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本が好きっ! 鬼頭あゆみのインタビューラジオ

『本が好きっ!』は、話題の本の著者をゲストに招いてお送りするインタビュー番組です。本についてはもちろん、著者の人となりや、成功体験、考え方、ビジネスのちょっとした気づきやなど、聞いて役立つトークをたっぷりお届けします。

ゲスト: 三井住友信託銀行 顧問 大塚 明生さん

『逆境のリーダー ビジネスで勝つ36の実践と心得』

やりがいのある仕事をするため組織のリーダーに

鬼頭: 大塚さんは現在、三井住友信託銀行の顧問として勤めていらっしゃるとの事なんですが、お仕事の内容としてはどのような事をされているのでしょうか?

大塚: 副社長時代は、受託事業という、企業年金を中心とした機関投資家の運用部分の全般を統括していましたが、今はマーケティングに関する指導アドバイスを中心にやっています。具体的には、機関投資家向けの運用プロダクトのニーズや、それに基づく設計、お客様にどうセールしていくか……というようなアドバイスですね。

鬼頭: 最近ですと、若いうちから年金についての不安を抱えている方が多い印象なので、よく注目されそうな分野ですよね。それについての講演会やセミナー等も行われているんですか?

大塚: 機関投資家向けのセミナーは年に2回、春と秋に開催しています。直近であれば、東京の帝国ホテルで、450名くらいのお客様に集まっていただいて、私が担当する基調講演では、現在の運用状況の課題や対策、それに対するソリューション等をお話しさせていただいております。

鬼頭: 今回の執筆に至るまでに、その中で何かきっかけがあったのでしょうか?

大塚: 執筆しようと思ったのは、当社が主催する学生向けの就職セミナーでスピーカー役を務めたことが、もともとのきっかけですね。そこでは、会社にしがみつきたくない人生を送るには、独立性のある仕事をする必要がある、独立性のある仕事には失敗がつきものだが、我々の会社には失敗を許す風土がある、そしてよりやりがいのある大きな仕事をするためには、組織のリーダーになる必要がある……というような話をさせて頂きました。

常に素の自分を晒し続けられる環境の重要性

鬼頭: その後の学生さんの反応はどうでしたか?

大塚: おかげさまで、想定を上回る数の方に入社していただくという結果になりましたね。

鬼頭: その中の学生の方々も興味があると思うんですけど、大塚さんが三井住友信託銀行に入社を決められた理由というのは?

大塚: 僕の場合は、大学時代に結婚が決まっておりまして、住む家も決まっていたので、そこから通える勤務先でないと入社することは出来ないという旨を事前にお話していたんです。結果として、そのまま採用していただいて、住む予定だったマンションから通える店に配属してもらえることになりました。こういうのびのびとしたところがよかったですね。

鬼頭: 本当の自分を出して採用してもらえるのが一番良いですよね。私はつい繕ってしまって、何回かアナウンサー試験を落ちた事があるんですけれども、繕わなかった時の方が良い結果が出るということが後々分かってきました。

大塚: 長い会社生活ですし、ずっと自分を隠し通す事なんてできませんからね。なので、素の自分を晒して、言いたいことを言わせてもらえる会社であった、というのがここを選んだ1番の理由です。

理想のリーダー像は「戦国時代の武将」

鬼頭: 大塚さんご自身が、組織のリーダーとして普段から心掛けている事や、モットーなどがありましたら教えてください。

大塚: 色々あるんですけど、1つは「自ら見本を見せる」ということですね。「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という山本五十六の言葉も、頭に「やってみせ」とありますよね。そうでないパターンも当然あっていいとは思いますけど、僕の場合は、しっかりと「率先垂範」していけるようなリーダーである事を心掛けています。

鬼頭: 本の中に、「戦国時代の武将のようなリーダー」が今の時代には適していると書かれていたんですけど、こちらはどういう意味なんでしょうか?

大塚: 幕府という体制があって、その中で予定調和していくという風潮があった幕藩時代に対して、戦国時代は完全実力主義で、生き残りは基本的に領主の能力にかかっていました。なので、一族郎党を守れる能力がある人間が領主に昇進すべきであって、もし下の人間の中に能力者がいれば、その人が領主となっていたわけです。ただし、中には「自分には領主の素養はないけれど、侍大将なら務められる」という人もいますよね。その場合は、自分の得意分野を評価してくれる領主の下で仕官するという行動をとります。現代に置き換えみても、自分にはリーダーとしての素養があると思えばリーダーを目指せばいいし、もしそうでなければ、1プレイヤーとして、自分の力を有効活用できる環境で活躍していく……そんな時代になってきているように感じます。

鬼頭: そうなんですね……。他にも強い組織のリーダーの心得として、「出る杭になること」を挙げられていました。失敗のリスクを考えて、出る杭なることを躊躇してしまう方は多い気がするのですが……。

大塚: まずはそのような風潮を変えていかなければいけませんね。でなければ、今のような激動の時代を乗り切ることが出来ないように思います。なおかつ、出る杭を目指すのはそのような理由だけではなく、プロセスと共に為すべき事を宣言することで、自らを追い込むためでもあります。そうすると、失敗はもちろん、結果オーライも許されないので、なおさら考え抜く。考え抜いた分だけ失敗する確率は下がっていくはずなので、「プロセスを宣言した有言実行」は、仕事をする上で非常に有効だと思いますね。

著者プロフィール

大塚 明生

1976年京都大学法学部卒業。同年住友信託銀行入社。1994年ALM部次長。1996年年金信託部次長。1998年年金運用部長。2001年東京法人信託営業第一部長。2002年執行役員。東京法人信託営業第一部長。2004年常務執行役員。受託事業部門副部門長。

パーソナリティプロフィール

鬼頭あゆみ

1976年、愛知県生まれ。フリーアナウンサー。活動拠点を東京に移す前は、東海テレビ放送のアナウンサーとして、主にニュース番組、プロ野球番組などを担当。フリーに転身後は、TBS「サンデーモーニング」やNHK「探検ロマン世界遺産」などに出演。

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