だれかに話したくなる本の話

「デキるつもり」の自称・黒字社員に身につけさせたい「絶対黒字感覚」

の記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。

高いつもりで低いのは 会社への貢献

低いつもりで高いのは 自分の給与


 あなたの周りにも、そんな「つもり違い」をしている人が、1人や2人は思い浮かぶのではないでしょうか?

 わたしは公認会計士をしてます。普通、公認会計士というと会社の決算書をチェックするのが仕事ですが、わたしは少し変わっておりまして、従業員の何気ない会話や仕事ぶりを見て「赤字社員」、「黒字社員」を見抜く公認会計士で、昨年『東大卒でも赤字社員 中卒でも黒字社員』を出版しました。

 前著は、入社3年目くらいまでの方が想定読者で、社会人としての基本的な考え方を身につけてもらうために書き上げました。しかし、わたしが最も危ないと感じている赤字社員は、実は30歳前後の方に多く、その特徴は自分では「デキるつもり」になっている自称・黒字社員です。

 「デキるつもり」の自称・黒字社員は、「デキない」赤字社員よりも、会社にとってははるかに問題です。なぜなら、「デキるつもり」な人は、ありがた迷惑なことに、その「つもり違い」な仕事術を入社間もない素直な後輩に広めてしまい、その結果赤字社員が増殖し、会社に大きな損失が発生してしまうからです。拙著『「デキるつもり」が会社を潰す』では、そんな「デキるつもり」を、本当に「デキる社員」に変えるには、どうすればいいのか? を解説しています。

■「デキるつもり」の自称・黒字社員はこんな人

 「デキるつもり」の自称・黒字社員は、どんな人なのでしょうか? あなたの周りに次のような人はいませんか?

 ・名刺交換した枚数を自慢する「名刺コレクター」

 ・割引に釣られて必要以上の量を購入し、大量の不良在庫を抱える「まとめ買いの銭失い」

 ・後のクレームをまったく気にせず、詐欺的トークで営業を進める「オーバートークマン」

 ・新人のあら探しが大好きで、女子トイレや更衣室で悪口を展開する「まだ女子中学生」

 ・オフィスにいる時間の長さを誇る「ダラダラ残業推進委員長」

 ・自分の仕事の負担が増えないように、つねに「できない理由」を探す「現状維持型社員」

 このような「デキるつもり」の自称・黒字社員は、会社にとって貴重な4つの資産、「ヒト」「モノ」「カネ」「時間」をムダにしてしまう傾向があります。そんな「デキるつもり」の自称・黒字社員を本当に「デキる」黒字社員に変えるためには、自分の仕事が会社全体にとって黒字になっているかどうかを判断する「絶対黒字感覚」を身につけさせることが必要となります。
 
■自称・黒字社員を黒字社員に変える「絶対黒字感覚」

 絶対黒字感覚とは、会社に生じているコストをモレなく把握した上で、必ず、そのコストを上回る収益を生み出そうとする感覚です。

 会社に発生するコストには、売上の増減にともなって変動するコストである「変動費」、売上が増減しても変わらないコストである「固定費」がありますが、この他にも意外に気づかない隠れコストが存在しています。

 例えば、「時間コスト」。わたしは20代半ばまでは「1秒1円」、30歳前後は「1分100円」を意識させるべきだと考えています。

 「1秒1円」は、1分で60円、1時間(60分)で3600円、1日(8時間)で28800円、1カ月(20日)で576000円となります。わたしは黒字社員の条件を、給与の3倍の利益貢献としていますので、これを3で割ると192000円となり、これくらいの給与をもらっている人から、「1秒 1円」を意識させるべきとなります。

 「1分100円」は、1時間(60分)で6000円、1日(8時間)で48000円、1カ月(20日)で960000円となり、これを3で割ると320000円。これくらいの給与をもらっている人には、「1分100円」を意識させるべきでしょう。

 また、本来得られるはずであった利益を得そこなった「機会損失」という考え方も、隠れコストとして認識する必要があります。

 「絶対黒字感覚」を身につけさせるためには、まず、これらの会社に生じているコストをモレなく把握させた上で、次に、PDCAサイクルに「数字」を使って仕事に取り組ませることが必要となります。

 Plan(目標設定術)では、まず「絶対黒字」を達成するための売上高を算定させることが必要であり、次の計算式で算定できます。

 「絶対黒字」売上高 = 固定費 ÷ (1−変動費率)

 そして、この「絶対黒字」を達成するための行動プロセスを因数分解し、逆算法で今何をするか? を決めさせることが重要となります。

 Do(仕事術)では、前述の「時間コスト」を意識させるととともに、「売掛金」と「たな卸資産」を気にさせ、キャッシュフローを常に意識させることが重要となります。

 Check(分析術)では、計画数値と実績の数値を分析して、どこに問題があったのかを見つけることが重要ですが、数値を使って分析するには、(a)比較する(b)割り算を使うという2つのポイントを押さえることが重要となります。

 Act(改善術)では、改善策を列挙し、何を改善するのが最も効果が高いのかを数値でシミュレーションし、実行策を決定することが重要となります。

 PDCAサイクルの中に、ちょっとした数字意識や会計知識を使って「絶対黒字感覚」を意識させることで、「デキる」黒字社員になるための行動が加速していくと、わたしは考えています。部下を黒字社員化したいリーダーの方、ぜひ、本書をご活用頂けますと幸いです。

(記事提供:ITメディアエグゼクティブ

■著者プロフィール:香川晋平さん
香川会計事務所。公認会計士・税理士。関西大学非常勤講師。
カラーコピー1枚のミスでも、反省できる社員を育てるスパルタ会計の伝承者。大手監査法人在籍時から、自費でビジネススクールに通学し、30歳でリフォームのオンテックスに入社。「従業員1人当たりの会計データ」を導入し、従業員の生産性を向上。入社後わずか90日で経営管理本部取締役に就任、在任 2年の累計利益は業種別ダントツNo1となった。その後、5期連続50%超増収のベンチャー企業や従業員平均年収1000万円超の少数精鋭企業などの会計顧問をし、数社の非常勤役員も務める。また、大学で会計数値を使って「会社が従業員に期待する成績」を解説し、学生の仕事に対する意識改革に努める。