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本が好きっ! 鬼頭あゆみのインタビューラジオ

『本が好きっ!』は、話題の本の著者をゲストに招いてお送りするインタビュー番組です。本についてはもちろん、著者の人となりや、成功体験、考え方、ビジネスのちょっとした気づきやなど、聞いて役立つトークをたっぷりお届けします。

ゲスト: アグリゲーター 越川慎司さん

『働きアリからの脱出 個人で始める働き方改革』

越川慎司さん、鬼頭あゆみの写真

「これをやれば解決!」という杓子定規が通用しない時代に

鬼頭: 越川さんのプロフィールを拝見したのですが、肩書きの欄に「アグリゲーター」とありました。あまり聞き慣れない肩書だったのですが、これは一体どのような意味なのでしょうか?

越川: 「アグリゲート」には、「集める」という意味がありまして、アグリゲーターは、多様な能力、人や情報を瞬時に集めて、それらを組み合わせることにより(法人の)お客様の複雑な課題を圧倒的なスピードで解決する、という役割を担っています。自分がアメリカのシリコンバレーで仕事をしていた頃に、様々な会社の課題を解決されていたアグリゲーターの方と出会いまして、その方の影響で、この肩書を名乗るようになりました。

鬼頭: そうだったんですね。今後、日本にもアグリゲーターという肩書が広まっていくんでしょうか?

越川: この名前がそのまま流行るかは分からないんですけど、お客様の課題が見えにくかったり、複雑化している時代ですので、「このやり方をすれば解決する!」という手法が段々通用しなくなっているんですね。そうなると、優秀な人を集めて解決するという、いわゆる「プロジェクト型」の働き方にシフトしていくと思います。

鬼頭: なるほど……。越川さんご自身は、現在どのような働き方をされているんですか?

越川: 前職のマイクロソフトを卒業してから2年程が経ちまして、現在はクロスリバー(「越川」の苗字になぞらえて)という会社でアグリゲーター集団を創成し、運営しております。うちのメンバーは世界に30人程いるんですけど、働く条件として、全員が週休3日で、週30時間しか働いてはいけないというルールと、「複業」でなければならないというルールがあります。なので、中には本業がお医者さんであったり、経営者であったり、お坊さんをされている方なんかも見えます。その方々が持っている様々な知見をアグリゲートして、働き方改革を中心にお客様をご支援させていただいている、というのが私の主な仕事です。

越川慎司さんの写真

「働き方改革」が成功している会社はたったの12%

鬼頭: アグリゲーターの方々は、どのような能力を基準に集められたんですか?今挙げられたのは全く異なる職種の方々なので、それぞれ違ったスキルをお持ちかと思うのですが……

越川: 我々のチームが今持っていないスキルをお持ちの方は、喉から手が出るほど欲しいですね。あとは、現在、パリやバンコク、ニューヨークにもメンバーがいるんですけど、世界各国に人員が分散していると、時差が有効に使えることがあるんです。例えば、夕方頃、ニューヨーク在住の方にお願いした資料が、朝起きた頃には完成していたり。

鬼頭: 労働時間だけじゃなく、働き方のシステムそのものが新しい組織ですね。

越川: そうですね。大企業にいると新たな挑戦をすることが難しい。し自分が成長する為に独立し、自らが新しい働き方を実践して、その学びをお客様にお伝えする事で、「働き方改革」をご支援出来るんじゃないかと考えております。

鬼頭: 今、働き方改革に取り組んでいる企業は多いと思うんですけど、全国的に見て、この改革は順調に進んでいるんでしょうか?

越川: それについては、残念ながら上手くいっていないと言っていいと思います。これはこの本を書いたきっかけでもあるんですけど、働き方改革が上手くいっている企業というのは、ごく少数なんですよ。上場企業の中でも、約8割くらいの会社が働き方改革に取り組んでいますし、うちの会社もこれまで527社の企業を支援させて頂いているんですけども、「成功しています!」と答える会社は、全体のわずか12%なんです。

越川慎司さん、鬼頭あゆみの写真

働き方改革は「会社の成長」と「社員の幸せ」を実現する手段に一つに過ぎない

鬼頭: 多くの会社が働き方改革を上手く進められない原因というのは、どこにあるんでしょうか?

越川: 原因は主に2つありまして、まず1つは、「成功の定義が決まっていない」という事です。「ここがこうなったら成功だ」というゴールを定めないまま働き方改革を開始し、いつのまにか「働き方改革をする」という事が目的になってしまうと、いつまで経ってもゴールに辿り着けません。

鬼頭: ただ休みを増やしたり、一日の労働時間を減らしたりする事から始めるのではなく、成果に結びつく何かを第一に掲げなければいけないんですね。

越川: まさにその通りで、失敗してしまうもう一つの原因が、「目的と手段をはき違えてしまう」という事なんです。働き方改革って、冷静に考えると、「目的」ではなく、あくまで「手段」ですよね。そして目的は何かというと、「社員が働きがいを持って幸せを感じることと、会社が成長することの両立」だと私は思うんです。それを達成するために、今の働き方を変える必要があれば変えましょう、というのが正しい働き方改革ではないかと思います。

鬼頭: なるほど。働き方についてこれだけ問題視されているという事は、やはり働きがいを感じられなかったり、働くことを幸せに思えない日本人が増えているという事なんでしょうか?

越川: そうですね。それは日本の労働のシステムにも問題がありまして、「生まれてから20年勉強した後は、40年間働きなさい、上司の言うことを聞いて我慢労働をしていれば、60歳になった時に退職金や年金が出て、幸せになれるから」という教育を受けた方って多いと思うんですよ。でもここ数年で、その幸せは間違っているという事に気が付いたんですね。この先の医学の発展を考えると、平均寿命は延びていくと思いますし、多くの方が100歳まで生きるという事も十分に考えられます。とすると、60歳で定年を迎えるとしても、その後40年分の貯蓄が必要になりますよね。それを考えるようになってから、私の働き方や幸せの定義は大幅に変わりました。

プロフィール

越川慎司

国内外の通信会社に勤務し、ITベンチャーの起業を経て、2005年に米国マイクロソフトに入社。
業務執行役員としてPowerPointやOffice365などのOffice事業部を統括、2017年に働き方改革の支援会社である株式会社クロスリバーを設立。週休3日でこれまでに500社超の働き方改革を支援してきた。働きがいを高めるワークショップを展開し、受講者は16000名超。

パーソナリティプロフィール

鬼頭あゆみ

国内外の通信会社に勤務し、ITベンチャーの起業を経て、2005年に米国マイクロソフトに入社。
業務執行役員としてPowerPointやOffice365などのOffice事業部を統括、2017年に働き方改革の支援会社である株式会社クロスリバーを設立。週休3日でこれまでに500社超の働き方改革を支援してきた。働きがいを高めるワークショップを展開し、受講者は16000名超。

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