーシャルプラットフォーム』(ソフトバンククリエイティブ/刊)で、著者の山脇伸介さんは、「フェイスブック」で起きている問題やプライバシーについて例をあげて触れていますので、ご紹介します。

■多発する「フェイスブック離婚」
 イギリスに住むとある女性が、夫のプロフィールで見つけたのは「彼女との結婚を終了する」という言葉でした。これに仰天した女性でしたが、さらに腹立たしい事態が起こります。それは、その言葉にカナダ人女性が「よかったね」と書き込んでいたのです。結局この2人は事件をきっかけに破局したそうです。
 山脇さんは、「フェイスブック離婚」はうなぎ上りに増えていると指摘した上で、フェイスブックを通じて「元カレ」「元カノ」とより戻してしまうケースが起きたり、アメリカの弁護士団体が離婚訴訟で8割の弁護士が「フェイスブック」や「ツイッター」から証拠採用していることを述べています。

■ふられた腹いせに、ヌード写真を公開
 ニュージーランドでは、20歳の男が、ふられた腹いせに元彼女のアカウントに勝手にログイン。元彼女のヌード写真をアップロードし、プロフィール設定から誰でも見ることができるようにするという事件が起きました。
 また、元々、大学生の「恋人探し」的な要素が強かった「フェイスブック」。アメリカのティーンの間では、「フェイスブック」上で「交際中」としてもらえるかどうかというところでトラブルが起きているそうです。

 山脇さんは、ほかに「なりすまし」や「サイバー・ブリイング(ネットいじめ)」などを例にあげながら、「データ管理をめぐるプライバシーの問題は、今後さらに議論されることになるだろう」と指摘します。

 本書では、サン・マイクロシステムズの共同創業者であるスコット・マクリーニ氏のこんな言葉が引用されています。

 「プライバシーは死んだ。そこは乗り越えろ(Privacy is dead. Get over it.)」

 いつでもどこでも人々とつながることができる「ソーシャルメディア」は、様々なことを可能にしました。しかし、自らが公開している情報が予期せぬ方法で使われるかも知れないという危険性も常に孕んでいます。
 これから先、「ソーシャルメディア」はより私たちの生活になくてはならないものになっていくでしょう。その中で、情報の公開について、ユーザー一人ひとりが真摯に考える時期に来ているのかも知れません。
(新刊JP編集部/金井元貴)