今、知っておくべきこれからの時代の「お墓」の形
令和時代のお墓入門

令和時代のお墓入門

著者:樺山 玄基
出版:幻冬舎
価格:800円+税

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本書の解説

高齢化が進む日本において、「終活」は一大マーケットになっている。
生前整理や相続の問題、そして葬式の形など、自分の人生の幕引きをどのようにすべきかを考える人が増え、それに関する情報も溢れている。

そんな「終活」の中で、あまり触れられないものが「お墓」だ。
お墓は家族以外にも、先祖代々付き合いのあるお寺や親族、伝統やしきたりが絡んでおり、分かりにくい世界。そのため、相続や葬式などと違って、あまり情報が出てこない。
さらに、人々の移動が活発になったため、代々受け継がれてきたお墓との関係が希薄なっていることもあり、お墓と新しい関係を作る必要があるのだ。

『令和時代のお墓入門』(幻冬舎刊)は寺院経営のコンサルティングを手掛ける樺山玄基氏が、これからの時代の私たちとお墓の新しい関係、そして新しい時代のお墓の形についてつづった一冊。「新しい時代のお墓の形」とは一体どういうものなのか。本書を見ていこう。

「継ぐ」ことが前提のお墓だが、それが頭の痛い問題に…

実は民法では「財産」とされている「お墓」。そのため、承継することが前提となるわけだが、家族や地域のあり方が大きく変化している現代の日本では、お墓を承継することが頭の痛い問題になってしまっている。

樺山氏のもとには、このような相談が来ているそうだ。
「子どもは遠方に嫁いだ娘が一人。墓をつくっても継ぐ人がいない」
「子どもたちは戻って来る予定がなく、お墓の面倒をみてもらえそうにない」
「故郷の墓を継ぐ立場にあるが、上京して久しく、戻る予定もない」
「一人暮らし。死後、人に迷惑をかけたくない」

自分のお墓を建てても面倒を見てもらえない、継ぐ人がいない。こうした悩みに対して、新たなソリューションとなるのが本書で樺山氏が説明している「永代供養墓」だ。

「永代供養墓」は「承継を前提としない」新しいお墓の形

永代供養墓とは、どんな墓のことを言うのか。永代は「永遠」の意味、そして「供養」は文字通り「供養する」ということ。つまり、永遠に供養するための墓である。では、誰が供養をするのか。永代供養墓の場合は、お寺だ。

子孫が自分のお墓と希薄になっても、お寺が代わりに供養をし続けてくれるのがこの永代供養墓。「承継を前提としない」という点で、子どもや子孫といった承継者の手を煩わすことはなくなる。
となると、一つ疑問が浮かぶ。永代供養ということは「合祀」ではないか――つまり、他人の遺骨とともに一緒に埋葬されるのではないかということだ。

樺山氏いわく、10年ほど前に永代供養墓ができはじめた頃は、この合祀タイプがほとんどであったという。しかし、今は利用者の多様なニーズに応えるため、永代供養墓のバリエーションは増えており、個別墓のタイプも登場しているという。
個別墓は、例えばお寺の敷地内に約30cm四方のお部屋を集めた一角を設け、そこに遺骨を骨壺の中に入れて安置するという形がある。これを樺山氏は「マンションタイプ」と呼んでいる。

変化する社会の形に合わせてニーズが高まる永代供養墓

承継者問題以外にも、永代供養墓はお墓に対するハードルを下げる要素が多い。

例えば費用。従来のお墓の購入費用は200万円から300万円が相場だと言われている。さらに、その区画を買い取るわけではなく使う権利を買うということになるため、年間管理料がランニングコストとして発生する。一方、永代供養墓はそれに比べて費用を安く抑えられ、年間管理料も発生しないため、負担にもならない。

また、寺院側の視点で言えば、お墓の用地不足問題の解決の一手になると考えられる。都市部のお墓の需要が高まる中でも、寺院は勝手に墓地を広げることはできない。それは法律によって区域が定義されており、おいそれと墓地を開発することはできないためだ。そこで永代供養墓の出番が増えるというわけである。

 ◇

永代供養墓は「合祀」タイプ、「個別墓」タイプの他に、今注目を集めている「樹木葬」タイプもある。これは樹木を墓標とするもので、自然葬墓地ともいう。このように、お墓の形は多様化が進み、自分の理想に合わせて選べるようになってきているのだ。

本書ではこうした新しいお墓の形以外にも、お墓の歴史や寺院の役割について触れており、これまでのお墓の変遷からこれからのお墓まで学べる一冊になっている。終活の中でも地味な存在であるお墓だが、承継が絡むという点で考えなくてはいけないものの一つ。ぜひ本書を読みながら、自分や家族の墓について考えてみてほしい。

(新刊JP編集部)

インタビュー

樺山 玄基(かばやま・げんき)

■今、変わりつつあるお墓の形。どういうお墓が求められているのか

『令和時代のお墓入門』についてお話をうかがいます。まず、本書を執筆した経緯から教えてください。

樺山: 私が代表を務めるエータイは永代供養墓を専門とした事業を10年以上行っていますが、この10年でもお墓の形、あり方といったものが大きく変化しています。そうした変化や、新しいお墓の形について書いている本がなかったので、お墓に対する啓発の意味も込めて執筆させていただきました。

「終活」という言葉が広く定着していますが、その中でお墓についてはあまりフォーカスされていません。お墓も終活で考えておくべきことの一つだと思いますので、その点についても知っておいていただきたいですね。

おっしゃる通り、終活の中で相続や葬式などはよく出てきますが、お墓についての情報はあまり出てきません。なぜ終活においてお墓の話題はのぼりにくいのでしょうか?

樺山: お墓って建てるときにはお金がかかるものですが、金融資産ではないですし、人に売買できたりするものではないというのが理由の一つとしてあるのかなと思っています。それにお墓は霊園であったり、お寺に相談すれば解決するというイメージもあります。

ただ、実際に相談をするにしても、センシティブな話題であることもあり、なかなかしっかり確認できないということもあるはずです。また、宗教法人が絡んでいて情報がうまくやり取りできないこともあるようで、総じて面倒だな、何が問題なのかわからないんだよねといったことがお墓を話題から遠ざけてしまう一因になっているのだと思います。

家族が亡くなった際に、葬式はその業者と打ち合わせをしたりしますけれど、お墓はどのタイミングで誰と話をするのでしょうか。

樺山: これまでであれば、自分の家のお墓がある方が多かったので、お葬式が終わったら家のお墓に入れようとなっていましたが、近年は故郷から都心に移り住んで、そこで亡くなったときに本家のお墓には入れないし、入るお墓がないという方が増えています。

ただ実際、お墓について考えるのはその方が亡くなったタイミングであることが多いですね。そこからお墓を建てるのにだいたい200万円もかかることを知って驚くというようなことも起こるわけです。今は、お金ができてお墓を建てるまでは遺骨を家に置いておこうという方が都心部だと多くなっています。

家族の中で終活の一つとしてお墓について話すのはだいたいどのタイミングが良いと思いますか?

樺山: 元気なうちに、ということが一番なのですが、なかなか話を切り出すのは難しいかもしれません。なので、お墓参りでみんなが集まったときに話してみてはいかがでしょう。また、みんなが集まって話せる場を積極的に作っていきたいと当社は考えています。

なるほど。確かにそういうところで話題作りができるといいですね。本書では「永代供養墓」というお墓について詳しく解説されています。この永代供養墓とは一体どんなお墓なのですか?

樺山: これはお寺が永代、つまり永きに渡って供養していく、管理していくお墓ということですね。費用に関しては基本的に年間の維持費はかからず、最初に供養料をお支払いしていただくだけです。また、基本的には従前の宗旨宗派問わずに入れるのも特徴です。つまり、誰でも入ることができるお墓です。

お寺さんが代わりにお墓を管理してくれるのが「永代供養墓」の最大の特徴といっていいのでしょうか。

樺山: そうですね。永代供養墓は、お寺以外では絶対に成立しないお墓とも言えます。

「永代供養墓」にはどのようなお墓があるのでしょうか?

樺山: まずはいろいろな人が一緒の空間に入る合祀タイプのお墓から、一人一人、もしくは一組ごとに部屋を区切って納骨をするいわゆるマンションタイプ、あとは樹木葬タイプも人気のお墓の一つになっています。

これまでの「お墓」は承継を前提としていたところがあると思います。でも、永代供養墓はそういうものではないのですか?

樺山: はい、そうです。一般的には個人単位で入るものです。ただ、子どもたちへの承継はしないけれども夫婦で入りたいですとか、先の世代まで考えたくないけれど自分たちと子供世代まででお墓を使いたいといったニーズが出てきまして、そういう場合はマンションタイプの個別墓に入っていただくという形になります。また最近はペットと一緒に入りたいというご意見も増えてきています。一般墓と違うのは、「区切りをつけて入ってもらう」という点です。区切りというのは、一般墓でいう先祖代々だとかいうのは誰が入っているの?という状態でなく、誰が入っているのか明確にするといったことですね。

新しいお墓の形だなと思いながら、本書を読ませていただきました。やはりお墓は先祖代々というイメージが強いので。

樺山: そうですね。やはり人の移動が活発になったこと、あとはコスト面においても、一つの墓を維持する時代から変わってきているのではないかと思います。また、家族の形も変わってきていますよね。そういうお墓の継承がしにくい課題にもこの永代供養墓は対応できるのではないかと考えています。

金額的な面でいうと、先ほど通常のお墓だと200万円はかかるというお話をされていましたが、永代供養墓の場合はどのくらいかかるのですか?

樺山: 一般墓地のお墓よりも安い傾向にあります。もちろん見栄えですとか、管理がしっかりしている永代供養墓については、割高になってしまうこともあります。でも、基本的には一般墓と比べて安価ですね。

相場でいいますと、私が知る限り一番安い永代供養墓は5千円からですね。これはみんな同じ場所に入る合祀タイプです。ただ、しっかりと管理や供養されているのかは分かりません。個別に入る、もしくは複数人で入るマンションタイプの永代供養墓ですと高めです。30万円の墓もあれば、100万円の墓もあります。最近注目されている樹木葬も同じくらいの相場感ですね。

なるほど。やはり自分がどんなお墓に入りたいのかについて、金額的な部分、形式的な部分踏まえてちゃんと伝えておくことがいいのかなとお話をうかがっていて思いました。

樺山: 永代供養墓の話をさせていただいていますが、もちろん、一般墓でもいいと思います。今、お墓の選択肢も広がっているというのは事実ですから、その中で自分や家族に合ったお墓を選んでいただくのがいいのかなと思いますね。

樺山 玄基(かばやま・げんき)

■お墓をめぐる価値観の変化はここ10年で大きく変化

「永代供養墓」はいつ頃から注目を集めているのでしょうか?

樺山: 実際は以前からお寺にあったんですよ。大きく変わったのは1999年に「墓地、埋葬等に関する法律」が改正され、遺骨を他のお墓に移動しやすくなったんです。そこから、永代供養墓の需要が急速に高まり、ここ10年間でお墓のことを考える上で、「永代供養墓」というワードはよくのぼるようになりました。

その意味では、お墓に対する価値観がかなり変化してきているように思いますね。

その価値観の変化は具体的にどのような変化なのでしょうか

樺山: 従来のイメージは一般墓ですよね。住まいは東京だけれど、お墓は田舎というのが以前の価値観だったのですが、今はもう田舎とあまり縁が深くないし、家族は全員東京にいるからこちらでお墓に入りたいということが通るようになってきたんです。

なるほど。

樺山: あとは夫と別々の墓に入りたいという方もいます。一方でペットと同じ墓に入りたいという方もいますね。子どもがいないけれど、ペットが子どものような存在だから、と。そういう意味では価値観が多様化していますよね。

それがここ10年間の変化ですね。

樺山: そうですね。家族の形の変化が、お墓に求めるものの変化に繋がってきていることは感じています。

では、永代供養墓に合う方はどんな方なのでしょうか?

樺山: やはり、お一人の方ですね。あとは、家族構成なんかを見てみると、田舎から都会に移り住んでそこでご結婚されて、完全に都会に根付いているというご夫婦。あとはお子さんが女の子で、結婚しているようであれば、大きなお墓を作っても自分たちしか使わないから永代供養墓のほうがいいよね、となることが多いです。

なるほど、すでにそのお墓に入る人が決まっている場合は、永代供養墓の方が良いというわけですね。

樺山: そうですね。一般墓は年間管理費もかかりますし、老朽化したら修繕もしないといけないので、そのお墓を面倒見る人が必要です。だから、コストがかかったり、肩身が狭い思いをされる方も結構いらっしゃいます。

やはり子どもには負担させたくないと思う親御さんも多いので、そういう方は永代供養墓に切り替えようというケースはありますね。

永代供養墓にはさまざまなタイプの墓がありますが、例えば自然と一体になる「樹木葬」みたいなものも出てきて、人気を博しているとうかがいます。そのお墓の広がりが示す価値観の変化はどういう部分から出てきていると思いますか?

樺山: 樹木葬を選ばれるということは、やはり日本人の根底にある仏教的な考え方があるのかなと思います。輪廻転生というところで、自然に帰ってそれがまた別の命へとつながっていくという考え方ですね。埋葬したお骨が土に還り、それが樹木の栄養となり、花や緑となり姿を表し、お墓参りの時にその花や緑に想いを馳せる・・・ここに一種のロマンを感じる方も多いのではと思います。

また、海洋葬について、ここにも日本人の仏教的な考え方であったり、あとはお墓ってちょっと窮屈な場所に押し込められるイメージを持っていらっしゃる方も多いので、そうしたところから今、非常に注目が集まっているのかなと思います。

海洋葬は、遺骨を海に散骨して供養するタイプのものですね。

樺山: そうです。ただ、デメリットもありまして、海全体がお墓になるわけですから、ちょっとお墓のフィールドが広すぎてしまうという点があります。故人のことを思い出しにくくなるみたいな声はあったりします。

一方、樹木葬は目印となる樹木等がありますから、そういったことはありません。

今後、永代供養墓が普及する中で、その墓を管理する寺院の役割にも変化が出てくると思いますが、その点についてはいかがでしょうか?

樺山: これまでは檀家と呼ばれる家がありまして、例えば1つのお寺を200とか300の御檀家さんが支えていたんですけど、やっぱり本堂を建て直すときとか、その檀家さんの負担もすごく大きくなってしまうんですよね。そうした中で、檀家制度が核家族化や少子高齢化で揺らいできて、維持するのが難しくなってきています。

そこで、永代供養墓が今後はお寺を支えていくことになるだろうと思います。今や、法要の数も檀家さん以上に永代供養墓に入っている方のほうが上回っているということもありますから。

前の方で、永代供養墓は生前の宗旨宗派問わずに入れるとおっしゃっていましたが、それは本当なんですか?

樺山: 基本的に私たちのご提供する永代供養墓はそうなっています。ただ、そのお寺が真言宗であった場合は、基本的に真言宗の方式で供養させていただきます。自分の宗派にこだわりがあって、「どうしても浄土宗でないといけない」という方は、その宗派のお寺の永代供養墓に入られま

日本人の宗教観はとても緩やかで、仏教も宗旨宗派があるとはいえ、もともとは一つです。基本的にお経の種類も同じであったりしますし、多くの方は宗旨宗派の違いをあまり気にされないですね。

では、本書をどのような方に読んでほしいとお考えですか?

樺山: そうですね。世代問わず幅広い方々が読める内容になっていますが、お寺の方にもぜひ読んでいただきたいです。実はお寺の方も最近のお墓事情を知らなかったりするんです。また、やはりお墓について考えるタイミングが近づいてきている世代の方にもぜひ読んでいただければと思います。今はこういうタイプの墓も出てきているということを知っていただくだけでも、ありがたいですね。

(了)

書籍情報

目次

  1. 第1章
    迫り来る多死社会。あなたの「お墓」は大丈夫?
  2. 第2章
    日本における「お墓」の意味、役割とは
  3. 第3章
    自分のお墓は自分で準備する 知っておくべき「お墓の基本」
  4. 第4章
    現代日本に合った、新しい時代のお墓―永代供養墓とは
  5. 第5章
    令和時代、お墓とお寺が心の拠り所になる

プロフィール

樺山 玄基(かばやま・げんき)
樺山 玄基(かばやま・げんき)

樺山 玄基(かばやま・げんき)

平成16年に現会社の前身となる(株)日本クレーベストを創業者である父が設立。平成19年より永代供養墓事業を開始し、その中核として参画する。事業拡大につき、平成30年に現社名に変更。令和元年、代表取締役社長に就任。「子どもがお墓を受け継げない」「従来のお墓の形が合わない」という昨今の風潮から、寺院が遺族に代わって永続的に供養する「永代供養」を将来の新しいお墓の形態と見据え、時代にマッチした供養とお墓のあるべき姿(概念)を構築。事業ブランドである「永代供養墓普及会」を展開し、提携寺院は首都圏を中心に60カ寺以上(令和2年現在)にのぼる。お墓の施工、管理をはじめとする寺院コンサルティングを手掛けており、特に永代供養墓のコンサルティングにおいては業界の先駆的な存在である。

令和時代のお墓入門

令和時代のお墓入門

著者:樺山 玄基
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