「根性」でも「体力」でもない”本当の強み”はこれだ
アスリート人材 飛び抜けた突破力と問題解決力で100%やり遂げる!

アスリート人材
飛び抜けた突破力と問題解決力で100%やり遂げる!

著者:松本 隆宏
出版:マネジメント社
価格:1,540円(税込)

Amazonでみる

本書の解説

スポーツに全力で打ち込み、勝利やタイムを縮めることを目指して全力を注いでいるアスリート。彼らは競技の練習や試合を通じてスポーツ以外の道に進んでも役立つ多くの能力を得てきているのだが、競技に真剣に打ち込んでいる人ほど、現役を終えて社会に出た自分をイメージできず「何ができるのかわからない」となりやすい。

「体力だけが取り柄」の思い込みが元アスリートのビジネスでの成功を妨げる

こうしたアスリート人材への社会の目はどうだろう。
「体力がある」「困難を乗り越えて目標をやり遂げるまで努力を続けられる根気がある」などプラスの見方もあれば、体育会特有のしごきや厳しい上下関係への忌避感から「パワハラ気質があるのではないか」「体力・根性だけの人間」といったイメージを持っている人もいる。

こうしたさまざまな見方があるなかで「アスリート人材には特別なポテンシャルがある」とするのが『アスリート人材 飛び抜けた突破力と問題解決力で100%やり遂げる!』(松本隆宏著、マネジメント社刊)だ。

アスリートは競技を極めようとする中で様々な能力を身につける。効果的にトレーニングをするには計画性が必要だし、自分やライバルの現状を分析する力も磨かれる。これらは企業で働く上でも大いに必要とされる能力だ。

問題は競技生活で身につけたこうした能力を、アスリート本人があまり自覚していないことだ。「スポーツしかやってこなかった人間」と自分で自分にレッテルを貼り、職場での自己紹介では「体力だけが取り柄です」と自己紹介してしまう。本当はもっと様々な能力を身につけているのに、である。

アスリート人材の無限のポテンシャル

では、アスリート人材には具体的にどのような強みがあるのだろうか。本書では

・目標達成に向かうセルフコントロール術…大会という「本番」から逆算し、どのような準備をするのかを考える習慣がついている。
・常に勝利に向かう戦略的思考…競争に慣れていて、勝つために何が必要なのかを考えることができる
・「必ずやり遂げる」 という強い意志…うまくいかない時でも挑戦し続ける姿勢を持っている。
・挫折を知っている…挫折を乗り越えた経験を重ねているため、打たれ強い。
・現状に満足しない…成功したところで満足せず、更なる高みを目指すメンタリティがある。

など、仕事のパフォーマンスに直接影響するアスリート人材のストロングポイントをあげている。アスリートとして優秀な人ほど、これらの能力が高いと言える。



「スポーツしかやってこなかったこと」は、恥じることではない。アスリート人材には競技生活を通じて、これから何をするのであっても土台となる能力がしっかり身についている。

本書はアスリートがビジネス人材としての自分の強みを把握する手助けとなる一冊。自分の特徴を最大限活かし、自信を持って社会で活躍するために、役立ってくれるはずだ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

■体育会系人材が備える、ビジネスで活きるすごい能力

『アスリート人材 飛び抜けた突破力と問題解決力で100%やり遂げる!』についてお話を伺えればと思います。まず、今回の本を書いた動機についてお聞かせください。

松本: アスリートとして競技に没頭していた人は、その過程で社会に出ても通用する得難いスキルを身につけています。たとえば目標達成のために自分自身をコントロールする術であったり、勝つために何が必要なのかを考えて訓練を積む分析的な思考などです。

それらは社会に出てからも必要な能力で、社会に出る前に身につけているのは大きなアドバンテージになるはずなのですが、「そういった能力を身につけている君たちはすごいんだよ」と言ってくれる人がどのくらいいるのか、というと少ないと思うんですよね。

体育会でスポーツに打ち込んでいる学生やアスリートに、自分達が競技の過程で身につけた能力に気づいてもらいたいというのが、本書を書いた動機になっていたのでしょうか。

松本: そうですね。私は大学まで野球をやっていたのですが、野球を通じてこうした能力が既に身についていることが就職する当時はわかりませんでした。

その意味では今回の本は私自身が学生時代に欲していた情報を盛り込んだものだと言えます。競技に打ち込んできた人は「スポーツしかしてこなかった人」ではなく「実社会でも活きる経験を培ってきた人」だということを知ってもらいたいと思います。

松本さんは高校・大学と名門チームで野球をやってこられました。となると、頭の片隅には「プロ野球」があったかと思いますが、当時は社会に出た後の自分についてどんなイメージを持っていましたか?

松本: 高校時代に運よく春の選抜高校野球に出ることができたのですが、そこで全国レベルの選手を見た時に、自分は到底プロに進める選手ではないと感じて、途中からはプロ野球に進むイメージは湧きませんでした。大学で野球を続けて、社会人野球に進めたらいいな、くらいのイメージでしたね。

会社員になった自分のイメージは持っていましたか?

松本: それは全然なかったです。父が消防士だったので、そういう仕事への憧れがあったのですが、大学でケガに泣かされたこともあって自分は体が強くないということはわかっていましたし、痛みもありますし、何より消防士になるには筆記試験があるじゃないですか。それまで勉強らしい勉強をせずにきていましたから、筆記試験に通らないだろうと思って、どうしたものかと考えていました。

アスリート自身が「自分はスポーツしかやってこなかった人間」だと考えて、スポーツをする過程で身につけてきた様々な能力を自覚していないというご指摘には納得しました。アスリートが競技以外でも活きる能力に自分で気づかないことにはどのような背景があるのでしょうか?

松本: 一つ言えるのは助言者がいないことでしょうね。

ましてチームメイトは基本的に自分と同じ経験をしているわけで、客観的な視点を持っているわけではありませんし、寮生活をしていたりすると一般学生との接点も少ないでしょう。誰かが助言してくれれば気づけるのに、助言してくれる人がいないというのが一つの背景だと思います。外の世界との接点が限られていますから、自分で気づく機会も少ないですしね。

確かにそうですね。

松本: ただ、競技ごとに特性はあれど、身につけてきた能力は必ず社会で活きるものです。コンマ何秒を縮めるために毎日トレーニングを積む陸上選手が、そのストイックさを持ち続けたら他のことでも成功すると思うんですよ。ただ、その追求心が他の人は持ち合わせていないすごい能力なんだということに気づける機会がない、ということですね。

アスリートが社会に出たときに「自分に何ができるのか見当がつかない」という状態はよくわかります。そういうことにならないように、アスリートは現役中から競技を離れた後の自分についてある程度考えておくべきなのでしょうか?

松本: 競技をやっている間はそれに全身全霊打ち込めばいいと思います。何かを追い求めながら他のことも考えるって、そう簡単なことじゃないですよ。後ろの扉を閉めてでも一定期間没頭するのはいいことだと私は考えています。

結果、競技生活を終えた時点では「自分に何ができるのかわからない」となるかもしれませんが、それは当たり前のことです。その状態から「こんな人生がいいな」「あの人みたいになりたいな」とモデルを見つけながら模索していくのが大切なんだと思います。

■なぜアスリート人材はスポーツで培った能力を仕事で活かせないのか

本書では能力や精神性、礼儀正しさなど、アスリート人材のさまざまな強みを挙げられていました。その中でもこれからの時代において特に活きてくると予想される強みがありましたら教えていただきたいです。

松本: どの能力も活きると思います。たとえば、体育会でスポーツをやっていた人って、教わることにも教えることにも慣れている人が多いのですが、教えてもらったことを自分なりに解釈したり、逆に自分の感覚を言葉にして人に伝えられるって、考えてみるとすごい能力ですよね。

また、イメージ力もスポーツをやっていた人の大きな強みだと思います。たとえば野球でカーブを打つとなったら、どんな球筋でボールがきて、どのタイミングでスイングするかをイメージします。そうやってこれから起こることを思い描くことは、営業でも経営でも大切なことです。このイメージ能力の高さは競技者特有のものでしょうね。

本書で指摘されていたように、世界経済フォーラムの「2022年に企業が求めるビジネススキルの調査レポート」にある能力の多くはアスリートが日々の鍛錬で習得しているものです。これらの能力をビジネスの現場で発揮していくためにはどんなことが必要になるのでしょうか。また、ビジネスの現場で発揮できる人とできない人の違いについてもご意見を伺えればと思います。

松本: 一つは「競技者としては現役を退いたけど、ビジネスの世界でもやってやるぞ」という「想いの強さ」でしょうね。どんなことをするにしても、「今より良くなりたい」という思いが根底にないと何も生まれないと思うので。

もう一つは「敏感さ」だと思います。同じ風景を見ても、何かに気づいて仕事に活かせる人もいれば、何も感じずにただ見ているだけの人もいます。両者の違いは大きいですよ。

たとえば商談をしていて、顧客の顔色が変わった時に何を察知するのか。私がやっていた野球はこういう小さな変化に気づくかどうかが大切なスポーツです。経験上、野球をやっていた人はこういう敏感さに長けた人が多いのではないかと思います。

ただ、繰り返しになりますが本人には自分が身につけてきた能力を客観視できる人が少ないということですか。

松本: そうですね。だから競技から得てきた能力をなかなか仕事と紐づけられないんです。逆に言えば紐づける技術を身につければ、自分の過去がもっと活きてくるはずです。

今回の本がそのために役立ってくれたら嬉しいです。自分が身につけてきた能力に気づいて、スポーツで得た経験やスキルを仕事と紐づけられれば、商談でも交渉ごとでも気後れせずに臨めるはずなので。

本書はアスリートや元アスリートだけでなく、人材採用に関わる人や経営者にも向けられていると感じました。こちらの方々にアスリート人材について伝えたいことはどんなことですか?

松本: 体育会の学生やスポーツに打ち込んできた人たち本人は、自分たちの能力に気づいていないことが多いので、そこに気づかせて自己概念を磨くように促していただきたいですね。

自己概念とは「自分は社会人として武器になる能力を持っている」という自己概念ですよね?

松本: そうですね。能力に気づいただけでは不十分で、その能力を磨き鍛えないといけないので。

あとは何よりマインドの部分を鍛えてあげることでしょうね。ストイックに打ち込むからこそ技術が伸びていくというのはスポーツも仕事も同じです。社会に出ても自己鍛錬は必要なのですが、意外と社会人になるとこれを怠ってしまう人が多いんです。

今回の本はどんな人を念頭に書かれましたか?

松本: 元々スポーツをやっていて今社会人として働いている方や、今まさに大学で部活をやっている方、スポーツをやってるお子さんをお持ちの父兄の方に読んでいただけたらと思って書きました。

最後に、そういった方々にメッセージをお願いします。

松本: 好きなことを夢中になってやるのはすごく大切なことで、やる以上は中途半端ではなくとことんやってほしいと思っています。夢中になるからこその喜びは必ずありますし、夢中になっているからこそ傷つくこともある。夢中になれることを通じて様々な経験ができるのは素晴らしいことです。

それが次のステージでどれだけ活きるのかは、次になってみないとわからないわけですが、野球が大好きな人は練習で疲れていても自主的にバットを振ることを「努力」とは思っていないはずです。どんなスポーツであれ、「好き」を通して誰に言われなくても目的に向かって地道に訓練する習慣が身についているのは大きな強みです。この本を通してそうしたアスリート人材ならではの強みに気づいていただけたらうれしいです。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. まえがき
  2. アスリートほどすごい人材はいない
  3. アスリートには挑み続ける姿勢が身についている
  4. アスリートは挫折を乗り越える勇気をもっている
  5. アスリートは感謝の言葉を知っている
  6. アスリートは人生の楽しみを知っている
  7. アスリートの活躍の場は無限にある
  8. アスリートの新しい挑戦が始まる
  9. あとがき

プロフィール

松本 隆宏(まつもと・たかひろ)
松本 隆宏(まつもと・たかひろ)

松本 隆宏(まつもと・たかひろ)

ライフマネジメント株式会社代表取締役
1976年、神奈川県相模原市生まれ。高校時代は日大三高の主力選手として甲子園に出場。東京六大学野球に憧れ法政大学へ進学。大学卒業後、住宅業界を経て起業。「地主の参謀」として資産防衛コンサルティングに従事し、この10年で数々の実績を生み出している。また、最年少ながらコンサルタント名鑑『日本のコンサルタント50』で紹介されるなど、プロが認める今業界注目の逸材。著書に『地主の参謀 ─ 金融機関では教えてくれない資産の守り方』(2018年、エベレスト出版)がある。

「地主の参謀」ホームページ:https://lifem.biz/

アスリート人材 飛び抜けた突破力と問題解決力で100%やり遂げる!

アスリート人材
飛び抜けた突破力と問題解決力で100%やり遂げる!

著者:松本 隆宏
出版:マネジメント社
価格:1,540円(税込)

Amazonでみる