だれかに話したくなる本の話

伯爵夫人が爆殺 でも部屋はきれいで…魔法が残した手がかりを追う 新感覚ミステリ

『魔法で人は殺せない』(蒲生竜哉著、幻冬舎刊)

ランドル・ギャレット『魔術師が多すぎる』(早川書房刊)に米澤穂信『折れた竜骨』(東京創元社刊)、マイク・レズニック『一角獣を探せ!』(早川書房刊)。

これらはいずれもミステリ小説だが、もう一つ共通点がある。
それは舞台が異世界であったり、登場人物が魔法を使ったりと、現実では起こりえない「ファンタジー」の要素が入っていることだ。ファンタジー的な過程で謎が生まれ、ファンタジー的に解き明かされていく、と書くと「読者は“何が起きているのかちんぷんかんぷん”にならないの?」という疑問がわくが、そこはしっかりと、読者を謎解きに引き込む工夫がなされている。

魔法で人は殺せない

魔法で人は殺せない

森に佇む広壮な邸宅で、伯爵夫人の無残な遺体が発見された。捜査に赴いたダベンポートは、魔法による事件ではないと踏んでいたのだが…。王立魔法院捜査官が数々の事件に挑む1話完結の新感覚・知性派魔法ミステリー6話収録。多彩なキャラクターが織り成す奇想世界が、遂に出現する。