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マンガでわかる 伝説の新人 20代でチャンスをつかみ突き抜ける人はここが違う!

アマゾンへのリンク『マンガでわかる 伝説の新人 20代でチャンスをつかみ突き抜ける人はここが違う!』
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本書の解説

新人時代の行動で分かれる「結果を出せる人」と「出せない人」の違い

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それぞれの会社には「エース」と呼ばれる人がいる。突き抜けた結果を出し続け、社内でも一目置かれている。そんな存在だ。

彼らは最初から「エース」だったわけではない。新卒で入った会社では、みなゼロからのスタートだ。しかし、「エース」となる器は入社当初からその片鱗を見せていることは確か。そこで期待以上の働きを見せ続けることで、認められる存在になるわけだ。

では、その片鱗とは一体どこに現れるのか?
「アイツはすごかった」と言われるような伝説の新人になるには、どうすればいいのか?

新卒の主人公・野口美由希の努力奮闘と成長を描くマンガを通して、結果を出す新人の考え方・行動を教える『マンガでわかる 伝説の新人』(紫垣樹郎、秋内常良、三輪亮介著、集英社刊)によると、「結果を出せる人」と「出せない人」の境目は新人時代の行動にあるようだ。

結果を出す人は「頑張る」よりも「価値を出す」ことを大事にする

学生時代は「頑張ること」「努力すること」が大事と言われてきたが、社会人になるとそれが通用しなくなる。そのことにギャップを覚える人も多いだろう。
なぜ通用しなくなるのか。それは、ビジネスは「価値」と「価値」の交換で成り立っており、自分がどれだけ頑張ったかではなく、自分がどれだけ相手に価値を提供できたかが大事になるからだ。

価値を提供するには、相手が望んでいることをリサーチするなど、地道な努力が必要なのだ。しかし、ただ相手が望むことだけを提供していても印象には残りにくい。
著者は、結果を出せる人は新人時代から印象に残ることをしていると語る。それは、「相手の期待を1%でも上回る価値を提供し続けること」だ。これを本書では「101%の法則」と呼んでいるが、それができる新人に多くのチャンスが巡ってくるのである。

新人の強みは「失敗してもいい」ということ。だからとにかく挑戦する

中堅・ベテラン社員と新人社員の大きな違い、それは「失敗しても許される」ということ。まだ経験もないのだから、失敗して当たり前だし、その失敗が大きな経験になることもある。

上司や会社も、新人を育てるために仮に失敗しても組織運営に大きな影響を与えない程度の仕事を任せているはず。だからこそ、自分なりに考えて、相手の要望を上回る価値を与えるために、どんどん挑戦してみる。これは新人しか持っていない特権だ。

30代や40代になると、失敗できるタイミングは少なくなる。新人のうちにどんどん挑戦をしていこう。

「99%できないからやらない」と考えるか、「1%でも可能性があるからやる」か

難しい課題に対峙したときの考え方にも、後にエース級に成長する人とそうでない人の違いが出てくる。前者は、なんとかしてできる方法を考え、後者は、できそうにもないからやらないという選択肢を取ることだ。

前述のように新人はある程度失敗しても許される。ならば、できる方法を必死に考え、そのために実行することが、経験になる。経験は行動からしか得ることができない。もちろん何の考えもなしで動くのは危険だが、ちゃんと自分に考え行動することがその後の礎になっていくのだ。

近年のテクノロジーの進化は凄まじく、それに伴ってビジネスのあり方や仕事のスタイルも大きく変化しつつある。それでも、やはり若い頃にいかに行動し、いかに経験を積んだかがその後を大きく決めるという法則は変わらないだろう。

本書では、主人公が奮闘する姿を通して、周囲から認められていくにはどうすればいいかが描かれている。
新人時代だからこそ許されることがたくさんある。その特権を思う存分に使ってほしい。

(新刊JP編集部)

インタビュー

希望していない部署に配属 エース級の人材たちはどう乗り越えた?

著者、紫垣樹郎さんお写真

―― 本書は7年前に出版された『伝説の新人』にマンガを加えて再編集した一冊です。働き方をめぐる環境は7年前とは大きく変わっているように感じますが、本書をどのような意図で出版されたのですか?

紫垣:確かに「働き方改革」は分かりやすいキーワードですし、残業の規制も進んでいますが、今回の本で伝えたかったのは、新人全体の働き方の変化ではないんです。

どんな時代であっても、突き抜ける結果を残す人がやっていることの根本はそこまで変わっていない。そこには普遍的なものがあると感じています。企業側の制度が整い、社員の働きやすい環境が生まれている。それは素晴らしいことですが、その環境をいかに活かせるかというところが大事だと思います。

―― 様々な業界のトップランナーの方々の話を聞くと、若い頃はがむしゃらに働き、その経験が今に生きているという人が多いように感じます。それが普遍的な原則ということでしょうか。

紫垣:それはおそらく「とにかく働いた」ではなくて、突き抜けたい、成長したいという強い気持ちを持って自分なりにたくさん行動したということだと思うんですね。

仕事を本当に楽しみたい、ビジネスを通してお客様に喜ばれたい、という強い気持ちがあれば、ビジネスのルールや原理原則を早い段階から率先して学びに行き、チャンスをつかむスパイラルに乗る努力を必死にするはずです。
若いうちからその部分にどれだけ時間を費やすか。これは必要なことだと思いますね。

―― 結果を出すことができるビジネスパーソンになっているかどうかの違いは、実際何歳くらいで明確に出てくるのでしょうか。

紫垣:働き始めて3年くらい経つと、はっきり分かるくらいに差が出ると思います。極端な話を言えば、3ヶ月、半年でも差は生まれているんです。でも、その差ははっきりと見えにくい。昇給や昇格などの分かりやすい物差しに出てくるのは、3年目くらいです。

そして、その時に気づいて、すでに一歩抜けた同期が過ごした3年を埋めようと頑張っても、その差はもう埋めづらい。もちろん、気づいた後に変わることは大切ですが、3年間の圧倒的なアドバンテージは大きいものです。

―― 紫垣さんはこれまでエース級の人材にインタビューをされてきましたが、そうした人たちは新人時代にどんな過ごし方をしていたのですか? その特徴を教えて下さい。

紫垣:1年目からビジネスの仕組みやルールを理解できていた人はほとんどいません。そんな中で共通しているのは、自分は突き抜けたい、トップを取りたい、こんな商品を生み出したいという「WILL」や「WANT」を持っていたことですね。

―― 「WILL」や「WANT」は、言うなれば「野心」でしょうか?

紫垣:「野心」ですとか、あとは「志」です。「野心」は自己実現、「志」は世の中のためというようなニュアンスですが、新人時代は自己実現欲求で動いて良いと思います。そこでがむしゃらに頑張り、自己実現に近づいていき、気づいたら仕事でやりたいことができるようになっていたという流れです。

そうなるとワンランク上がって視界が広がるので、お客様のためになりたい、会社のためになりたいという気持ちが芽生え、仕事というものに手ごたえを感じ始めます。そこで野心が志に変わってくるのではないかと思います。

―― 紫垣さんはリクルートのご出身です。もともと体育会系だった紫垣さんが最初に配属されたのはクリエイティブの部門で、自分のやりたい仕事とは違うと不貞腐れた時期があったとうかがいました。おそらく、希望した仕事ではなかったということに不満を抱く人も多いと思うのですが、その点についてアドバイスはありますか?

紫垣:配属って、基本的にはその会社の人事であったり、上司となる人たちが、新人がどういう人なのかということと、過去その会社でこういう人がその部署で活躍したとか、こういうスキルを持つ人がこの部署に必要だということを照らし合わせて、現状考えうる最高の配置を決めるんですね。

―― なるほど。

紫垣:だから、まだ仕事をしたことがない新人が、「僕は企画じゃないとダメです」と言うことは、大きなチャンスを逃すことにつながります。まずは与えられた場所でチャレンジをしてみて、本気でぶつかってみる。そうしたら、「これは面白い」となることもあるし、「もっと違うことをしたい」と感じるかもしれない。でも、いずれにしても本気でぶつからないと分からないことです。

ビジネスは価値と価値との交換ですから、相手を基準に考えることが必要です。もし希望しない部署に配属になっても、「自分はここでどんな価値を与えられるだろうか」と考えることはできるでしょう。もちろん、いずれ企画をやりたいとか、開発をやりたいと希望を持って仕事するのは大切ですが、結果を残してきた人の多くは自分のキャリアや体験を肥やしにして自分の仕事に活かしているんですよね。

私も希望の仕事ができてなくて不貞腐れましたが(苦笑)、それはまだ早いと伝えたいですね。

―― 先日、日本マイクロソフトが8月を週休3日にすると発表しました。余暇時間の過ごし方については、エース級の人材はどんなことを心がけているのでしょうか?

紫垣:端的に労働時間で考えると、休みの時間が増えますが、会社が週休3日になったからといって、仕事のことを全く考えてはいけないというわけではないですよね。

自由な時間が増えるわけですから、例えば自分の成長につながりそうなことをしてみる。人に会いに行くでもいいですし、自分に欠けているものをインプットしに行く。実は成長につながる行動って、仕事そのもの以外にもたくさんあるんですよ。勉強もそうだし、企画を考える人なら、映画館なり展覧会に行ってヒントがもらえることもありますよね。

もちろん、仕事に直結しなくてもいいけれど、自分の「WANT」や「WILL」の糧にあるもの。自分を高める時間として、余暇時間を上手く使うべきでしょうね。もちろん、パフォーマンスを保つためのリフレッシュも大切です。

上司の立場から見たときの「伝説の新人」の育成方法

著者、紫垣樹郎さんお写真

―― この『マンガでわかる 伝説の新人』は、育成する立場の上司も参考になる一冊だと思います。「この新人は将来エース級になれる」と見込める素材が出てきたとき、どのように接することが大切ですか?

紫垣:最近のキーワードですが、心理的安全性、セキュアベースを大切にすべきでしょうね。ちゃんと見てくれている人がいる環境だからこそ、思い切ったチャレンジができるものです。だから上司が「お前のことをちゃんと見ているよ」と伝えて、安心感を与えることが大事です。

ただ、それは甘やかすとは別です。心理的安全性をしっかり作り出すコミュニケーションを取りながら、自らチャレンジしたくなるような主体性を育てていく。それが上司には求められます。

―― 仕事を新人に振るときは、どのレベルの仕事を振ることを心がけるべきなのでしょうか。

紫垣:その新人がジャンプしてギリギリ届くくらいのレベルですね。全く届かない仕事を任すのは、失敗して諦めを覚えさせてしまうだけなのでNGです。

一方で簡単な仕事を与えても退屈なだけですから、CSバランス、チャレンジ(C)とスキル(S)のバランスを取っていくことが大切です。

―― 仕事に対して「当事者意識」を持ってもらうことは極めて重要だと思うのですが、そのための手段などありましたら教えてください。

紫垣:最近、人から聞いて共感したのですが、「部下からの愚問に答えてはいけない」ということなのだろうと思います。

その愚問とは「これはどうすればいいですか?」という、自分の考えを放棄して答えを教えてもらうだけの質問ですね。私が在籍したリクルートでは、そういう質問をされたときに返答の仕方が絶妙で、「お前はどうしたいんだ?」と上司が必ず聞くんですよ。そうやって、自分で考えさせて仕事を進めていく。それが積み重なっていくと、主体性が生まれるわけです。

だから「どうすればいいんですか?」という愚問には答えない。そこは意識すべきことだと思いますね。

―― では、新人側の「こうしたいです!」という答えについては、基本的にはそれで進めさせるべきなのでしょうか?

紫垣:仮に的外れなことを言っていたら会話をすることも大切です。そこは指摘しないといけない。でも、メンバー一人一人が意見を発する機会をつくること自体が、新人にとって大きな学びになると思います。

AI時代でも変わらず結果を出せる人材とは?

―― 本書に書かれている「新人時代は失敗が許されている唯一の期間である」という強みは、新人の皆さんにぜひ覚えておいてほしいなと思います。

紫垣:そうなんですよね。当然、新人の方々は気づいていないけれど、極端な話、上司は「これが失敗したら会社が傾く」というような仕事は任せません。言うなれば、新人に対して期待はしているけれど、期待値はそんなに高くない。それが新人ですから、その状況を俯瞰して、恵まれた環境の中でチャレンジをしないのはもったいないですよね。

―― また、自分のお手本となるような存在がいると行動しやすくなるのではないかと思うのですが、そういう人はどう探せばいいのでしょうか?

紫垣:そういう存在となる人が近くにいればいいんですけどね。私の場合、尊敬できる先輩がたくさんいましたが、この部分はあの人がすごい、あの部分はこの人がすごいという感じで、「何から何までこの人にようになりたい!」という存在はいませんでした。

でも、それでも良いんです。自分の足りないところ、伸ばすところを謙虚に見つめて、その部分に長けている先輩をリスペクトして学ぶ。そういう風にいろんな人から学ぶというのも一つの手だと思いますよ。

―― 『マンガでわかる 伝説の新人』では主人公である美由希の叔父がメンター役として登場します。メンターはいたほうがいいですよね?

紫垣:いないよりはいたほうがいいですが、美由希の叔父ほど完璧な人もいないでしょう(笑)。これはマンガで分かりやすく伝えるための一つの方法として、叔父の存在をメンターに据えました。

ただ、学びを吸収することはメンターがいなくてもできます。そのもっとも簡単な方法が本を読むことですね。さまざまな世界を吸収できるし、その人の考え方がまとまって書かれているのでインプットもしやすい。自分の興味が向いている方にいる先駆者の考えにのめりこんでいけます。

どんな職業・仕事においても第一線で活躍している人たちの言葉は学びになります。それこそ、私たちはイチローさんのインタビューを聞いて学びにしているわけですよね。そういう意味で、様々な人の書いた本を読むというのはいいことだと思いますね。

―― 今後、まさにAI時代を迎える中で、そのAI社会の中心にいるのが今の新人と呼ばれる世代の人たちだと思います。時代が変わってもビジネスで結果を出せる人はどんな人だとお考えですか?

紫垣:ビジネスを楽しんでいる人。自分なりに考えて「こうしたらいい」とか「こういう風にしよう」と考えてそのために動き続けていける人ですね。そういう人は、常にビジネスを楽しみ続けられるという強みを持てます。

―― では最後に、これから本格的に仕事がスタートする新人たちに新社会人にメッセージをお願いします。

紫垣:これから長く仕事を続けていくわけですから、断然楽しんだ方がいいです。そのコツは、やらされるのではなく、主体的な意識を持って仕事をすること。自分なりに工夫したりして、小さいことでいいから結果を出せるようになるといいですね。

また、その仕事の目的、期待値がどのくらいなのかを絶対に外さないこと。相手の求める期待値を1%でも超えようと意識すると、相手から喜ばれて次のチャンスをもらうことができる可能性が高くなります。

おそらく、仕事には「楽しい仕事」と「楽しくない仕事」があるのではなく、「その仕事を楽しくする自分」と「仕事を楽しまない自分」がいるだけなのだと思います。ならば、自分で仕事を楽しくしていくように心がけてほしいですね。

書籍情報

目次

  1. プロローグ 人生の成長角度は20代で決まる
  2. 第1章 伝説の新人は、チャンスのつかみ方が違う
  3. 第2章 伝説の新人は、当事者意識が違う
  4. 第3章 伝説の新人は、時間のつかい方が違う
  5. 第4章 伝説の新人は、伝え方が違う
  6. 第5章 伝説の新人は、解釈力が違う

プロフィール

― 著者 ―紫垣樹郎(しがき じゅろう)

株式会社インサイトコミュニケーションズ代表取締役
クリエイティブコンサルタント クリエイティブディレクター&コピーライター
1989年、株式会社リクルート入社。ベンチャー企業から大企業まで、企業の採用コミュニケーション・組織活性コミュニケーションのプランニング・クリエイティブディレクションを担当し、入社4年目に社内MVPを受賞。
96年、コピーライターとして活動を開始、2年後に東京コピーライターズクラブ最高新人賞を受賞。
2003年からはクリエイティブディレクターとしてリクルート自社商品のマーケティングプロモーション・ブランドコミュニケーションへと活動の範囲を広げる。
05年には本格的なコミュニケーションを追求するため、インサイトコミュニケーションズ設立。
クリエイティブワークを活かしたコミュニケーションのコンサルティング、クリエイティブディレクション、コピーライティングを柱に活動中。

― シナリオ ―秋内常良(あきない つねよし)

作家。シナリオライター。東京都稲城市出身。
慶應義塾大学卒業後、演劇活動のかたわら映像制作業を開始。
企業PRやテレビ番組などの映像制作に携わる。
その後、小説コンテストの新人賞入賞を機に執筆活動も開始。
携帯小説、短編物語、ビジネスコミックのシナリオを多数執筆。

― 画 ―三輪亮介(みわ りょうすけ)

漫画家・イラストレーター。1983年、千葉県生まれ。立教大学出身。
2011年『Heart's Knock』で小学館新人賞を受賞し、
2012年アフタヌーンにて『あたたかい雪』でデビュー。
エンタメからビジネスコミックまで幅広く活躍中。