だれかに話したくなる本の話

「仕事」を通して幸せになるには?―【書評】『みんなが幸せになる「お金」と「経済」の話』

日本人の労働環境はずっと熾烈なものだ。かつては外国人から「ワーカホリックだ」と揶揄されながら、滅私奉公という言葉の元に会社に尽くす「企業戦士」の姿を規範として会社に尽くしてきた。

 そして、近年では年功序列制度の崩壊や成果主義の導入によって社員間の競争も激化するようになったり、株主の権利が強まり利益の最大化を強く求められ、通勤電車内には疲弊しきった顔が並んでいる。

 さらに、ここ数年の会社員をとりまく経済の状況も激変。特に昨年起きたサブプライムローン破綻による世界的な金融恐慌によって名だたる大企業が経営危機に陥り、会社員のリストラも相次いだ。
 働く全ての人々にとって“安息の地”はない時代になってきているのだ。

 では、どうしてこんな不幸なことが起こっているのか。
 世間では景気のせい、政治のせい、社会のせい、と犯人探しが行われているわけだが、いくら犯人を決め付けて責め立てたとしても何も変わらない。
 「何故こうなってしまったのか」という現状の分析がなされ、人々がその状況をどう変えていくかという意識が芽生えない限り、解決はしないだろう。

 本書では『君を幸せにする会社』(日本実業出版)などで「幸せな仕事とは何か」という命題を読者たちに提示し多大な支持を得た天野敦之氏が、現代経済の仕組みから利益至上主義の弊害、私たちのお金とのつきあい方などを示している。

 短期的な利益の最大化や奪い合いの構造などが分かりやすく解説、批判されており、今、自分たちが置かれている立場と、これから進むべき道がよく分かる。
 比較的若いビジネスパーソンには、うってつけの1冊だ。
新刊JPニュース編集部)

『みんなが幸せになる「お金」と「経済」の話』
著者:天野敦之
出版社:すばる舎
定価(税込み):1365円
発売中