だれかに話したくなる本の話

100万部突破のベストセラー著者が語る、子育ての極意(第一回)

晩婚化・少子化の世の中だが、意外にも子育ての世界に100万部を超える大ベストセラー書籍が誕生していたのをご存じだろうか?

 精神科医である明橋大二さんが、子育てにまつわる誤解を解き“子どもの自己肯定感を育てる”をキーワードに、子育ての楽しさや尊さを伝える『子育てハッピーアドバイス』がその本だ。
 では、自己肯定感を持ち、正当な自己評価ができる子どもを育てるにはどうすればいいのか?
 明橋さんに単独インタビューを行った。
(新刊JP編集部/山田洋介)





◇ ◇ ◇

子育てのキーワードは自己肯定感
―このたび、明橋さんの著書『子育てハッピーアドバイス』が100万部を突破したということですが、ここまで売れることは予想していましたか?

明橋「いえいえ、全く思ってなかったですね。びっくりしました」

―子育ての際は、子どもの自己肯定感を育むことが大事だと本書には書かれていましたが、子供の自己肯定感を子育てで作っていく時のポイントはどのようなことでしょうか?

明橋「自己肯定感を育むことが大事だということ自体を皆さんが知ることがまず大事なことだと思うんですね。
しつけだとか、学力を伸ばすことが重視されがちですが、それらの土台となるものが自己肯定感です。こういうことは専門家なら常識として昔から知っていたのですが、実際に子どもを育てている親御さんたちがこのことを知っていたかというと、そうではなかったと思うんです。だからこの本が子どもの自己肯定感を育むことの大事さを知っていただくきっかけになったならうれしいですね」

―「子どもの自己肯定感を育む」という言葉や子育ての方法は、徐々に子育ての現場で広まってきていると思いますが、それ以前の子育てではどのようなことが重視されてきたのでしょうか?

明橋「しつけとか生活習慣が大事だとか、そういった前提がありましたね。私がいつも言っていることは、全ての土台になるのが自己肯定感で、その上にあるのがしつけ、ということ。
しつけや学力が大事なことは間違いありませんが、それらが身につくかどうかも自己肯定感が持てるかどうかにかかってきます。“自分は大切な人間なんだ”とか“自分は誰かから必要とされている人間なんだ”という気持ちがあってはじめて社会のルールを守ろうとか、勉強しようとかいう気持ちが出てくるわけです。
今の子供の犯罪を見ても、問題の根本はそこにあると思いますね」

―自己肯定感を持てない子どもというのは昔と比べて増えているのでしょうか?

「増えていると思います。様々な背景があるのだと思いますが、特に日本は多いのではないでしょうか。ただ、昭和30年代もそうだったかというと、私はそこまで低くはなかったと思うんですよね。よく言われているように偏差値という1つの物差しで評価されるようになってしまったことが原因の一つだと思います。それと、昔は友達同士で遊んでいて、例えば野球するにも面子が必要じゃないですか。そういうところで必要とされるわけですよ。たとえ親の子育てで自己肯定感が育つことがなくても、そういうことで支えられる部分があったわけです。しかし、今は少子化もあってそういう機会が減って、友達と繋がりあうとか友達から必要とされる経験がすごく少なくなっています。
その少ない友達関係で、少し変なことを言ったらKYと言われて排除される。“自分は自分でいいんだ”と思えるような環境が失われていることもすごく大きいと思いますね」

―今、お話に出ましたけども、親の教育で自己肯定感を得られなかった子どもが親以外のどこかからそれを得ることは可能なのでしょうか?

明橋「時間はかかりますができると思います。われわれのカウンセリングの仕事もその一つだと思っています。
それと、親子関係、友達関係で自己肯定感を育てられなくても、地域の中やあるいは社会の中でそういうものを支えられる機会はあります。あるいはすごく理解してくれる先生に出会ったことがきっかけになる人もいますね」
(第二回 精神科医なのに子育てに関わるようになったきっかけとは? に続く)