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思い描いた未来が現実になるゴールドビジョン

定価 :

1,400円+税

著者 :

久野 和禎

出版社:

PHP研究所

ISBN :

4569832296

ISBN :

978-4569832296
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BOOK REVIEW

1月12日より放送が始まったドラマ『嫌われる勇気』(フジテレビ系列)。
原作本がシリーズ累計180万部を突破していることもあり、手に取ったことがある人も多いだろう。

原作本は、フロイト、ユングと並び、「心理学の三大巨頭」の一角として知られるアドラーが提唱した心理学の内容を、対話形式で分かりやすく解説したもの。「トラウマは存在しない」を始めとしたユニークな主張がヒットの要因のひとつである一方、その主張になじめない人も存在する。

ただ、こうした人であっても、『嫌われる勇気』がテーマとして扱う「どうすれば人は幸せに生きることができるか」という普遍的なテーマは無視できないはずだ。

■行き詰まりを感じている人が向かうべき「真のゴール」

『思い描いた未来が現実になる ゴールドビジョン』(PHP研究所刊)の著者である久野和禎氏はコーチングという見地から、『嫌われる勇気』と同様のテーマを追求してゆく。

たとえば「ありのままの自分を受け入れられない」という状態がある。これは自分の現在に満足できない状態であり、いうまでもなくとても苦しい。

久野氏は、こうした行き詰まりを打開するために考えるべきは、「自分が向かうべき『真のゴール』は何か」だと指摘している。

逆にいえば、真のゴールを見つけ、そのゴール実現に向けて「いまの自分」を変えようとし続けていれば、「このままでいいのだろうか…」という不満足の状態で立ち止まることはなくなるというわけだ。

■脳の仕組みにもとづいた「真のゴール」の見つけ方

では、どのように真のゴールを見つければよいのか。重要なのは、「現状の外で考えること」だと久野氏は語る。

たとえば、いまの自分の年収が500万円、自分の会社の社長の年収が2500万円だとして、年収5倍を目指す。これでは社長になりさえすれば目標が達成できることになる。つまり、「現状の中」でしか目標を考えていないことを意味する。

しかし、「最低でも年収10倍を目指す」ぐらいまで突き抜けた目標を設定すると、現状をベースに考えていても実現方法は思いつかない。 これはお金だけでなく、家族や趣味、健康など様々な方面に対しても同じように考えるのが望ましい。

久野氏によれば、脳はもともと現状維持を好む。ゆえに放っておくと、脳は「望んでいる状態」よりも「慣れ親しんだ状態」へ流れていこうとするのだという。

そうならないため、意識的に「現状の外」で目標を設定しようとすることにより、発想に大きな飛躍が生まれ、自分でも思ってもいなかったような成果を生むことができる。これこそが、大きな幸せをつかむことにつながるのだ。

ちなみに、これらのことは、久野氏の提唱する「ゴールドビジョン®」なるメソッドにもとづいて述べられている。このメソッドをひと言で表すなら、「すでに実現された」と感じられるほど、ありありと自分の輝かしい未来を想像するためのもの。いまの自分に満足が行っていないなら、チェックしてみる価値はあるだろう。

(新刊JP編集部)

BOOKDATA

プロフィール

久野 和禎

著者写真
コノウェイ株式会社代表取締役。一般社団法人コグニティブコーチング協会副代表。プロコーチ。
1974年、横浜市生まれ。東京大学経済学部卒。筑波大学MBA(International Business専攻)。幼少期をサンフランシスコ、中学高校生時代をロンドンで過ごす。大学卒業後に起業し、2社を並行して経営した後に人材系企業を経て、複数の外資系大企業(タイコエレクトロニクス〈米〉、フィリップス〈蘭〉、ビューローベリタス〈仏〉)で多様なマネジメントポジションを担う。その後、ProFuture を経て、2015 年12 月にコーチングを軸としてコンサルティングを加えたサービスを提供する総合経営支援企業、コノウェイ株式会社を創業。

全米で数多くの企業・組織に導入されているルー・タイス氏の手法と、苫米地英人氏から学んだ認知科学の知見を融合させ、独自の目標実現メソッド「ゴールドビジョン®・メソッド」を開発。

大企業役員、中小企業社長、マネージャー、現場のビジネスパーソンまで幅広い対象のクライアント層に対してコーチングを行なっており、グループ、マンツーマンで1000人以上に対してのコーチング実績を有する。企業に対しては、個々の強みを活かしながら組織にハイパフォーマンスカルチャーを醸成・定着させることを得意とする。テンプル大学にて認知心理学(コーチング)の講義を担当。

■ コノウェイ株式会社
http://conoway.co.jp/
■ 久野和禎のサイト
https://www.kazuyoshi-hisano.net/

目次

  1. 序章ゴールドビジョン®とは何か?
    1. 今の自分を変え、確実に目標を実現する方法
    2. 脳と心を上手に使うためのサポーター
    3. 日本人がより効果を上げるためのコーチング
    4. ゴールドビジョン®は自分が作り出すもの
  2. 第1章どうして目標を達成できない人が多いのか?
    1. 「〜したい」と思うほど、できなくなる
    2. 脳は「現状維持」が大好き
    3. 前例という「盲点(スコトーマ)」
    4. 動物のゴールと人間のゴール
  3. 第2章ゴールドビジョン®で現状を超えて突き抜ける
    1. 世界企業は必ずゴールドビジョン®をもっている
    2. 低いゴールより高いゴールのほうが達成しやすい
    3. 「燃え尽き症候群」にならないために
    4. なぜ「年収1500万円 」は目標にならないのか?
    5. もうひとりの自分、「無意識くん」を味方につける
  4. 第3章いいゴール、悪いゴール
    1. ゴール設定に必要な3つの軸
    2. 「すごい軸」で考える
    3. 「MyThing」で強力なパワーを出す
    4. やりたいことだけやって、本当に大丈夫なのか
    5. ゴールドビジョン®の見つけ方ークライアントとのセッションから
    6. ゴールドビジョン®に「正解」はない
    7. 「たくさん軸」で人生を丸ごと幸せにする
    8. 「今が幸せ」な人もゴールは必要
    9. ゴールドビジョン®に必要な3つの力
  1. 第4章「未来の記憶」がゴールになる─第一の力 未来を視る力
    1. ゴールを「見る」、そして、「感じる」
    2. 時間は未来から流れてくるもの
    3. ゴールは必ず「現在形」で書く
    4. 朝に唱えるゴールのパワー
    5. 大事なのは「自分目線」
    6. 五感をフル稼働させる
    7. 成功したときの感情を取り出す
    8. コンフォートゾーンに揺さぶりをかける
    9. 歯を磨くように「ゴールを視る」
  2. 第5章 脳に新しい回路を作る―第二の力 自分を信じる力
    1. ゴールを設定しても実現できない理由
    2. 「自分を信じる力」とは何か
    3. 「自己評価ばかり高い人」との違い
    4. 他人のモノサシを外す
    5. 「思考のクセ」を壊そう
    6. セルフトークで新しい脳の回路を作る
    7. 質の高いセルフトークを「無意識くん」に刷り込む
    8. セルフトークで人生は変わる
    9. 「無意識くん」の純度を上げる
    10. 自分の「湧き出し型セルフトーク」を書き出してみよう
    11. セルフトークで「踏ん張る力」をつける
    12. 「君ならできる!」と言ってくれる脳内応援団を作る
    13. 自信に「根拠」はなくていい
  3. 第6章ゴールドビジョン®を劇的に引き寄せる―第三の力 人を巻き込み動かす力
    1. なぜ「セミナー難民」になってしまうのか
    2. 脳は「行動すべきとき」を知っている
    3. コンフォートゾーンは「人」で作られる
    4. リアルで場を共有する重要性
    5. 大きな差を生む「人を巻き込み動かす力」
    6. (1)一歩を踏み出すための「出会う力」
    7. (2)ゴールの世界にとどまるための「つなげる力 」
    8. (3)「信頼される力」がなければ相手にされない
    9. (4)「推薦される力」にはタグが必要
    10. (5)「伝える力」は「無意識くん」同士のコミュニケーション
    11. (6)できる営業マンは「植える力」をもっている
    12. (7)「育てる力」なくしては、花は咲かない
  4. 終章ゴールドビジョン®で人生が変わる
    1. ゴールドビジョン®で人生が変わった
    2. 子供の頃から興味は「人助け」

INTERVIEW

2017年がスタートして約1ヶ月。正月休みを使って新たな目標を立て、その達成に向けてがんばっている人も少なくないだろう。

だが、もし早くも挫折しかけているなら、正すべきは「三日坊主な自分」ではなく、あなたの周りの人間関係かもしれない。

これは、決して「他人のせい」にしているわけではない。というのも、目標を達成できるかどうかは、その人が普段どのような人たちと関わっているか、の影響を受けるからだ。

今回は、その関係について、『思い描いた未来が現実になる ゴールドビジョン』(PHP研究所刊)の著者であり、コーチングのプロである久野和禎さんにお話をうかがった。

■「現状維持を好む」脳の仕組みを利用した目標の立て方

著者写真

――まずは、本書のキーワードである「ゴールドビジョン®」がどのようなものかを教えていただけますか。

久野: いまの自分を変え、目標を実現し、人生の新たなステージに進むための方法論です。ひとことでいえば、「現状を超えたゴール」を設定して、それを実現していくためのものですね。

たとえば今、TOEIC400点の人であれば、「600点をとる」といったような、がんばれば手が届きそうな目標ではなく「950点をとる」という目標設定をする。

詳しくは後ほどお話ししますが、一見「ありえない」ゴール設定をすることで、脳のポテンシャルを引き出すことができます。結果、大きな成果をおさめることができるようになる。

このようなゴールを実現するための一連のプロセスをまとめたのが、ゴールドビジョン®です。

―― どのようにして、このメソッドが出来上がっていったのでしょうか。

久野:30代のころ、苫米地英人氏のもとでコーチングを本格的に学び、自分自身の人生に取り入れることにより、仕事で高い成果をおさめることができました。

その一方で、クライアントの方にコーチングを行なうなかで、現状にとらわれずに目標設定することの重要性を頭では分かっていても、なかなか実行に移せない人が多いことが分かってきた。

そして、「頭では分かっているのに、行動に移せない人」を見ていくうちに、人がブレイクスルーできるかどうかの鍵を握るのはコンフォートゾーンであると気づいたんです。

――コンフォートゾーンとは何ですか。

久野:その人が、そこにいて快適に感じる空間や状態のことです。たとえば、いつも満員の通勤電車に揺られて会社に行っている人は、「通勤の満員電車」と「運転手つきのリムジン」、どちらをコンフォートゾーンと感じるか。

答えは「通勤の満員電車」です。なぜなら、脳にとっては「慣れ親しんだ空間」のほうが快適だから。

脳は現状維持を好む。人は普通にしていると現状のコンフォートゾーンを維持するものなのです。

――つまり、現状を打破し、大きな成果を収めるためには、コンフォートゾーンを変えなければならない、と。

久野:その通りです。先ほどのTOEICの例でいえば、「600点とる」ことを目標にしてしまうと、脳は「この程度のゴールなら、今までどおりで大丈夫だろう」と判断し、現状=コンフォートゾーンという状態から抜け出せなくなってしまうのです。

――とはいえ、自分ひとりの力だけで、現状から抜け出すのは難しいのではないでしょうか。

久野:そこで考えていただきたいのが、コンフォートゾーンの最大の構成要素が「人」であるということです。

もし、あなたが会社を辞めて起業したいとしたら、今いる会社の人間関係の外に出ることがまず必要です。自分が目指したいゴールの世界、つまり「起業した人たちの集まり」に積極的に出ていくことが求められます。

話をまとめると、現状=コンフォートゾーンという状態から抜け出したいのなら、付き合う人間を変え、自分が目指すゴールの世界ですでに暮らしている人たちと関わっていくことが重要なのです。

■ 相手の器の大きさを一発で見抜く、究極の質問

著者写真

働く環境を一新したい。
そんな人にとって、転職は魅力的な選択肢のひとつだ。

だが、転職する側に心の余裕がないときほど、「選ばれる」ことに熱心になり、相手におもねりがち。こちらが相手を「選んでやる」ぐらいの気概がなければ、その転職は状況をさらに悪化させる危険性がある。

では、「選んでやる」ために、相手のどこを見るべきなのか。人それぞれだろうが、「社長の器の大きさ」を見るというのは、ひとつ重要な視点かもしれない。

そこで、相手の器の大きさを見定めるためのヒントを探るべく、コーチングのプロである久野和禎さんへのインタビューを敢行した。

■「自分を信じる力」が高い人はここが違う

――インタビューの前半では、「付き合う人を変えれば、現状維持に陥らずにすむ」というお話がありました。本書では、ブレイクスルーする上で、「自分を信じる力」の高い人と付き合うことの重要性も説かれていますね。

久野:「自分を信じる力」のことを、コーチング用語で「エフィカシー」といいます。これは、「自分ならできる!」と心から確信している度合いのことです。

自分が目指すゴールの分野で実績を残しているエフィカシーの高い人と付き合えば、その人に引っ張られるようにして、自分のなかのコンフォートゾーンを一気に動かすことができます。

つまり、エフィカシーの高い人と付き合うことにより、ブレイクスルーに近づくことができるわけです。

――では、目の前の人のエフィカシーが高いかどうかを見分けるためには、どうすればよいですか。

久野:まずは、「あなたが目指すゴールは何ですか」と聞けばいいと思います。ゴールとエフィカシーは鶏と卵の関係にあるので、ゴールが高くなるとエフィカシーも高まるし、エフィカシーが高まるとゴールも高まっていきます。

したがって、どれくらい高いゴール設定をしているかを聞くことで、エフィカシーの高さを知ることができるのです。

たとえば、転職の最終面接でベンチャー企業の社長と話す機会に恵まれたなら、失礼にならないような聞き方で「ゴールは何ですか」と質問してみる。「とりあえず上場ですね」といった答えが返ってきたら、そこでさらに、上場の先に何を見ているのかを聞いてみることをおすすめします。

単に上場できればOKなのか、それとも「もっと大きなもの」を実現するための手段として「上場したい」と言っているのかを明らかにする。つまり、その人のなかにある「真のゴール」を把握し、その器の大きさを見定めようとすることが大切なのです。

ただ、相手が自分よりも上のレイヤーにいる場合、相手のエフィカシーがどれくらいなのかを理解することは難しい。

――ということは、自分自身のエフィカシーを高めないかぎり、エフィカシーの高い人とつながることはできないということでしょうか。

久野:その通りです。では、どうすれば自分のエフィカシーを高められるかといえば、これまで知らず知らずのうちに縛られていた、いくつかの「モノサシ」から自由になることが不可欠です。具体的には、お金、時間、他人という三つのモノサシです。

「たくさんお金を稼いでいるほうが偉い」と考えてしまうのは、お金のモノサシにとらわれているからですし、「以前やってできなかったから、今度も無理だろう」と思ってしまうのは、過去にとらわれているという意味で、時間のモノサシに縛られてしまっている。

また、ある女性が「自分の考えを主張するのは怖い」と感じてしまっているのなら、それは「はっきり自己主張する女性はかわいくないので嫌われる」という他人のモノサシに振り回されている可能性があります。

これらのモノサシを一つひとつ外していくことで、自分のエフィカシーは確実に高まっていきます。

――本書では、ゴールドビジョン®を実践するにあたり、「心からやりたいこと」を見つけることが重要だとも書かれています。

久野:心からやりたいことが見つからない状態とは、他人の声に耳を傾けすぎている状態ともいえます。

たとえば、子どものころに親から「小さい会社よりも、大きな会社に勤めたほうが安泰」と言われ、大人になった今も、それを真に受けてしまっている人がいたとしましょう。

もちろん、これが100%ウソだとは言いませんが、当てはまらない人がいるのも事実です。大切なのは、そのようなメッセージはあくまで他人の声だと、自分から切り離して考えることです。

――では、どうすれば他人の声から自由になることができるのでしょうか?

久野:設定しようとしている目標が「have to(~しなければならない)」という思いから出てきていないかチェックするのは、ひとつの方法です。

突き抜けるためには、「want to(~したい)」にもとづいて目標を設定することが大切。でも、「心からやりたいことが見つからない」という人は、「have to(~しなければならない)」で発想してしまいがちです。

「want to(~したい)」にもとづき高いゴールを設定しさえすれば、あとは脳が勝手に「そのゴールに辿り着くには、どうすればいいか」と計算を始めてくれる。皆さんにはぜひ、この点を覚えておいていただきたいですね。

――ゴールを設定することから、すべてが始めるのですね。

久野:その通りです。人間の脳が生得的に持っている能力のひとつとして、「ゴールがあると分かると、そのゴールに向かっていく」というものがあります。ゴールを定めた瞬間、人はそれを目指したくなるものなのですね。

この能力があったからこそ、われわれ人類は生き残ることができたともいえます。つまり、目の前に鹿がいたとして、「まぁ、どうでもいいや」と思わずに「捕まえたい」と思う能力があったからこそ、われわれの祖先は飢え死にせずに済んだのです。

まわりが思わず手を貸したくなる! 人を巻き込むための目標設定術

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突然だが、あなたがこれまでに達成した目標のなかで、最も大きなものは何だろうか。また、その目標達成の道のり振り返るとき、あなたに救いの手を差し伸べてくれた人はどれくらいいただろうか。

言うまでもないが、達成したい目標が大きければ大きいほど、多くの人の助けが必要となる。逆にいえば、多くの人を惹きつけることができれば、どんなに大きな目標であれ、達成の可能性は高くなる。

では、自分の目標のために人を巻き込んでゆくには、どのようなことに気をつけるべきなのか。
これまで多くの経営者の目標達成支援にも携わってきた久野和禎さんに、そのポイントを聞いてみた。

■ どれくらいの時間をかけ、どれくらい先を見て目標を立てるべきなのか

――インタビューの前半~中盤では、ゴールドビジョン®を人生に取り入れる上での準備作業の話を中心にうかがいました。この後半部分では、「では実際、どのようにゴールを設定し、実現していけばよいのか」を中心にお話をうかがえればと思います。

久野:ゴールを見つけるのはなかなか大変で、自分一人でやろうとすると、2年から3年はかかるのが一般的です。

インタビューの中盤で、お金、時間、他人という三つのモノサシから自由になることが重要という話をしました。

これまで優等生的な生き方をしてきた人ほど、モノサシにとらわれ、頭のなかが「こんがらがった糸」のようになっています。それを自力で一つひとつほぐしていかなければならないので、自ずと2年から3年はかかるのです。

――ちなみに、何年後くらいをイメージしてゴール設定するものなのでしょうか。

久野:入口として、まずはクライアント自身の10年後を考えていただき、最終的には30年後、50年後くらいまでイメージしていただくことが多いです。

私が関わるクライアントさんには60代の方も多いのですが、そういう方には「110歳の自分」までイメージしていただくことになる。この作業をするだけで「まだ自分の人生は50年もあるのか」と思い、皆さん例外なく「勇気が湧いてくる」と言います。

また、クライアントが会社の経営者なら、「せめて100年先くらいまでのことは考えてください」と言います。本当に一事を成すつもりなら、せめて孫の世代のことまで考えてあげてくださいよ、と。

実際、歴史に名を残す経営者は、それぐらいのスケールで考えているケースが珍しくない。たとえば、松下幸之助さんはかつて松下電器の250年計画を提示したというエピソードがあります。

――たしかに、それくらいのスパンで考えれば、自ずと「高いゴール」になる気がします。ところで本書では、ゴールを実現するにあたり、三つの力が必要だと書かれていますね。そのなかで、特に習得が難しい力はどれでしょうか。

久野:はい、「未来を視る力」、「自分を信じる力」、「人を巻き込み動かす力」の三つですね。このなかで習得が最も難しいのは、インタビュー中盤でも触れた「自分を信じる力」です。

また、「人を巻き込み動かす力」は結局のところ「人を信じる力」に依拠する部分があるので、これも「自分を信じる力」を高めていけば自然と身につきます。

その意味では、逆に最も習得が容易なのは、「未来を視る力」でしょう。きちんとトレーニングしさえすれば、この力を高めることができ、結果として、自分の現状の「外」にあるゴールを適切に設定できるようになります。

――「未来を視る力」はどのようにして伸ばしていけばよいのでしょうか。

久野:本書のなかでも紹介した「バランスホイール」と呼ばれる図を使って、自分の思いや考えを整理していくのがおすすめです。

バランスホイールの図画像

これは、職業、家族、健康、友人、趣味、お金(ファイナンス)、社会貢献、教養などの項目について、それぞれどんなゴールを望むのかを書きだしてみるというもの。

「ゴールは仕事に関するものでなければいけない」と言うのはもちろん大きな誤解です。「社外に友人を作る」(友人)、「俳句を始める」(趣味)などといった具合に、プライベートでのゴールも設定することで、より脳が活性化し、「イメージする→文章にする」というサイクルを繰り返しやすくなるのです。

ちなみに私自身、8年前から今に至るまで、この図を更新し続けています。こうして「未来を視る力」を高めてきたのです。

――ちなみに、ゴールの達成状況は、どのようにしてチェックしていくものなのでしょうか。

久野:このメソッドでは、ゴールを「実現が近づいたら、更新するもの」として捉えています。したがって、いわゆる進捗確認のようなことはしません。

先ほども言ったように、私自身、いまでも「バランスホイール」を更新し続けています。重要なのは、この「ゴールを更新し続ける」という状態がコンフォートゾーンだと脳が感じるようになるまで、この作業を習慣化させることです。

その結果、常に自分を変化させ続けることができるのです。

――最後になりますが、読者の皆様へメッセージをお願いします。

久野:老若男女問わず、どんな人でも、自分なりのゴールドビジョン®をもって、それに向かって生きていく。仕事であろうが、プライベートであろうが、遊びであろうが、自分を向上させていく。そのことによって、人生をさらに充実したものにできると考えています。

私たちひとり一人の人生が豊かになることで、世界全体もより幸せな方向へ向かっていくと信じています。世界から戦争や飢餓をなくし、そして誰もが自分の才能を発揮して生きていける、そんな世界を一緒に作っていけたらと願っています。

(新刊JP編集部)

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