だれかに話したくなる本の話

勝負の世界に生きた人間だけが知る、運を味方につける方法

■キャリア二十年にして若手に教えを乞う

米長氏は40代半ばの頃、20代の若い棋士になかなか勝てずにいた。いわゆるスランプである。こうした不遇の時代を彼はどのようにして乗り切ったか。

結論からいえば、米長氏は若手と積極的に交流を図ることで局面を打開した。

きっかけは、若手棋士との会話だった。
ある若い棋士から、「過去の対局を調べれば、あなたの得意技はすべて分かる」「自分の得意技を捨てたほうがいい」と言われたのだ。

米長氏は当時の自身の頭の中を「ガレージ」になぞらえて、こう述べる。「そのときの自分は、ガレージの中が中古車でいっぱいになっていた。それらをどんどん捨て、新車を入れていかなければと思った」と。

つまり、そのとき彼は自分の持ち技を「更新」する必要があると感じた。そこで毎週土曜日に「米長道場」なる研究会を開くことを決め、当時、まだ十七歳だった羽生善治氏を含め、総勢四十名ほどの若手を集めたのだ。

この研究会を通じて若手から多くの刺激をもらった米長氏は、4年間タイトルに見放される不運から脱し、五十歳を目前にして、6期ぶりに王将位に返り咲いた。

勝負事の節々に関わってくる「運」は、自分ではどうにもならないことだと考えがちだが、実はそんなことはない。少なくとも、運について考えに考えてきた米長氏はそう考えてはいないだろう。

思い通りにならない運をいかに自分に引き寄せるか。行き詰まりを感じている人ほど、氏の言葉から気づくことは多いのではないだろうか。
(新刊JP編集部)

『不運のすすめ』

不運のすすめ

やはり勝負の世界で生き抜いた人の言葉は重みが違います。

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