書評

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サカナクション山口、坂本龍一、浜崎あゆみ…多くの著名人を苦しませる「突発性難聴」とは?

サカナクションのボーカル・山口一郎さん、スガシカオさん、坂本龍一さん、次長課長の河本準一さん、さらには浜崎あゆみさんなど、突発性難聴に悩む著名人は多い。

この突発性難聴は強いプレッシャーを受けていたり、仕事や子育てに忙しい働き盛りの人がかかりやすいのが特徴で、年間で3~4万人ほどが発症するといわれている。

■突発性難聴に「兆候」はあるのか?

そもそも、突発性難聴とは何なのか。

「昨日の夜はなんともなかったのに、朝起きて歯を磨いていたら急に聞こえなくなった」なら、それは突発性難聴の可能性が高い。片方の耳だけが急に聞こえづらくなるのも、その特徴の一つといえる。

どれくらい聞こえなくなるのかといえば、雑音の聞き分けが困難になったり、他人の音声自体は聞き取れても何を言っているのかまでは分からないといったレベルだそうだ。

ところで、「突発」と名が付いている以上、まったく予兆はないのか。
『血流を改善するとたった1分で耳がよくなる!』(三笠書房刊)によれば、必ずしもそうではないようで、聞こえなくなる直前には、耳がつまる感じがしたり、めまいや鼓膜が引っ張られるような感覚をともなうことがあるという。

■突発性難聴の原因は不明?

では何が原因で、突発性難聴になってしまうのか。

冒頭で「強いプレッシャーを受けていたり、仕事や子育てに忙しい働き盛りの人がかかりやすい」と書いたが、これはあくまで傾向にすぎず、原因とまでは言い切れない。

伝音性難聴の場合、耳垢や腫瘍など、X線やMRIなどの検査によって見つけやすい。しかし、突発性難聴を含む感音性難聴は、見た目にはほぼ問題がなく、専門医であっても発見するのがむずかしく、その原因もまだ解明されていないのだ。

とはいえ、自分の身のまわりを見渡してみるだけで、「プレッシャー」や「忙しさ」、そこから来る疲労度合いと突発性難聴との間には何らかの相関があるのではと思うこともある。

例えば、筆者は疲れてくると強い耳鳴りがしてきて、外の音が聞こえなくなるときがある。そうした「予兆」と思える症状があると休むようにしている。原因は分からないが、確かに長時間労働が続いたときにあらわれるので、もしかしたらこれは何かの合図なのかもしれない。

本書によれば、ストレスがかかりすぎると自律神経が乱れ、結果として難聴を引き起こすケースもあるという。

■感音性難聴は治療困難

上で書いたように、感音性難聴は原因の特定がむずかしい。ゆえに、いったんなってしまうと治療もむずかしいというのが現状だ。

また、上述したもの以外でも、工事現場のように騒音の発生する場所で仕事をする人は発症確率が高いことを踏まえれば、できるだけ耳に負担をかけないような生活を送ることは重要だろう。

つい電車の中などでヘッドフォンを大音量にして音楽を聴いてしまうことはないだろうか。そして電車を降り、そのままの音量でしばらく歩いて静かな場所に移動してみると、耳が痛くなるほどの音量で聴いていたことに気づき、慌ててボリュームを絞ったことはないか。まずはこうした習慣を断つことが大事なのだろう。

「難聴」と聞くと、老人性のものを思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、本書を読めば、実に様々なタイプの難聴があり、これは若い人にとっても決して無縁な問題ではないことが分かる。まずは本書を通して、耳の仕組みについて理解を深めてみてはいかがだろう。

(新刊JP編集部)

プロフィール

今野 清志

1953年宮城県生まれ。日本リバース院長。目と耳の美容室院長。目と耳の美容学院学院長。中央大学法学部卒業後、慈恵医大アイソトープ科にて医学を学ぶ。当時日本初のRIの血液検査を紹介するかたわら、予防医学の重要性に気づき、薬を使わない治療法の確立を目指すようになる。その後、中国北京国際針灸倍訓中心結業・中国中医研究院で研修などを行なう。30代から、東中野、赤羽、銀座、日本橋などに整体治療院を開業。2001年に確立した独自のメソッドで、50000人以上の視力を回復させたほか、難聴などにおいても30000人以上の治療を行なってきた

目次

  1. 第1章
    知って安心!手遅れを防ぐ耳の「あるある大事典」
  2. 第2章
    耳鳴りの正体は?音はこうして聞こえる、聞こえなくなる
  3. 第3章
    医者も驚いた!「耳が悪くなる3大原因」全公開
  1. 第4章
    1分で耳がよくなる!今野式「耳トレーニング」
  2. 第5章
    脳は、嫌いな音は受け入れない!耳がよくなる音楽の秘密
  3. 第6章
    まいにち「耳力」アップ!体が若返る生活習慣

インタビュー

■ここを押して無痛なら重症! 自律神経の乱れ具合が一発で分かる足ツボとは

東洋医学において、古来より重要な役割を担ってきた「ツボ」。
今や街中には、手軽にツボ押しをしてもらえるお店もすっかり増えたが、ツボを刺激することと健康との間にどれほど密接な関係があるのか懐疑的な人も少なからずいるだろう。

『血流を改善するとたった1分で耳がよくなる!』(三笠書房刊)の著者であり、中医学にヒントを得て難聴の施術をおこなっている今野清志さんに、手足のツボと「耳の健康」との関係についてお話をうかがった。

著者近影

■自律神経の乱れが難聴につながる理由

― 『血流を改善するとたった1分で耳がよくなる!』についてのお話をうかがえればと思います。本書を拝読し、今野さんがこれまでに出版してきた本の内容の「総まとめ」という印象を受けました。

今野:
たしかに、これまで出してきた「耳」や「難聴」に関するいくつかの本の内容を「いいとこどり」した感じになっていると思います。ただもちろん、本書を発刊するにあたり、新たに付け加えた内容もありますよ。

― それは、たとえばどのようなものですか。

今野:
これまでの本でも、呼吸筋を鍛えて深い呼吸ができるようにし、耳の下にある「耳下線」を刺激することを目的とした「チョッピング呼吸法」なるものを紹介してきました。

「チョッピング」とは、「細かく刻む」という意味。つまりチョッピング呼吸法とは、息を思いきり吸い込んで、息を止めたまま小だしに口から吐き出すことで、呼吸筋に負荷をかけて鍛え、楽に深い呼吸をできるようにするためのエクササイズです。

ですが、従来の方法だと、ペットボトルを使う必要がありました。かねてより、読者様や来院者の方から「もっと簡単なやり方があるとうれしい」との声を頂戴していまして。そこで本書には、ペットボトルなしで実践できるチョッピング呼吸法を掲載しました。

他にも耳をよくするツボの代表的なものを三つ紹介し、その押し方について解説してもいます。

― 「耳をよくするツボ」ですか。たしかに私のような素人でも「手のひらには沢山のツボがある」ということぐらいは、なんとなく知っています。

今野:
本書では、合谷(ごうこく)、外関(がいかん)、中渚(ちゅうしょ)といったツボを紹介しています。

合谷は、体のなかのエネルギーが湧きでるツボといわれており、ここを押すことで、痛みや凝り、ストレスなど、幅広い症状に対して効果を発揮します。とくに自律神経が原因の耳の症状などに働きかけたいときには効果てきめんなんです。

― やはり、ツボは全身のあらゆる箇所に関係しているのですね。読者が自分自身でおこなう「エクササイズ」だけでなく、普段の施術においても「ツボ押し」を重視しているのですか。

今野:
そうですね、たとえば若い女性が難聴を訴えて来たらまず、ふくらはぎの中心線上のアキレス腱が筋肉に変わる部分にある「承山」というツボを押すようにしています。

というのも、ここを押せば一発で「健康かどうか」が分かるからです。この年頃の健康な女性であれば、ここを押されると「痛い!!!」となるものなんですよ。

― 逆に不健康な場合、このツボを押されると、どのように反応するんですか。

今野:
痛点という、ツボのなかにある痛みを感じるための感覚が麻痺しているため「何も感じません」という反応が返ってきます。本当にひどい場合、叩いても何も感じないケースすらあります。

― 痛点が麻痺してしまう原因は何なのですか。

今野:
自律神経が完全に乱れてしまっていることが原因です。

自律神経は何年もかけて、ジワジワと悪くなっていくもの。また自律神経が乱れれば、脳が身体に対していくら「痛い」という信号を送っても、身体側が感知してくれなくなる。結果、本来感じるはずの痛みが身体のなかにどんどん「隠れる」ようになっていくんです

― それはこわいですね。

今野:
今の話がどう「耳」にかかわるのかと思う方もいるかもしれません。ですが、自律神経と耳とは密接な関係にあるんですよ。

内耳にある、聴覚をつかさどる器官「蝸牛」はリンパ液でみたされています。そして、自律神経の乱れなどにより、リンパ液の出し入れのバランスが崩れると、聞こえが悪くなることがあるんです。

著者近影

■聴力が落ちている高齢者ほど「固いもの」を食べなければならない理由

人間、歳をとれば、身体のあらゆるところに衰えが見え始める。

そうした衰えを目の当たりにしたとき、本人や周囲の人はつい「負担のないように」と身体をかばう方向へ動きたくなるものだ。だがそれは時として、人の生命力を奪うことにもなりかねない。

今回は、『血流を改善するとたった1分で耳がよくなる!』(三笠書房刊)の著者であり、中医学にヒントを得て難聴の施術をおこなっている今野清志さんに、高齢者が来院したとき、どのようなアドバイスを送るのかについてお話をうかがった。

■高齢者が、日々の食事と運動で気をつけるべきこと

― インタビュー前編では「若い女性でも難聴を訴えて治療に来るケースがある」というお話をしていただきました。今野さんはよく「3歳から99歳まで」という言い方をされますが、高齢者の方も治療にいらっしゃるわけですよね。

今野:
はい、高齢者の方もかなりいらっしゃいます。では、そういった方々に対して、どうアドバイスするか。

その話に入る前に、耳鼻咽喉科の医師や私たちの多くがしてしまいがちな「誤解」について、少し触れておきたいと思います。それは、「歳をとったら耳は聞こえづらくなって当たり前」というものです。

― なぜそれが誤解なのでしょうか。

今野:
こちらに見えた高齢者の方々の話をよくよく聞いてみると、生活習慣に問題ありといわざるをえないような日々を送っていることが少なくないからです。

つまり、身体に悪影響を及ぼすような生活習慣を長年続けてきてしまったために、結果として耳の聞こえが悪くなるケースが少なくない。

― では、そういった「老人性難聴」を訴える高齢者の方に向けて、どんなアドバイスをすることが多いのですか。

今野:
こまめに運動するようにし、食事内容を改善する。この二つを徹底するようお伝えすることが多いですね。

まず、なぜ運動が大事なのか。歳をとれば、代謝が落ちます。代謝が落ちれば、それだけエネルギーを使わなくなる。これが高じると食欲も湧かなくなる。こうして食はどんどん細くなっていきます。

食が細くなると、内臓の働きが衰える。それに伴って自律神経が弱り、乱れてしまうということがよくあるのです。特に、内臓のなかでも最大の面積を占める腸と胃の働きが鈍くなると、自律神経へのダメージも大きく、耳に悪影響が出てきます。

つまり、こまめに運動をすることで代謝が上がり、エネルギーを使うようになるため、食欲も湧く。結果、食事量も増え、内臓の働きも活発になるというわけです。

― インタビュー前編でも少し触れましたが、本書ではいくつかのエクササイズが紹介されています。運動不足の人は、まず何から始めるのがいいでしょうか。

今野:
前編で紹介した「チョッピング呼吸法」はもちろん、内臓マッサージを目的とした「エア縄跳び」から始めるのがいいでしょう。

これは、縄を使わずに上下にジャンプするだけのとても単純な動きですが、いざやってみると、フラフラしないで跳び続けるには、足やお腹、腰、背中、腕など全身の筋力を使う必要があると分かります。

ジャンプは有酸素運動であるため心肺機能を鍛えられますし、物理的にも胃腸を刺激して活性化させることができます。先ほどの繰り返しになりますが、胃腸の働きが促されれば、自律神経によい影響を与え、血液の流れもよくなります。

― 食事に関しては、具体的にどんなアドバイスをすることが多いのですか

今野:
高齢者の方には特に、「固いものを食べなさい」と伝えることが多いですね。

柔らかいものばかりを食べていると、当然、噛む力は弱まります。その結果、唾液の量が減ってしまう。そうすると、消化の力も弱まってしまう。完全に悪循環です。

人間にとって「固いものを齧る」ということは自然な行為なんですよ。本能的な行為といってもいい。つまり、柔らかいものばかり食べるというのは、自ら生命力を弱めているようなものなんです。

― 最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

今野:
難聴を訴えてうちへ来る方に、いつもまずお伝えするのは、「耳はそんなにすぐには良くならないよ」ということです。何十年かけて、少しずつ悪くなっていったものを、1日や2日で治せるわけがない、と。

でも同時に、「決してあきらめる必要はない」ともお伝えするんです。これまでお話してきた運動や食事の面での改善をふくめ、コツコツとやるべきことを続けていけば、耳の聞こえは少しずつ、でも確実に良くなっていきます。

もし少しでも耳の聞こえに不安をおぼえていたり、過去に病院へ行ったもののこれといった効果が見られず、そのままにしてしまっているという人は、ぜひ本書を手にとっていただき、聴力を回復させるためのきっかけをつかんでほしいですね。

(新刊JP編集部)

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