BOOKREVIEW 書評

今、「趣味・読書」の女性は婚活で成功をおさめやすい!?

今年6月に発表された明治安田生活福祉研究所の「20~40代の恋愛と結婚」についての調査によれば、30代の未婚者のうち、「結婚したい」と思っている人は男性で40%、女性で45%となった。

3年前の同じ調査では男性53%、女性60%だったので、数字は大きく落ちている。しかし、それでも30代未婚者の半数近くは結婚を望んでいるということだ。

しかし、婚活話と聞くと滑稽なエピソードばかりが耳に入ってくる。

年収1000万円以上の男性はNG!」と言い張る女性や、結婚に真剣に向き合い過ぎて女性を質問攻めにする男性など、自分の人生を左右する大きな出来事だからこそなのだろうが、本性がにじみ出てくるのである。

では、婚活をうまく乗り切る女性はどんなことをしているのか?

婚活アドバイザー兼結婚相談所所長の大西明美さんが執筆した『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版刊)から、意外な趣味で婚活を成功させた40歳の女性のエピソードを紹介しよう。

■スペックの高い男性「若い女性との会話は疲れる」

さきこさん(40歳)はぽっちゃりな体型に年相応のルックスと、地味目の印象を持たれるアラフォー女性。趣味は読書、映画鑑賞とこれまた地味。

しかしこの方、大西さんの紹介で出会った、としたかさん(42歳)と結婚をした。

としたかさんはスポーツマンでイケメン、上場企業に勤務し、このご時世で年収は800万円。世の婚活女子が羨むスペックを持っている。大西さん自身も「若くて綺麗な女の子をたくさん紹介したのに、どうしてプロフィールの段階で断られるのだろう」と思うほどだった。

気になった大西さんは、成婚の挨拶を受ける際に、なぜさきこさんを選んだのか、としたかさんに実際に聞いてみたのだ。すると、笑顔でこう語ったという。

「確かに、綺麗な子も若い子もいましたけれど……。会話がしんどかったですね」

「僕が話題を合わせていたから。
女性って必ず『お仕事何をしていますか?』って聞くじゃないですか。僕の一番の関心事はまさに仕事なので嬉しい話題なんです。でも、僕の仕事の話をしたらみんな退屈そうにしていました。著作権がどうとかコンプライアンスがどうとか興味ないって感じがすごく伝わってきて……」
(『となりの婚活女子は、今日も迷走中』176-177ページより一部引用)

としたかさんは相手のつまらなそうな素振りに気付き、ファッションや映画の話をしたそうだ。話題の引き出しが豊富なので、その場は盛り上がる。そして女性側のテンションも上がり、「また会いたい!」となるわけだ。

■結局人間は自分のことに興味を持ってくれる人が好きなのだ

ところが、としたかさんは疲弊してきっていた。女性にとって楽しいお見合いになることと、男性側も楽しんでいることはイコールではない。

としたかさんが地味なさきこさんを選んだ理由は、「とても興味深そうに話を聞いてくれたんです。もっと嬉しかったことは、その仕事について会話をふくらましてくれたことです。初めて、僕が興味関心のあるトピックで盛り上がってくれた相手でした」というものだった。

実はさきこさん、その裏で努力をしていたのだ。としたかさんのプロフィールを受け取ったときから彼の仕事関連の本を3冊ほど読んでいたのだという。ようは「予習」である。

さきこさんは次のように言う。

「男性って普段仕事が一番ウェイトが大きいから、その話をしたほうが盛り上がるじゃないですか。

それに月曜日から金曜日まで働いて、疲れもとれないまま土曜日にお見合いですよ。だから会話で負担がかからないようにしなきゃいけないといつも思っていました。

だから私がお相手の男性の仕事の話題をふくらませられるようにしたら、いいなと。それで本を読んでいましたね」 (『となりの婚活女子は、今日も迷走中』181ページより引用)

相手のことをよく知ること、それが大事なのだ。また、もう一つ、さきこさんは話を聞く際には、相手の「メンツ」と「プライド」を立てることが大事だという。そのため、2つのことを心がけていたそうだ。

  • 「あ、それ知っています」と絶対に言わないこと
  • 雑に話を聞かないこと

相手よりも自分がその物事について知っていても、決して口に出してはいけない。話を聞いているときの態度はよく見られているものだ。

大西さんは、「若くないから」「容姿が良くないから」と自分をネガティブに考えて踏み出せなくなる女性は多いと語る。そこで効くのが、誰にでもできる「読書」だ。その努力が、結婚へとつながるのである。

■「趣味・読書」は結婚への近道!?

大西さんの実感として、趣味が「読書」という女性は明らかに婚活を早く終える傾向にあるという。実際に調べてみると、1年以内に結婚が決まる女性の8割が趣味の欄に「読書」と書いていたという。読書を趣味にしている女性は全体で4割。

さきこさんのエピソードは趣味の読書が婚活にうまくはまったケースであるが、再現性は高いはずだ。より高いスペックの男性であればあるほど、知識や教養はあったほうがいい。

本書では他にも、本当は年収2000万円なのにプロフィールに「年収400万円」と書く男性、警戒心が強すぎて自分のフェイスブックの友達申請を断りフラれてしまう女性など、結婚相談所で繰り広げられる悲喜こもごもを紹介している。

人のフリ見て我が身を直せ。そんなことを教えられる一冊だ。

(新刊JP編集部)

BOOKDATA 書籍情報

Amazonで「となりの婚活女子は、今日も迷走中」の詳細をみる

となりの婚活女子は、今日も迷走中

定価 :

1,300円+税

著者 :

大西 明美

出版社:

かんき出版

ISBN :

4761271973

ISBN :

978-4761271978

大西 明美

おおにし・あけみ
婚活アドバイザー。過去20年でのべ43,000件の恋愛を研究してきた婚活指導の第一人者。
2010年からクリスチャン専門の結婚相談所を経営。2016年より男性が医療従事者(医師、薬剤師、理学療法士、看護士など)専門の結婚相談所も開設。過去5年で200組以上のカップルを成婚に導いている。お見合いのマッチング業務の成功事例、失敗事例を分析し、再現性がある婚活の法則を導き出すことを得意とする。現在は、「プレジデントウーマンオンライン」で働く女性向けの婚活記事を好評連載中など、婚活について現場での様々な情報を積極的に発信し続けている。

http://akemiohnishi.ciao.jp/

INTERVIEW インタビュー

「年収1000万円以上で、大企業に勤めていて…」

婚活のエピソードは時に滑稽に映るものだが、彼も彼女もみな必死。赤の他人同士で一生を左右する出会いを求めるのだから、必死になるのは間違いない。

では上手くいくカップルはどのようにコトが進むのか?

『となりの婚活女子は、今日も迷走中』(かんき出版刊)を上梓した婚活アドバイザー兼結婚相談所所長の大西明美さんにお話をうかがった。

(新刊JP編集部)

■アラサー女性が「年収」や「勤務先」よりも重視する条件って?

――とてもコミカルな一冊で面白く読めました。この本に掲載されているエピソードはすべて実話に基づくものなんですか?

大西:
はい、実話です。ただ、名前はさすがに仮名にしています(笑)。実は、執筆はトータルで2ヶ月ぐらいだったのですが、取材に4ヶ月費やしています。実際には取材分だけで、本3冊分ぐらいの分量があります。

そのたくさんのエピソードから編集者さんと「楽しくさくさく読めて、婚活にすぐ使える!」というものを選びました。一冊を書くというよりも、カットを組み合わせてドラマや映画を完成されるイメージでした。

イラスト画像

――世間的なイメージで言うと、婚活にのめり込んでいる女性は男性の年収や勤務する企業をかなり重要視しているところがありますが、大西さんから見てもそのイメージはあっていますか?

大西:
まさにそのイメージであっています。でも、理由が世代によって違います。

例えば、20代半ばスタートの女性は、「自分を高く売れるときに売る」という意識が高いので、条件が高い人と効率的に出会うために、男性の年収や勤務先を気にします。

アラフォー女性の場合は、「子どもが成人するまで安心して子育てをしたい」という理由です。

多くは同世代か少し年上の男性と結婚していきます。つまり男性が40代を超えているケースが多い。すると、子どもが成人するまでに定年を迎える可能性が高くなります。だから定年しても経済的な安定が望める男性を求めます。

一番、地に足がついているのはアラサー女性ですね。20代に比べたら玉の輿を狙うのはキツイ。だから安定的に年収400万円ぐらい稼いでいる同年代の男性ならいいかという条件に落ち着くことが多いです。

同年代の男性なら、子どもが成人してもまだ定年は迎えないで済むだろうという見通しを立てられます。「年収は最低限で、年齢は同世代まで」という希望を出す人が、結婚相談所に相談に来るアラサー女性全体のうちの8割以上です。

一概には言えませんが、20代、アラフォーは年収勤務先重視、30代は平均年収以上で年齢重視といえます。

■上手くいきやすい! 男女のマッチングの条件とは

――マッチングを考えるときに、大西さんの中でなにかしらの方程式はあるんですか?

大西:
あります。足掛け7年、1000回以上のマッチング経験から、お見合いの成約数と比例する要素を2つほど発見しました。実は、その2つは性格でも、年収でも、ルックスでもありません。

1つめは、意外にもお互いの家までの交通機関の乗換回数です。乗り換えが2回を超えると、距離の長さに関わらず、成約率がぐっと落ちてしまいます。聞き取りをしてみると、「どこでデートをしたらいいのか困る」ということで男性がデートをリードできなくなる傾向が見えてきました。

逆に乗り換えが1回の場合は、乗換駅をデート場所にすれば、どちらも乗り換え無しでデートが出来ます。気軽に会えるようになるので、デート回数もおのずと増えます。

――なるほど。では2つ目は何でしょう。

大西:
2つめは、同年代に近いか、ということです。年齢が近ければ近いほど成婚率があがります。

これは20代でもアラサーでもアラフォーでも同じです。最初は男性も女性も「若い人と結婚したい」という希望を持っています。しかし、若い人と結婚するというのは逆に言うと、相手からすると本人は若くない人になります。だから若いほうが不満を抱きやすい。

一方、同年代となると、「若くないと言ったってお互い様だしね」と年齢について不満を抱きにくい。こうして、同年代のほうが成婚率はあがります

――大西さんが相談に来られた方々のお話を聞く際に、どの部分を重点的に聞くのですか?

大西:
「婚活が辛い」という愚痴ですね。このような話はちゃんと聴くようにしています。「なんで辛いの?」と聞いていくうちに、その人が何を求めているのかが見えてきます。

「辛い」から、本人が大事にしているのに気がついていない「婚活の条件」をあぶり出す。これが、実は婚活を終わらせる近道になりますね。私も愚痴を聴くのは責任を感じるから辛いのですが、その辛さが婚活につながるなら勉強していきたいと思っています。

■「婚活は自我が出てくるのでクセがあるように見えてしまう」

――本書は女性側のエピソードがメインですが、クセのある人が多いように思いました。こうなると、男性側にも相当クセの強い人がいるのでは…?

大西:
まず、本書の中に出てくる女性たちはクセのない人たちです(笑)普段は相手の立場に立って思いやれる人だったり、気遣いができる人だったりするのですが、結婚となるとみんな自我が出てくるのでクセがあるように見えるのです。


だから、もし男性にフォーカスして本を書いても、クセのある人が多く出てくると思います。例えば、仕事がすごく出来る男性にはもっと仕事が出来る父親がいるもので、そんな父に認めてもらうための手段が「結婚」になっていた男性もいました。

みんな、涼しい顔して、クセを隠して生きている。それがあらわになるのが、結婚相談所の舞台裏ですね。

イラスト画像

――結婚相手として「モテる人」と「モテない人」を分ける部分はどんなところにありますか?

大西:
「モテる人」を分ける部分をひとことで言うと、「好奇心」です。

その対象が、「相手が得意なこと」に向く人はモテますね。そういう人はまず相手の勤務先がわかった段階で、その関連情報をインターネットや本で下調べします。そこでは相手の仕事が世の中でどんな役に立っているのかを調べることがポイントです。

仕事はお金をもらっている以上、好きかどうかを別にして「得意」なはずです。その得意なものを褒められたり、尊敬されたりすれば、相手は嬉しくなります。つまり、好感度があがるわけですね。本書で言えば、「読書女子」です。

また、「好奇心がある」と自分で思っている人の多くは、自分の興味関心があることにしか好奇心を向けていません。そこを広げて、自分が「つまらない」と思うことにも好奇心を持つ特訓をしておくと、それだけでモテる力が高まります。

ちなみに、男性は特に女性の仕事に関心を持たずに婚活に挑む人が多いです。でも、好奇心を女性の仕事に向けるだけで、モテ力が飛躍的にあがるので、おすすめですよ。

――では、モテない人はどんなタイプですか?

大西:
モテない人は、結婚に対してもパートナーに対しても「こうじゃないといけない」と強いこだわりを持っている人です。このこだわりを持つ人は、「いま会っている相手は、自分のこだわりに当てはまっているのか」というチェックをお見合い中にしています。

だから、初対面なのに「ご家族で介護が必要な人はいませんか」とか「今後お仕事を定年前でやめることはありませんか」などと質問を連打する傾向があります。本書に出てくる「質問女子」がまさにこの例ですね。

自分のこだわりに合っているか不安だから聞いているのだけれども、相手には「自己中心的な人だなぁ」と嫌われがちですね。

■婚活がうまく人はこんな人だった!

――大西さんが現在のお仕事をされているきっかけを教えて下さい。

大西:
きっかけは今の夫との出会いです。2009年当時、私はバツイチで、小売業で月商300万から500万円ほど稼いでいて金銭的にはとても成功していたのですが、「誰も私のことを手放しで喜んでくれる家族はいないんだ」と孤独を感じていました。

そこで今の夫と出会って、交際が始まり、「うわー相手がいるってこんなに幸せなんだなぁ」と確信しました。孤独感が消えれば、仕事へのバイタリティも高まりますし、毎日が充実することがわかりました。

「パートナーがいるって本当に素敵なこと」と思い、私はこれを仕事にしたいとすごく思いました。この思いが今も変わらず仕事へのモチベーションにつながっています。

イラスト画像

――結婚相談所に来て、すんなり結婚できる人に共通する特徴を教えて下さい。

大西:
答えは一つです。こちらのアドバイスを素直に受け取ってくれて、さらにフィードバックをくれる人です。ポイントは「フィードバック」です。言うことを聞くだけではだめです。

人によって、結婚に至りにくい理由はまちまちです。何かをやり過ぎていることもあれば、何かをやらなさすぎていることもあります。その度が過ぎていき、無自覚のうちに婚活相手に嫌われるケースがほとんどなので、人の意見を聞き入れる作業が必要になります。

一方で、先ほどお伝えしたとおり、言うことを聞くだけでは十分ではありません。

もちろん、アドバイスを素直に受け取っていただけると、解決は早いです。ただ、人によっては無理をしてしまってかえってその人らしさを失う人もいます。そうなる前に「こうすると私は無理が出てしまいます」とフィードバックをくれると、こちらはさらに改善策を考えられます。

だから、素直なだけではなく、フィードバックをくれる人は結婚が決まりやすいですね。

――恋愛・結婚のアドバイスをする際に気を付けていることは?

大西:
人格否定と、その人の人格を変えようとしないことです。世の中には完璧な人間なんて誰一人いません。それなのに、婚活となると、素晴らしい人にならなければ結婚できないかのように、つい思い込んでしまう人が多いです。

だから、意図的にその人の良いところ、魅力的なところを何度も何度もその場で繰り返してお伝えするようにしています。

アドバイスによってお客様から自信を奪わないようにする、これが最も私が気をつけていることです。

――本書をどのような人に読んでほしいとお考えですか?

大西:
まずは婚活という文字を見るのも嫌なぐらいに婚活に疲れた人。次に、自分が好きない相手には全く振り向かれないのに、どうでもいい人には好かれる人にも読んでほしいですね。

また、結婚したいけれども、婚活をしたくないという人、子どもが産める間に結婚相手を見つけたいと思っているアラフォー世代の女性。あとは、「なんでこんなに女性に断られるんだろう」とお見合いで惨敗を期している男性にもぜひご一読いただきたいです(笑)
(了)

CONTENTS 目次

  1. 第1章結婚相談所泣かせのA級戦犯
    • 年上女子―「次のオリンピックまで」じゃ遅い!
    • 箱入り女子―母が娘を手放さなくなるのはなぜか?
    • 学歴女子―周りの男性に自分が釣り合わなくなるとき、どうする?
    • 質問女子―質問攻めで自爆する婚活
  2. 第2章恋愛に不器用すぎて苦労している女性たち
    • フェイスブック女子―婚活を脅かすフェイスブック事件
    • バリキャリ女子―バリバリ働きながら婚活を成功させる女、失敗する女
    • 不安女子―1日でも早く結婚したいのに自爆する女
    • アプリ女子―彼のスマホからのぞく女
  3. 第3章男心をがっちりつかむ女子
    • 料理下手なのに胃袋つかみ女子―料理ができない女性の秘訣とは?
    • おごられ女子―割り勘はやめさせられる!
    • インスタ女子―インスタグラムを婚活の武器にする方法
    • 読書女子―1年以内に婚活を終える女性の8割が読書好き
    • 玉の輿女子―年収2000万円のエリートがついた「嘘」
    • 福女子―男を元気にする女は愛される
    • 一発逆転女子―誰にでもできる玉の輿の可能性を高める方法
    • 穴場女子―ぱっとしない女がデキる男と結婚するために三種の神器
ページトップへ