だれかに話したくなる本の話

「死んだ」と思われた16歳の少年は、ギャング団から抜け出すために一人で国境を越えた

『ギャングを抜けて。僕は誰も殺さない』(大同出版刊)

若者がギャング団から抜け出し、国境を越えて逃亡する。そんな映画のような話が、中南米においては当たり前のように転がっている。しかし若者たちが逃げるために別の国やってきたとしても、たいていの場合は保護されて母国へと送還される。難民と認定されて辿りついた国に残ることができるのは、ほんの一握りである。

NGO「ストリートチルドレンを考える会」の共同代表で、スペイン語圏を中心に取材を進めるジャーナリストの工藤律子さんは、ホンジュラスの若者ギャング団の実態をレポートしたノンフィクション『マラス』(集英社刊)で、ホンジュラスの若者ギャング団を抜け出し、メキシコに辿り着いたアンドレスという少年の存在を取り上げていた。

ギャングを抜けて。僕は誰も殺さない

ギャングを抜けて。僕は誰も殺さない

人殺しにならないために、少年は故郷を出た。