だれかに話したくなる本の話

「夢中になれるものが見つからない」と悩む人たちへの小説家のメッセージ

『月まで三キロ』(新潮社刊)の作者・伊与原新さん

東京大学大学院理学系研究科で地球惑星科学を専攻、博士課程修了の経歴を持ち、『ルカの方舟』や『コンタミ 科学汚染』『博物館のファントム』など、科学や理系的世界をモチーフにしたミステリの書き手として知られる伊与原新さん。

その最新作となる『月まで三キロ』(新潮社刊)は、これまでのイメージを一新するような人間ドラマが描かれた短編集となっている。

何もかもを失い、死に場所を探してタクシーに乗った男、ある事件から幸せを諦めかけているアラフォー女性、優秀な兄や個性的な伯父と対照的にフツーで何者にもなれずに悩むフリーター…。そんな主人公たちの心に空いた隙間を埋めていくものとは?

書店を中心に話題を呼んでいるこの短編集について、伊与原さんにお話をうかがうインタビュー。その後編では、作家としての伊与原さんにフォーカスしていく。

インタビュー前編はこちらから

(取材・文:金井元貴)

月まで三キロ

月まで三キロ

科学のきらめきが人の想いを結びつける短篇集。