100歳でも「スタスタ歩く」ために「今」知るべきこと
腰ひざ股関節シンドローム~100歳までシャキッと歩くために知るべきこと~

腰ひざ股関節シンドローム~
100歳までシャキッと歩くために知るべきこと~

著者:三輪 道生
出版:幻冬舎
価格:1,500円+税

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本書の解説

「人生100年時代」と言われるようになって久しい日本ですが、寝たきりになってまで長生きしたい人は少ないはず。大事なのは「健康寿命」であり、もっと言えば「何歳まで自分の脚で歩けるか」という「歩行寿命」です。

人が歩行できなくなり、寝たきりになる原因の一つが、膝や腰、股関節といった体の関節部の不調。整形外科医であり背骨や関節手術の名医として知られる三輪道生医師は、これらを「腰ひざ股関節シンドローム」と呼び、著書『腰ひざ股関節シンドローム 100歳までシャキッと歩くために知るべきこと』(幻冬舎刊)で、その実態と対処法を解説しています。

筋力は維持できても、関節は消耗していく

まず知るべきは、「関節は消耗品」ということ。
だから、若いうちから運動をして体力や筋力の維持を図ったとしても、関節(具体的には、骨と骨の継ぎ目にある軟骨)の摩耗は止めることはできません。そして、軟骨のすり減りやひび割れとともに、骨が露出し、痛みが出るようになってきます。

「痛み止めを飲んでも、サプリメントを飲んでも、注射をしても、筋トレをしても、軟骨が再生することはありません」と三輪医師は指摘する一方で、露出した骨を手術で覆うことで痛みをなくすことができる、とも述べています。

「トシだから…」と痛みに耐える患者たち

腰であれば、脊柱管狭窄症、すべり症、分離症、ギックリ腰、坐骨神経痛、腰痛、間欠跛行。ひざであれば、変形性ひざ関節症や関節リウマチ、O脚変形、膝痛。股関節であれば、変形性股関節症や臼蓋形成不全、股関節痛、破行。これらは手術により治る可能性が高いと三輪医師は述べている一方、患者の方はおうおうにして手術には消極的で、本人が手術を望んでいても家族の同意を得られないこともあるといいます。

その結果、患者は「体の痛みはトシのせい。仕方のないこと」と考えて、あきらめてしまうことになります。むしろ、治療の道があること自体を知らないことが多く、仮に手術という選択肢があることを知っていても、命にかかわらない体の不調で体にメスを入れることに恐怖感を持ち、拒絶反応を示すケースも。

三輪医師によると、こうして根本的な治療をせずに、痛みに耐えた結果、手術をしたくてもできない年齢になってしまったりする例は、ままあるようです。

心のうちでは痛みのない生活を望み、いつまでも自分の脚で歩きたいと願っているのは誰もが同じ。ならば、思い込みや恐怖感だけで完治を諦めるのではなく、正しい知識を得て、完治の道があるのならそれを目指してみるのは、患者にとって一つの選択肢としてあるべき姿なのかもしれません。

「人生100年時代を最後まで自分の足で歩くために、腰やひざ、股関節は、一度壊れたら手術をしないと治らないということを知っていただきたいと思います」(三輪医師)

どんな症状の、どんな痛みであれば手術で完治できるのか、またどのタイミングで手術をするのかなど、年間1000件のせぼねや関節手術を手がける医師の知見と解説が凝縮されている本書。いつまでも健康で、自分の脚で歩くために参考にしてみてはいかがでしょうか。

(新刊JP編集部)

インタビュー

三輪 道生(みわ・みちお)

■一度壊れた関節は自然に回復しない「人生100年時代」に知っておくべき腰と関節のこと

『腰ひざ股関節シンドローム 100歳までシャキッと歩くために知るべきこと』を通して三輪先生が伝えたいことについて教えてください。

三輪: この本は、腰、ひざ、股関節の一生の解説書として書きました。各部の構造から、痛みが出る原因、そして対処の方法まで、普段患者さんから質問されることや外来で説明することをそのまま本にしてみました。

痛みを抱える方にまず知っていただきたいのは、痛みが出る原因には2つあるということです。ひざや股関節のように、関節の軟骨がすり減って、骨が露出して痛みが出るパターンと、腰部脊柱管狭窄症のように関節の変形によって神経が潰されて神経痛が出るパターンがあります。

多くの方は痛み止めやサプリメントを飲んだり、筋トレをしたり、色々なことをされていると思うのですが、ひどくなってしまったら、運動で筋肉をつけてもマッサージをしても治ることはありません。

たとえばひざの軟骨がすり減って痛みが出ている状態を変形性ひざ関節症と言いますが、悪化してしまったら、関節を人工関節に取り替えるしかありません。逆にいえば、虫歯の治療と同様に軟骨が削れて露出してしまった骨は、手術で覆ってしまえば、痛みも変形もなくなり、何歳になっても自分の足で歩いていられるようになります。この本を通して痛みや変形、腰痛や坐骨神経痛は手術で治るということを伝えたいのです。

壊れた腰やひざ、股関節の痛みを完治させようと思ったら、最終的には手術、ということでしょうか?

三輪: そうですね。壊れたら、ちゃんと治すには手術しかないですね。手術というとみなさん怖がるのですが、合併症さえ出なければ、かなり高い確率で治るということを知っていただけたら嬉しいです。腰の手術をして車椅子生活になる人や、人工関節手術をして痛くて歩けなくなる人は、今はほとんどいません。

手術で治らないというケースもあるのでしょうか?

三輪: たとえば脳卒中などで手足に麻痺が出ることがありますが、腰の故障でも脊髄が圧迫され、麻痺が出て、足が動かなくなってしまうことがあります。このように神経が死んでしまうと、手術では治せません。

また、ひざでも、関節軟骨がすり減るだけでなく、その下の骨まで削れすぎてなくなってしまうと、人工関節を設置できなくなってしまいます。手術には適切な時期があり、それを逃すと手遅れになってしまうことがあるのです。

ひざや股関節では軟骨がすり減って痛くて歩けない場合、人工関節手術をすれば痛みが取れ歩けるようになるが、悪化しすぎると手術できないこともあるということですね?

三輪: そうです。軟骨に覆われていた骨が、あまりに削れすぎると、人工関節を設置する土台がなくなってしまうんですね。ただ、絶対に治らないということではなくて、それに応じた機種を使って治すしかないのですが、術後の機能はかなり劣ってしまいます。

人工関節の機能はどれほどのものなんですか?たとえば、あぐらをかいたりすること はできるのでしょうか。

三輪: ひざでは人工関節を入れたあとの曲げ伸ばしは、リハビリ次第というところですが、本人が頑張ればあぐらはかけると思います。ただ、正座はできません。和式トイレでしゃがむような体勢もできない方はいらっしゃいますね。外国人のようにベッドとイスの生活になると思ってください。

変形性股関節症に対する人工股関節置換術では、痛みや跛行など、ほとんどの症状がなくなり、通常何でもできるようになりますが、脱臼しやすい体勢があるので、それは避けていただく必要があります。

ところで人工関節は死ぬまで持つのでしょうか。

三輪: 耐用年数という言葉を使って説明しているのですが、計算上、人工軟骨が摩耗し切るには30年から50年くらいかかるとされています。これは、自然の関節の軟骨と同じで、自分の体重を支えているものですので、少しずつすり減っていきますし、すり切れたら入れ替える必要があります。

当然、激しい運動をしたり、重労働をしたり、あまりにも体重が重いとすり減りやすいので、 基本的には若くて活動量が多い方には人工関節は使えません。

60歳以上の方であれば人工関節を入れたとしても一生大丈夫そうですね。

三輪: その通りです。転んで脱臼したり、人工関節と骨の接着が剥がれてグラグラしたり、バイ菌が入ったりしなければ、あとは人工軟骨のすり減りだけなのです。

三輪先生のところに腰やひざ、股関節のことで相談に来る方は何歳くらいの方が多い んですか?

三輪: 70代から80代の方が多いです。痛みや変形の患者さんは年齢に比例して増えますし、当院では特に高齢の患者さんの合併症対策に力を入れているので、比較的に高齢者が多いと思います。

合併症の出やすい80歳以上の患者さんは全身管理が必要なので、整形外科で断られることが結構多いと聞いています。誰しもリスクを背負いたがらないのは当然と言えば当然かもしれません。

手術を断られるんですか?

三輪: 高齢の患者さんは何件も回ったが治らないという方が多いです。確かに高齢になると体力的に手術に耐えられない可能性もあり、合併症に注意しなければいけません。私は、体力面や内臓の状態を徹底的に調べたうえで、よほど心臓が悪い場合を除いて、手術をできる限り引き受けるようにしています。

残念ながら全身状態によっては手術に耐えられないと決断をすることもあります。重症でない場合はもちろん手術以外の治療を行います。骨折などでは手術をしないと痛みも取れないし動くこともできないので、100歳を過ぎている方でも手術をせざるを得ないことも少なくありません。合併症が出ず、リハビリを頑張れば、高齢でも手術で痛みが取れ、歩けるようになります。

健康寿命という言葉がしきりに言われていますが、人生は健康で自分の足で歩けてこそだと思うのです。寝たきりで長生きしても充実感を感じられるとは思えませんし、痛みを抱えながらの人生では幸せを感じるのも難しいでしょう。手術により、痛みなく一生歩いていられるということは可能ですし、そこをお手伝いできたらと思っています。

■腰、ひざ、股関節の痛みに悩まされないために今から気をつけるべきこと

手術を希望されない患者さんも多いと聞きましたが、それはなぜですか?

三輪: 偏見というか先入観によるところが大きいのではないかと思います。歳をとってからの手術なんてとんでもないと思っている方が、やはり一定数いるのです。手術をしたら寝たきりになるとか、車椅子生活になるんじゃないかと恐怖感を持っている方もいますし。実際はそんなことはまずありませんが、そういう誤解が、この本を通じて解ければ良いと思っています。

本書に書かれているように、関節の軟骨のすり減りは誰にでも起こりうる不可逆的なもののようですが、痛みが出ないように予防する方法はありますか?

三輪: ひざの軟骨が摩耗して壊れてしまう原因は、基本的には経年劣化つまり老化現象ですが、激しいスポーツやケガ、重労働、肥満が悪化を加速させます。予防をするのであればこれら4つを避ける必要があります。

スポーツ選手は筋力が強いので関節にかかる負荷が、そもそも大きく、特にコンタクトスポーツではかなりの衝撃が加わります。さらにケガで半月板や靭帯を痛めると関節に遊びができてしまい、これによって軟骨のすり減りが早くなるのです。ですから、ケガには十分注意していただきたいと思います。

肥満は努力で解消できるものですし、体重を減らすことは健康にも良いので、ぜひお勧めします。問題は重労働で、たとえば中腰作業や重量物を持ち上げる仕事だったり、しゃがんだり立ったりを繰り返す仕事の人は要注意でしょう。

あと、生まれつきO脚の人は、将来的にO脚が進んで膝が悪くなりやすいので、若いうちから気をつけておいたほうが良いと思います。

股関節については悪化しやすい人の特徴はありますか?

三輪: 股関節が壊れる主な原因は臼蓋形成不全で、大腿骨がはまる骨盤の穴が生まれつき浅い人がいて、ボール状の大腿骨の上端が骨盤にはまりにくく、どうしても体重を支える部分が狭くなるので、負荷が集中して軟骨が削れやすくなります。そしてこれは女性に多いですね。

腰についても説明しておきますと、悪くなる種は20代の頃に撒かれていることが多いです。椎間板といって、背骨の骨と骨の間にある軟骨性のクッションが壊れてしまうのですが、これは若いうちから始まっているのです。でも、若い頃は椎間板ヘルニアになるなど、よほど酷くならない限りあまり症状として出ません。40歳、50歳になってから痛みや腰曲がり、痺れや坐骨神経痛などの症状が出てきます。若い頃にスポーツや労働で椎間板を痛めたことがある人、腰椎分離症のある人は将来注意していただきたいと思います。

となると、若い頃から腰やひざ、股関節のことについて知識を持っておいたほうが良さ そうですね?

三輪: その通りです。自分の将来のためでもありますし、両親や祖父母のためにも知っておいた方がいいでしょう。どういう原理で悪くなるのかがわかれば、予防の為に、どんなことをすれば良いのかがわかるし、将来悪化するのを遅らせたり減らしたりでき、両親や祖父母にアドバイスすることもできます。

腰もひざも股関節も元気なまま、痛みなく100歳まで生きられる人もいるんですか?

三輪: 少ないですがいます。大体は華奢なおばあさんです。あまりスポーツをやってきた感じではない人に多いですね。傾向として女性は内臓が強いので長生きします。体重が少ないと軟骨の減り方も少なく、ですから健康で長生きしている人は小柄で華奢な女性に多いと思いますよ。

スポーツでひざの軟骨が摩耗するということは、健康維持のためにやっている運動も控えめにした方がいいのでしょうか?私は今37歳で週に2回10キロずつジョギングをしているのですが、これはやりすぎですか?

三輪: ジョギングくらいなら大丈夫です。あまり運動しないとそれはそれで健康に悪いの で、多少の運動はした方が良いでしょう。ひざが痛い人が散歩するのはよくないのかというと、そんなことはありません。

ひざの軟骨はスポンジのようなもので、血流がなく関節液から栄養をもらっています。ですから適度な運動であれば、負荷がかかった時に軟骨に関節液が染み込み栄養が行きわたるのです。つまり多少の運動やストレッチ、ほどほどの筋トレは長生きの秘訣だと思います。

最後になりますが、腰、ひざ、股関節に痛みを抱える方々にメッセージをお願いいたし ます。

三輪: まずは痛みがあるなら整形外科にかかってください。レントゲンを撮って、余程重症でない限りはそこで薬をもらったりリハビリをしたりといった治療をしてください。それでも治らない場合や、変形が酷かったり痛みが強いとか麻痺や神経痛があり、明らかに重症だと思った場合は、大きな病院に行って、MRIなどの精密検査を受けていただきたいと思います。関節や腰の痛みはM R Iを撮らないと重症度がわからないことが多いのです。

また、重症の場合は、かかる整形外科医は誰でも良いわけではありません。腰なら腰、ひざならひざを専門にしている医師がいますので、自分の悪いところにあった医師を探してかかっていただきたいと思います。初診の医師が主治医になることが多いので、かかりたい医師を調べて受診することをお勧めします。

そして、繰り返しになりますが、悪化した腰、ひざ、股関節の痛みを完治させるには、最終的には手術にならざるを得ません。いたずらに怖がらず、いつまでも自分の足で歩ける人生にするために、悪化したら、手術で完治させるということを考えていただきたいと思います。

(新刊J P編集部)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. [ 第1章 ]
    「腰ひざ股関節シンドローム」
    ─これが寝たきりになる原因だった!!
  3. [ 第2章 ]
    寝たきりを防ぐ!
    腰ひざ股関節シンドロームの症状と治療
  4. [ 第3章 ]
    整形外科の正しいかかり方
    これが分かれば腰ひざ股関節の痛みや故障が治せる!
  5. [ 第4章 ]
    腰ひざ股関節手術の真実
    痛みが消えた! 歩けた! 患者さんの歓喜の声
  6. [ 第5章 ]
    手術と治療について知っておいてほしいこと
    合併症、リスク、後遺症
  7. [ 第6章 ]
    悲願の「腰・膝・股関節センター」設立
  8. おわりに

プロフィール

三輪 道生(みわ・みちお)
三輪 道生(みわ・みちお)

三輪 道生(みわ・みちお)

整形外科専門医。社会医療法人中山会 宇都宮記念病院副院長、整形外科科長、腰・膝・股関節センター長。1963年静岡県生まれ。御殿場小学校、御殿場中学校を経て、沼津東高校卒。防衛医科大学校を卒業後、同大整形外科入局、防衛医大大学病院、自衛隊中央病院にて研修。
国立療養所村山病院(現・村山医療センター)、国立塩原温泉病院(現・栃木県立塩原温泉病院)勤務を経て、慶應義塾大学医学部整形外科に入局。2度の研修医経験を通じて腰、ひざ、股関節全般にわたる術式をマスターした。清水市立病院(現・静岡市立清水病院)整形外科医長、国立栃木病院(現・栃木医療センター)、燿生会病院副院長、同院長、理事長を経て、2010年より宇都宮記念病院副院長・整形外科科長に就任。2019年より現職

腰ひざ股関節シンドローム~100歳までシャキッと歩くために知るべきこと~

腰ひざ股関節シンドローム~
100歳までシャキッと歩くために知るべきこと~

著者:三輪 道生
出版:幻冬舎
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