仕事のパフォーマンス低下を防ぐ マッサージ不要のセルフケア
筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる

筋肉のつながりを知れば
「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる

著者:沖倉 国悦
出版:アスコム
価格:1,650円(税込)

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本書の解説

忙しいビジネスパーソンにとって、「肩こり」や「腰痛」は切っても切れないもの。特にデスクワークが中心になると、同じ姿勢を続ける時間が多くなり特定の筋肉に負荷が集中してしまいます。

マッサージに通いながら騙し騙し付き合ってきた肩の痛みや、少し良くなってはまた悪くなって…を繰り返しているうちにすっかり慢性化してしまった腰の痛み。年齢を重ねるにつれて、どこにも痛みがなく万全な体調で毎日を過ごすのは難しくなります。

そんな中でも自分で対処できることがあります。痛みやこりがなくなれば、自然と仕事のパフォーマンスも上がり、休日をエネルギッシュに過ごせ、アクティブに動いた翌日も、疲れが残らない、そんな状態に近づくことができるはずです。

体のこりや痛みを解消するには「原因と症状は別」と考える

『筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる』(沖倉国悦著、アスコム刊)は、痛みが出ている個所をマッサージでもみほぐすのではなく、人体の仕組みに沿ったやり方で痛みの「根本」を取り除く方法を解説していきます。

というのも肩の痛みの原因が肩の筋肉そのものにあるとは限りません。本書によると、体の筋肉はすべてつながっているため、痛む場所とは別のところに原因があることは珍しいことではないのだそう。そのことを知らずに痛みが出ている個所にばかり注目すると、マッサージをして少し良くなって、また痛くなって、を繰り返すことになりやすいのです。

体の痛みの原因は筋膜の癒着だった!

そもそも、筋肉を固くし、こりや痛みを引き起こす「根本原因」は何なのでしょうか?

本書では、その犯人を「筋膜の癒着」だとしています。筋肉の疲労などさまざまな原因から骨や他の筋肉、筋膜同士がくっついてしまう(癒着してしまう)ことで、こりや痛みが起こる。ならば、くっついた筋膜をはがしてあげればいい。これが痛みやこりの根本からとりのぞくためのアプローチです。

その「筋膜はがし」の決定版ともいえるのが、本書の著者で理学療法士の沖倉国悦さんが考案した「沖倉流筋膜はがし」です。一般的な筋膜はがしとはまったく異なる方法ですが、効果は抜群。沖倉さんによると、このやり方を試したすべての人に症状の改善が見られたといいます。ここでは、「沖倉流筋膜はがし」の一端をお見せします。

肩をもんでも肩痛は直らない 本当に対処すべき場所とは?

長時間パソコンに向かうデスクワークの仕事だと、どうしても肩に負担がかかるもの。肩こりや肩の痛みが慢性化している人は、こんな筋膜はがしがおすすめです。

1.右手の親指と人差し指を左手の親指と人差し指の間で合わせる。左手の親指と人差し指の骨が交差するあたりを右手の腹で軽く押さえる

2.親指の腹で押さえたまま、左肘を軽く引っ張るようなイメージで→の方向に右手を10秒間引く。逆側も同じように

「こんなことで肩こりが良くなるの?」「肩と関係ないじゃん」と不思議に思うかもしれません。しかし、肩から手までの筋肉はつながっています。実際、肩にこりや痛みが起きている場合、手の甲から腕の外側につながっている体の横を通るラインに筋膜の癒着が起きているケースが多いのだそう。上記の筋膜はがしはこの部分にアプローチできる手法なのです。肩にアプローチする筋膜はがしは、全部で4種類あります。

マッサージでは届かない体の深部に原因があることも

痛みの原因となっている癒着が思わぬ場所にあるケースもあれば、マッサージが届かない体の深部にあるケースもあります。これは腰痛でよく見られます。

腰痛を引き起こす体の深部の癒着にアプローチするにはこんな方法があります。

1.いすなどに腰をかけ、足を肩幅に広げる

2.左右2個所のASISの少し内側(おへそ寄り)で、少し下のあたりを親指で押す。親指で押しにくいという方はそれ以外の4本の指で押してもOK
※ ASIS(上前腸骨棘)…骨盤のふちからおへその方向に少し離れた場所にある、硬い骨の出っ張り

3.2の状態で、左右交互にももを上げて足踏みをする。左右10回ずつ、計20回

この動きによって腰痛の原因になっている体の深部の筋膜の癒着を改善することができるのだそう。腰痛に効果的な筋膜はがしも4種類あります。



体の痛みに対処するうえで大切なのは、体の仕組みを理解して、痛みの原因に対処すること。

一時的な症状改善ではなく痛みの根本を取り除くために、「沖倉流筋膜はがし」は試してみる価値アリ。辛い症状に悩まされている方は、本書で解説されている筋膜はがしの手法を実践してみてはいかがでしょうか。

インタビュー

■「筋膜の癒着」を取り除かない限り、痛みは繰り返す

『筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる』で解説されている筋膜はがしの手法は驚くべきものでした。痛みとは違う場所に原因がある、という考え方は整体や理学療法の世界では一般的なのでしょうか?

沖倉: 理学の世界では、いかに痛む場所を特定して治療するかというアプローチが一般的です。痛む場所と違う場所に痛みの原因があるという考え方はほとんどされないと言っていいと思います。整体師でもそういう考え方を持っている人は少ないです。

「沖倉流筋膜はがし」の元になった六層連動操法について詳しく教えていただきたいです。

沖倉: 「六層連動操法」は筋肉や骨の周りについている膜のお話です。一番体の表面に近い筋膜から一番奥の骨膜まで数えると全部で6つあって、それらが層になっています。この構造を踏まえると、体の奥の方の膜同士の癒着を取らないと、体の表面まで緩めることはできない、逆に体の最深部の筋膜の癒着を取れれば、体の痛みもとれる、というのが六層連動操法の発想です。

今回の本もその原理に基づいて、体の深い部分の筋膜の癒着を取ることで体の痛みから解放される方法について書いています。

沖倉さんの手技はどのように作り上げられていったのでしょうか?

沖倉: 以前に病院勤めをしていた頃、様々な治療法を勉強しながら体の痛みを抱えた患者さんと向き合っていたのですが、少し良くなったと思ったらまたもとに戻ってしまうというのを繰り返してしまう方が多かったんです。その繰り返しはなぜ起こるのかと考えてたどりついたのが「体の奥深くの筋膜の癒着を取らない限り、症状は元に戻ってしまう」という、先ほどの六層連動操法の理論で、手技はその理論を技術に落とし込んだものになります。

今回の本では、その技術がセルフエクササイズとして紹介されていますね。

沖倉: そうですね。たとえば肩こりや肩の痛みの場合、表面をもんだり叩いたりしても、深部まではなかなか届きません。じゃあどうするかというと、体の中を通っている筋膜のつながりに注目するんです。肩の筋膜は腕を通って、手の親指と人差し指の間までつながっているので、この部分にアプローチすることで、肩こりや肩の痛みを引き起こしている筋膜の癒着を取るというやり方をします。

体の深部までアプローチするということですと、鍼治療を思い当たります。ただ、鍼やお灸とも違った方法ですね。

沖倉: 鍼灸の場合は体の奥にあるツボにアプローチをしますが、鍼を刺すだけでは癒着は取れないので、一時的に症状が落ち着いてもまた元に戻ってしまうというのが私の考えです。痛みやこりの根本原因はこの癒着なので、ここをどうにかしないと完全に治すことは難しいと思います。

具体的なやり方としては、筋膜のつながりに注目して、「引く」というのが特徴的ですね。

沖倉: そうですね。筋膜はつながっているので、そのつながりの末端を引っ張ることで筋膜の滑走不全を改善するというやり方をしています

■デスクワークによる体の痛みを取るための自宅でできるエクササイズ

肩や腰、首など体に痛みがあるとどうしても仕事のパフォーマンスも落ちてしまいます。特に、「四十肩」「五十肩」のように年齢を重ねたことで肩に痛みがある方は多いと思いますが、効果的なセルフエクササイズはありますか?

沖倉: 本の中でも解説しているのですが、痛い方の腕の脇にペットボトルを挟んで、もう片方の手でそちらの肘をつかみながら、つかんでいる腕の方にひっぱるエクササイズが効果的です。これは肩甲骨と骨頭と上腕骨の間の癒着を取るエクササイズです。

体に痛みがある場合、ストレッチで症状を緩和するということも多くの方がやられていると思います。この方法も痛みの根本的な解決にはならないのでしょうか?

沖倉: ご存じの通り、ストレッチは筋肉を伸ばして柔らかくするエクササイズです。ただ、伸ばしたゴムが手を離すと元に戻るのと同じで、ストレッチした筋肉も筋膜の癒着があるかぎり、結局元に戻ってしまいます。だから、まずは癒着の方を何とかしないといけないんです。

この癒着というのは、何が原因で起きてしまうのでしょうか?

沖倉: よくケガをしたときに体の中で炎症が起きていると言われますよね。ケガだけでなく、たとえば風邪をひいてしまった時も体の中では炎症が起きていますし、大腸炎などもそうです。この炎症なのですが、デスクワークで長時間座りっぱなしだったりなど、同じ姿勢を続けて特定の筋肉に負担がかかることでも起きてしまうんです。こうした筋肉の炎症によって筋膜の癒着が起こります。

この筋膜の癒着が起こらないようにする方法はありますか?

沖倉: まだ癒着がゆるいうちに取り除いてしまうという対策があります。この本で紹介しているセルフエクササイズを普段からやっておけば、ちょっとした癒着が固まってしまう前に対処できますので、試してみていただきたいです。そして、繰り返しやっていただくことが大切です。

普段から体を動かしておくというのも対策になりますか?

沖倉: 体を動かすことでも癒着が取れることはあると思いますが、狙った場所の癒着を取ることはできませんからね。たくさん動かす場所の柔軟性は増しますが、使わないところはそのままということになりやすいと思います。

デスクワークをしていても、体を動かす仕事をしていても体に痛みは出ます。両者の痛みは原因も対処法も異なるのでしょうか?

沖倉: 炎症と筋膜の癒着が原因で痛みが出るという意味では同じです。デスクワークの場合、同じ姿勢を長時間続けるということが問題です。これは言い換えると特定の筋肉が縮こまっている状態が長く続くわけで、そこに癒着が起きます。そして、その場所が急に伸ばされたりすると痛みが出やすい。

体を動かす仕事をされている方の場合は、どちらかというと特定の場所が過負荷になることで炎症が起きてしまうケースが多いです。この炎症が原因になって癒着が進み、慢性的な痛みになっていきます。

本書で紹介されている筋膜はがしの手法は、たとえばデスクワークをする人が疲れを感じたタイミングで行うと、すぐに効果が実感できるものなのでしょうか? それともある程度継続して行うことが必要になりますか?

沖倉: 疲れたと思った時にやっていただけたら、それだけでも楽になると思います。ただ、継続してやっていただいた方が効果は感じやすいです。特に本の中で紹介している上前腸骨棘を押しながら足踏みをするエクササイズは、ディープコアラインという体の深いところを通る筋膜のラインにアプローチできるので、定期的にやっていただくといいと思います。これは全身に効くのでおすすめです。

最後に慢性的な痛みを抱えるビジネスパーソンの方々にメッセージをお願いします。

沖倉: 重症化していない腰痛や肩の痛みでしたら、本書のエクササイズをやっていただけたら改善する可能性は高いと思います。何日間か実践して「ビフォーアフター」ではないですがどう変わったかを知っていただければ、続けてみる気になっていただけるのではないかと思いますので、ぜひ試してみていただきたいですね。

書籍情報

目次

  1. はじめに
    本書を読み進める前に
  2. 効果ゼロのマッサージをしていませんか?
    症状がある箇所をほぐしても、こりや痛みは解消できない
    こりや痛みを根本から改善するのが難しい理由とは
    こりや痛みが現れるまでに、体で起きていること
    筋肉のつながりを知り、こりや痛みの原因をとり除く
    筋膜のつながりは東洋医学の経路に通ずる
    こりや痛みは、「もむ」や「たたく」ではなく「引く」が正解!
    筋膜の癒着は日々、体内の炎症によって発生する
    六層連動操法をセルフケアで! 筋膜の癒着から身を守る
  3. 肩のこりや痛みを解消する沖倉流筋膜はがし
    「肩たたき」や「肩もみ」では、肩こりが解消できない理由とは
    知らずに体を蝕んでいく「静かなるこり」に要注意
    肩のための沖倉流筋膜はがしのやり方
    四十肩、五十肩の人のための沖倉流筋膜はがし
  4. 腰痛を改善するための沖倉流筋膜はがし
    ほとんどが原因不明の、腰痛の正体
    マッサージでとれる腰のこりや痛みと、とれないものの決定的違い
    腰のこりや痛みを改善するゴールデンタイムとは?
    腰のための沖倉流筋膜はがし
  5. 首のこりや痛みを改善するための沖倉流筋膜はがし
    首のこりは、肩こりや腰痛の危険信号
    首のこりや痛みを引き起こす癒着はどこにある?
    首のための沖倉流筋膜はがしのやり方
  6. 足の悩みのための沖倉流筋膜はがし
    ひざが痛い人のための沖倉流筋膜はがし
    足のしびれや痛みは、症状ごとに対処方法が違う
    足の冷えも、沖倉流筋膜はがしで改善・予防する
    朝起きて、突然足が痛くなったときはどうする?
    むくみをとるための沖倉流筋膜はがし
  7. 沖倉流筋膜はがしで、こんなこともよくなる
    ひとつの筋膜をはがすと、いろいろなところがよくなる
    筋膜の癒着をとることで美顔効果も!
    動悸・息切れ、息苦しさが改善する
    「高血圧」の改善が見られた事例も……
    筋膜を緩めて自律神経をリラックスさせる
  8. おわりに

プロフィール

森数 美保(もりかず・みほ)
森数 美保(もりかず・みほ)

沖倉 国悦(おきくら くによし)

理学療法士、治療家育成講師、整体師、サンミュージック所属

1979年埼玉県生まれ。理学療法士として16年間勤務する中、リハビリスタッフ130名を超える病院で係長も務めた。
原因不明の痛みやこりに向き合う中で、テコの原理を応用した独自の手技「六層連動操法」を開発。
現在は表参道に整体院を構え、重症患者の施術を行うほか、整体技術「六層連動操法」を普及させるため、セミナー講師として東京・大阪で活動している。
また、ハワイでの人体解剖実習を主催し、理論と技術の指導にも力を注ぐなど、治療家教育にも定評がある。
YouTubeチャンネルは登録者数1.3万人を超え(2025.10月時点)、著書『六層連動操法~痛みゼロの最新筋膜リリース~』(かざひの文庫)はAmazonベストセラー第1位を獲得(カイロ・整体部門)。

筋肉のつながりを知れば「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる

筋肉のつながりを知れば
「肩こり」と「腰痛」は自分で解消できる

著者:沖倉 国悦
出版:アスコム
価格:1,650円(税込)

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