意志が弱くても人生は変えられる
やりたいことだけやって人生を良くする わがままリスト

やりたいことだけやって人生を良くする
わがままリスト

著者:山岸 洋一
出版:イースト・プレス
価格:1,430円(税込)

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本書の解説

目標を立ててもなかなか意欲が持続しない人。
「こうありたい」という理想があるのに、それを叶えることができずギャップに苦しむ人。

夢や目標、あるいは理想を設定することの大切さを、私たちは子どもの頃から嫌というほど刷り込まれる。

・人生の目標を決める
・その目標を達成するための計画を立てる
・計画を一つずつ実践して、目標を達成する

これらは目標を達成するプロセスとしてまちがってはいない。しかし、多くの人はこれができないから苦しむのである。努力が続かない人、意志が弱い人が自分の人生を嘆いても「それは自分が悪いでしょ」と捨ておかれる。努力ができないのは人として欠陥があるような扱いをされることもある。

努力ばかりがもてはやされる世の中で、努力できない人や意志が弱い人が自信を持って生きるのは難しい。そういう人は満たされない毎日を送っていたとしても「自分の人生なんてどうせ変わらない」と諦めてしまいやすい。

他人の意図に取り込まれずに夢を見つけるのが難しい時代

人並外れて意志力が強く、どんなことでも実現させてしまうような人がいるのは事実です。しかし、だからといって、それ以外の人は幸せになれないのでしょうか。自分の意志力の弱さを責めて、夢見ることをあきらめなければいけないのでしょうか。

『やりたいことだけやって人生を良くする わがままリスト』(イースト・プレス刊)の著者・山岸洋一さんはこんな問いを投げかける。

結論からいえば、答えは「NO」だ。
そもそも人生規模の目標や夢を「心からやりたいこと」として自然な形で持てる人はごくわずかだし、自分の内面から湧き上がってくる衝動を「夢」と自覚するには、現代は雑音が多すぎる。「こうあるべき」という社会の風潮や周囲からの期待を「自分の夢」と錯覚してしまうことだってある。夢でも目標でも、本当に自分が熱意を持てることでなければ、結局は自分の「意志力」との戦いになってしまう。

さまざまなことに可能性が拓けているように見える現代は、実は他人の意図に取り込まれずに夢や目標を見つけるのが難しい時代だといえるのだ。

人生を好転させたいなら、まず「やりたいこと」を100個書いてみよう

では、人並外れた意志力も忍耐強さも持っていない人は、こんな時代にどうやって夢や目標を見つけて、実現していくことができるのか。そのために山岸さんが提唱しているのが「わがままリスト」だ。

「わがままリスト」とは、自分が今やりたいことをひたすら書き出すリストのこと。実現可能性も正しさも誰かの役に立つかどうかもすべていったん脇に置いておいて、とにかく自分の心の中にある願望や欲望、目論見、妄想を書き出していく。

「こんなビジネスを興したい」「こんなことで世の中の役に立ちたい」といった立派なものでなくても構わない(本気で思っているならもちろんOK)。「お寿司を食べたい」でも「たくさん寝たい」でもいい。ちょっぴり不道徳なことであってもこの際書いてしまおう。

目標は100個。
そこまで書き出せたら、ここからが意志の力に頼らずに人生を変えるプロセスの始まりだ。本書はよくある成功法則本や自己啓発系のノウハウ本とは異なり「夢詰まり」「不幸の種」「鏡の魔法」といったユニークなワードを使い、夢がかなわない理由や人生が停滞する原因を解説し、そこからの脱却を目指す。そのスタート地点が「わがままリスト」なのだ。

この「わがままリスト」をどう使っていくのかは本書を読んでぜひ確かめてみてほしいが、これだけやりたいことを書き出したら、自分が何者なのかおぼろげに見えてくるはず。自分を見つめ直す意味でも一読をおすすめしたい一冊だ。

(新刊JP編集部)

インタビュー

山岸 洋一(やまぎし・ひろかず)

■いいことばかりではない 「初志貫徹」の弊害は?

『やりたいことだけやって人生を良くする わがままリスト』は一般的な「成功法則」の本とは一線を画す内容でした。この本で山岸さんが一番伝えたかったことはどんなことですか?

山岸: 一つは「今、もうすでに新しい時代に入っている」ということです。21世紀が始まって最初の20年が過ぎたところで、21世紀が始まった当初からずいぶん人の考え方や意識も変わってきています。

そうなると「どうしたら人は幸せになれるのか」「どうすれば人生をより良く生きられるのか」という問いに対する答えも変わるはずなのですが、それを指南する分野に関しては、まったく変わっていません。

それはおっしゃるとおりで、いわゆる「成功法則本」と呼ばれる本の内容は変わっていない印象があります。

山岸: 世の中が変わり、人の意識が変わってしまっている以上、幸せや成功を求めて知識を得ようとしても、その知識が古いままだとかえって足かせになりかねません。そろそろ21世紀流の、新しい時代に合ったやり方を世の中に発信した方がいいのではないかという問題意識のもとで書いたのが今回の本です。

成功法則は時代に左右されない普遍的な真理という装いで本に書かれることが多いですが、実際はそんなことはないのでしょうか。

山岸: もちろん普遍的な部分もあるんです。私自身、フランクリン・コヴィー社の日本法人で『7つの習慣』をずっと扱っていましたから、そこで書かれていることの普遍性はよく理解しています。

ただ、それこそ『7つの習慣』のような古典的名著で書かれているような普遍的なこと以外にも大事なことはあって、それは時代とともに変わっていきます。その変わっていく部分にも対応しないと、やはりうまくいかないんです。

この20年間で成功法則はどのように変わってきたのでしょうか。

山岸: 2000年前後の自己啓発書として象徴的なのが『金持ち父さん貧乏父さん』(ロバート・キヨサキ著)と『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン著)です。

『金持ち父さん貧乏父さん』は当時アメリカ社会で起きていた不動産投資をめぐる様々な変化を上手にピックアップした本で、まさに「普遍的ではない部分」の本でした。『チーズはどこへ消えた?』は、僕も著者にお会いしましたけども、「とにもかくにも変化が激しくなっている世の中で生き抜くためには、変化に対応するスキルを身につけないといけない」という内容で、やはりこれも時代に即したものでした。

翻って今の状況を見ると、人はまだ変化にどう対応していいかわからないし、原理原則に基づいた普遍的な部分よりも表層的なところで何をすればいいかという具体的な策がなく、もがいている。そんな状況が今だといえます。

本書でテーマになっているのが「人は目標を適切に設定できない」という点です。これは、これまでの成功法則の根本を揺るがすテーマですよね。

山岸: 目標を適切に設定できていないせいで、計画を立てて実行してもうまくいかないというケースが非常に多いんです。だから、目標を立てられない人でもうまくいって幸せになれる方法を考えない限り、多くの人は幸せになれません。

様々な自己啓発書を見てみても「目標を設定すること」と、「目標を追うこと」は大切だとされる一方で、「目標の立て方」や「追い方」はあまり注目されることがなく、本書ではそこに踏み込んでいます。

山岸: そうですね。僕がフランクリン・コヴィー社の日本法人にいた頃、コヴィー博士に直接話を聞いたことがあるのですが、うまくいく人って目標を設定してから変更するまでの時間がすごく短いんです。朝立てた目標を夕方に修正していたりする。

そうやって目標自体を最適化していくんでしょうね。

山岸: そういうことです。最初に立てた目標に固執するのが良くなくて、状況によってどんどん変えていけばいいのですが、どういうわけか日本人はあまりこれが好きじゃない。

「初志貫徹」を良しとするところはあります。

山岸: 一方でアメリカ人のできる人たちを見ると、本当に軽やかに目標をどんどん変えます。それって「逃げること」とは違っていて、あくまで「最適化」なんです。こういう部分は日本人にも必要だと思います。

他人や社会から強いられた目標設定ではなく、自分の内側から湧き上がってくる欲求に従って目標を立てるために、本書で提唱しているのが「わがままリスト」です。このわがままリストについて詳しく教えていただきたいです。

山岸: 「やりたいこと」を100個紙に書き出して作るリストです。最初のうちは借り物の夢といいますか、自分の内側から湧き上がってくるものは出てこないと思いますが、それでもいいんです。

この本に書いているやり方で毎月リスト作りを繰り返していくと、だんだんと自分が本当にやりたいことに気づくようになっていきます。最初は社会に要求されている「こうあるべき」が反映されていても、だんだんと純度があがって心からやりたいことを書けるようになっていきます。こうなってくると強いですよね。

今回の本のゴールは「幸せに生きること」なんですか?

山岸: 幸せや成功を細かく定義すると長い話になってしまうので、「人生がうまくいっていないな」と感じている人が、少しでも人生がいい方向に進んだり、幸せを感じられていることを実感できるところがゴールでしょうか。この本で書いていることを繰り返していけば、自分が以前とは違ってきていることに徐々に気づいていただけると思います。

人生がうまくいっていないと感じつつ、それを変えるための行動を起こせない人は、簡単にいえば「エネルギーを失っている状態」なんです。わがままリストで自分が本当にやりたいことを思い出すことで、人生を前に進めるエネルギーや人生に変化を起こすエネルギーが少しずつ戻ってくるはずです。

■「努力が続かない人」はどこに問題があるのか?

「努力」についてはどうお考えですか。「夢に向かって努力しなさい」とよく言われますが、これは「人に何らかの努力をして生きさせる」ための装置として「夢」が使われているようにも見えます。

山岸: 努力はするものではなくて、結果として「してしまっている」のが望ましいと思っています。人それぞれ、「これなら何時間でもやれる」ということが絶対あるはずです。他人から見たらそれは努力だけど、本人からしたら特に努力と思わずやっている。そういう分野を見つけることってすごく大事ですよね。

努力を続けるには意志の力が必要だとされています。だからこそ三日坊主で終わりがちな人は自分を責めたり、自信がもてなかったりします。こういう人にアドバイスをするとしたらどんなことを伝えたいですか?

山岸: 一つは、あなたが努力をしようとしたことの方向性は正しかったのか、という点です。先ほどのお話に戻りますが、適切に目標設定ができるのは一部の天才だけで、ほとんどの人はできません。適切でない目標に向かって努力をしようとしても、やはり辛くなってしまい、結果として続かない。これは意志力の問題ではなくて、目標がまちがっていたと考えるべきです。

もう一つは、自分が本来持っていた力を取り戻していただきたいということ。能力を100とすると、ほとんどの人は20か30くらいしか使わずに生きています。それはなぜかというと、「今すぐ実現できること」を放置して生きているからです。

「今すぐ実現できること」とはどういったことですか?

山岸: 「わがままリスト」を作っていただくとわかると思いますが、やりたいことを100個書き出したとして、そのなかには「いつか叶えられるかもしれない大きな夢」だけでなく「その気になれば今すぐ実現できること」も含まれているはずです。

たとえば「お寿司を食べたい」なら、食べに行けばいいわけじゃないですか。だけど、案外人はふと思った欲求を叶えないで放置してしまったりする。この行為によって自分の意識の奥深くに「自分は今すぐ叶えられる夢も放置する人間です。夢を大切にしない人間です」というメッセージが送られてしまう。こうやって、本来持っていた夢を叶えるパワーが削がれていってしまうんです。

わがままリストを作って、その中の「すぐ実現できること」を実現するクセづけをすると、本来持っていた自分のパワーがよみがえってきますし、リスト作りを続けることで自分の内側から湧き上がる「本当にやりたいこと」に気づくことができるはずです。

「わがままリスト」を作る時の注意点などがありましたら教えていただきたいです。

山岸: 自己啓発の世界には、「リスト系」っていうのがあって、「高級車に乗っている自分」や「世界各地を旅行する自分」など、キラキラ輝いている未来図で彩って、それをエナジードリンクのようにしてモチベーションを高めるのですが、この本のわがままリストはそれとはまったく違うものです。

そのうえで注意点をお伝えすると、一つは少なくとも一年くらいは続けていただきたいということ。そのくらい経った頃には自分が変わった実感を持てていると思います。3カ月くらいあれば変化は実感できると思いますが、一年続ければもっと大きな変化があるはずです。

もう一つは、リストは自分の心に正直に作ること。今の若い方々は僕らが若かった頃と比べても意識が高いですし、世の中のことを真剣に考えています。僕の頃なんてバブルでしたから、みんな自分のことしか考えてなかったですよ(笑)。それと比べると今の方々は本当にすばらしいです。

一方で、自分の欲望を率直に出すのは苦手なようにも感じます。「わがままリスト」を作る時は、「人のためになるか」とか「世の中の役に立つか」という観点は脇に置いておいて、自分自身の欲望に忠実になっていただきたいです。誰かに見せるものではないですしね。

今のお話にあった「リスト系」の自己啓発と今回の本の違いとも関係すると思いますが、「わがままリスト」を作ることでどのように人生が変わっていくのでしょうか。

山岸: まず「やりたいこと」を100個書き出すというお話をしましたが、書き出したらそのうちの「すぐに叶えられること」をやってしまうんです。そうすることで「今すぐできることを放置しつづける自分」から卒業できますし、「自分はやりたいことを実行して叶える人間です」というのが意識の奥深くにメッセージとして伝わって、本来持っていた夢を叶えるエネルギーが戻ってくるんです。

やりたいことはあるのに実行に移さず溜め込んでいる状態を、この本では「夢詰まり」と呼んでいるのですが、すぐできることをやってしまうことで、この夢詰まりは解消されて、やりたいことがまた新しく浮かび上がってくる。これを繰り返すことでだんだんと自分の内側から湧き出てくる「本当にやりたいこと」がわかってきます。そうなると冒頭でお話しした「適切に目標を設定できない人」ではなくなってくるんです。

本来持っていたエネルギーを取り戻すことができることと、純度の高い夢が内側から湧き上がってくること。この2つで人生は変わります。

最後に、この本の読者の方々にメッセージをお願いいたします。

山岸: 今、なかなか大変な社会情勢のなかで、若い方々を中心に将来の希望を持てなかったり、先の人生楽しく生きていけるのか不安だったりと、閉塞感に悩んでいる人はいらっしゃると思います。この本はそういう人にこそ読んでいただきたいです。

最初にお話ししたように、時代が変われば幸せに生きる方法も変わるのですが、まだそこに対応した方法を教えてくれるものがない状況です。今後新しい時代にふさわしい生き方、考え方、ノウハウを教えてくれる本が出てくるはずですが、この本で提唱している「わがままリスト」もその一つです。ぜひ読んでいただいて、今より少しでも人生をいい方向に動かしていただけたら嬉しいです。

(新刊JP編集部)

書籍情報

目次

  1. はじめに
  2. 「意志力」 のいらない成功法則
  3. 「夢」 がなくても幸せになれる
  4. 超強力な 「サポート役」 の登場
  5. 「最高の世界」 の住人になる
  6. おわりに

プロフィール

山岸 洋一(やまぎし・ひろかず)
山岸 洋一(やまぎし・ひろかず)

山岸 洋一(やまぎし・ひろかず)

1966年生まれ。千葉大学卒業後、大手IT企業でSEとして金融機関のシステム構築に従事。パソコン事業部門に異動し、ヘルプデスク部門を統括。最新技術を紹介する技術読本の執筆やセミナーの講師を担当。その後『7つの習慣』で有名なフランクリン・コヴィー社の日本法人に転職。2万人以上に『7つの習慣』をベースとしたセミナーを受講させる。また、『7つの習慣』の子ども向け展開事業を新規開発し、事業統括を行うトップセールスとしてセールスチームをマネジメントし、20四半期連続目標達成の記録を樹立。世界130支店の中でトップクラスの営業担当500人のうち、さらに優秀な成績を上げた者にだけ送られる米国本社CEO表彰を5年連続受賞。その業績からスティーブン・R・コヴィーと直接仕事をするようになり、そこで受けた教えと、プライベートで回答してもらった10の質問はいまでも財産となっている。ほかにも、コーチングの神様といわれるマーシャル・ゴールドスミスや『チーズはどこへ消えた?』のスペンサー・ジョンソンからも教えを受ける。独立後は組織・個人向けのコンサルティングを行い、有料セミナー、セッションを受講した人数は累計2,000人を超える。個別セッションにより導き出されたノウハウにより、特に女性の潜在的なポテンシャルを引き出すことに成功している。著書に『人生の決め方』(総合法令出版)がある。

やりたいことだけやって人生を良くする わがままリスト

やりたいことだけやって人生を良くする
わがままリスト

著者:山岸 洋一
出版:イースト・プレス
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