新刊くん

シニアシフトの衝撃

著者近影 村田 裕之(むらたひろゆき)東北大学特任教授 村田アソシエイツ代表 エイジング社会研究センター代表理事
新潟県生まれ。1987年東北大学大学院工学研究科修了。民間企業勤務後、仏国立ポンゼショセ工科大学院国際経営学部修了。仏最大の国営石油会社エルフ・アキテーヌ(現トタール)勤務を経て91年 株式会社 日本総合研究所入社。以降、10年間に民間企業494社とともに13の異業種コンソーシアムを設立・運営し、新事業開発を推進。在職中に、ベスト・プラクティスで2度社長表彰。同社創発戦略センター主任研究員等を経て、2000年7月シンクタンク・ソフィアバンクの設立に参加、同社ディレクターを歴任。

2002年3月村田アソシエイツ設立、同社代表に就任。2006年2月東北大学特任教授、2007年4月関西大学客員教授、2008年11月東北大学加齢医学研究所特任教授、2009年10月東北大学スマート・エイジング国際共同研究センター特任教授、2011年4月エイジング社会研究センター代表に就任。

多くの民間企業の新事業開発・経営に参画し、日本導入後7年3か月で2,000店舗、会員50万人を突破した中高年女性フィットネス「カーブス」、累計2,200万台を販売したNTTドコモ「らくらくホン」、日本発の非薬物認知症療法「学習療法」の米国への輸出など、常に時代の一歩先を読んだ事業に取り組む一方、シニアビジネス分野・高齢社会研究の第一人者として講演、新聞・雑誌への執筆も多数。複数企業の顧問も務める。

自らが企画立案に関わった東北大学スマート・エイジング国際共同研究センターの設立に参画。企画開発部門責任者として、研究開発部門の研究成果を、海外の先端的研究機関との共同研究、 異業種の民間企業との産学連携、および学習意欲の高い高齢者と学生・院生との世代間交流を通じて実社会へ展開する事業「スマート・エイジング・スクエア」「スマート・エイジング・カレッジ」を立ち上げ、運営している。

英語・仏語に堪能で、世界最大の高齢者NPO AARPが、ロンドンで開催した国際会議に、唯一の日本人パネリストとして招聘されたほか、米国、スイス、ドイツなど欧米各国、シンガポール、香港、台湾などアジア各国で頻繁に講演者に招聘されるなど国際的な活動も多い。米国の高齢社会研究のフロントランナーで構成されるシンクタンクThe Societyの唯一の日本人メンバー。

経済産業省「中長期的視点に立った日本版イノベーションシステム構築に向けた調査」検討委員会委員、内閣府「環境未来都市評価・調査検討会テーマ別評価分科会」委員、中部経済産業局「新ヘルスケア・サービス産業創出懇談会」委員、中部経済産業局「新ヘルスケア産業創出懇談会」委員、韓国KARP(Korean Association of Retired Persons)アドバイザー、スイスWorld Demographic & Ageing Forum フェローなど多くの公職も歴任。

主な著書に「シニアビジネス 多様性市場で成功する10の鉄則」、「団塊・シニアビジネス 7つの発想転換」「リタイア・モラトリアム すぐに退職しない団塊世代は何を変えるか」(日本経済新聞出版社)、「「スマート・エイジング」という生き方」(扶桑社)、「いくつになっても脳は若返る(翻訳)」「親が70歳を過ぎたら読む本」(以上ダイヤモンド社)、「団塊マーケティング」電通シニアプロジェクト編著(電通)などがある。最新著は「シニアシフトの衝撃 超高齢社会をビジネスチャンスに変える方法」(ダイヤモンド社、12年11月16日発売)

目次

プロローグ 今年の常識は、来年の非常識
第Ⅰ部 日本中を席巻するシニアシフトの潮流
第1 章 加速化が止まらないシニアシフトの流れ

  • ・大人用紙おむつ市場が赤ちゃん用市場を逆転
  • ・リカちゃん人形におばあちゃんが登場
  • ・ゲームセンターはシニアの遊び場に
  • ・平日のカラオケの客の6割がシニア
  • ・スマートフォンの主戦場はシニア向け
  • ・もはやファミリー向けではないファミリーレストラン
  • ・出会いサポートもシニアシフト
  • ・テレビの女子アナはおばあちゃん?
  • ・シニアシフトの流れがこれまでの常識を覆す

第2章 シニアビジネス待ったなし!

  • ・2つのシニアシフト
  • ・2007 年と明らかに異なるシニアシフトの特徴
  • ・企業にとってのシニアシフトの意義とは?
  • ・シニアにとってのシニアシフトの意義とは?
  • ・社会にとってのシニアシフトの意義とは?
  • ・意外に知られていない、個人金融資産1400 兆円の中身
  • ・シニア資産30%の消費は、国家予算1.6 倍のインパクト
  • ・シニアシフトに乗り遅れるな!

第Ⅱ部 シニアシフトにどう対処するか
第3章 市場の見方を誤るな
- マス・マーケットではない100兆円市場

  • ・シニア消費100 兆円の真実
  • ・ばらつきが大きい高齢者世帯の所得
  • ・「シニア=60 歳以上」で、市場を読み間違えるマーケティング担当者
  • ・シニアの資産の特徴は「ストック・リッチ、フロー・プア」
  • ・フロー消費とストック消費を混乱するな
  • ・シニア消費は「年齢」ではなく、シニア特有の「変化」で決まる
  • ・ダウンサイジング消費は、ライフステージ変化の結果
  • ・マス・マーケティングが効かない、多様なミクロ市場の集合体

第4章 消費者の変化を見誤るな
-スマートシニアのネット利用率

  • ・10年間でこんなに変わったシニアのネット利用率
  • ・スマートシニアの増加で市場の性質が変わった
  • ・いくら見学者が来ても、売れない老人ホーム
  • ・シニア市場は「売り手市場」から「買い手市場」になっていく
  • ・シニアの「スマート化」を加速するスマホとタブレット
  • ・主戦場はスマートフォンからタブレットへ
  • ・IT弱者が利用しない3つの壁のクリアが必要
  • ・絶対に使いたくなる用途開発がシニアへの普及のカギ

第5章 身近な「不」に目を向けよ
-「不安・不満・不便」が有望市場の裏返し

  • ・シニアビジネスの基本は「不」の解消
  • ・中高年女性の「不」の解消をビジネスにして成功したカーブス
  • ・中高年女性の心をつかんだ「スリー・ノーM」
  • ・成果を得るのに不要な物は全部排除
  • ・都市部シニアの食に関する「不」は何か
  • ・身体の機能低下による「不」とその解消方法
  • ・狙い目は旧態依然とした「不」が多い市場
  • ・ぜんぜんスマートではないスマートフォン
  • ・事業機会は、私たちの頭の中にある

第6章 時間消費を勘違いするな
-コト消費からモノ消費への正しい方法

  • ・失敗しやすいシニア向けの「コト消費」ビジネス
  • ・「シニアの居場所」のイメージが強いカフェの落とし穴
  • ・平場のラウンジは失敗事例の典型
  • ・時間消費が、購買意欲を促す仕掛けが必要
  • ・時間消費が、モノ消費に結びつきやすい「回遊型」
  • ・時間消費ビジネスの勘所は、連結連鎖と新陳代謝
  • ・ラクーアは、回遊型時間消費ビジネスの理想形

第7章 頭の新陳代謝を促せ
-シニアの経験価値を最大化する時間消費モデル

  • ・知的新陳代謝モデルでの時間消費
  • ・連結連鎖型になっていない東急文化村
  • ・演出が中途半端だと、本物志向のシニアは二度と来ない
  • ・知的新陳代謝モデルには「心理的導線設計」が重要
  • ・経験価値を最大化するように場をつくれ
  • ・コト消費型のモノ消費ショップ
  • ・「経験価値」向上にはソフトウェアがカギ
  • ・タイガー・コペンハーゲンにみる「コト消費型のモノ消費ショップ」の秘訣
  • ・シニア向けコト消費を勘違いするな

第8章 非合理の中に商機あり
-ダイシン百貨店に200種類の漬物がある理由

  • ・シニア市場では非合理ビジネスが合理的になる
  • ・立地が悪くても客がやって来る理由
  • ・寒い田舎でも満室の老人ホームの理由
  • ・売れ筋商品が、リピート客の理由とは限らない
  • ・シニアが喜ぶ、コストのかからない高付加価値策とは
  • ・「値切り行為」には値切り以上の意味がある
  • ・「自然な笑顔」という高付加価値策

第9章 「3つのE」を商品に含めよ
-120万円の商品が60代女性に売れた理由

  • ・シニアのストックが消費に回りにくい理由とは
  • ・年齢による脳の構造変化の意味
  • ・団塊世代の多くが「解放段階」
  • ・人は「わくわく」すると消費する
  • ・「気持ちをわくわくさせる商品を」と訴えたジョブズ
  • ・革新的なヒット商品のアイデアは、市場調査からは生まれない
  • ・自分が当事者になると消費する
  • ・人は心身ともに元気になると消費する
  • ・「3つのE」がへそくりを動かす

第10章 年齢訴求は要注意
-受け入れられる場合、ダメな場合

  • ・経済的メリットを感じられる場合はうまくいく
  • ・なぜ、「後期高齢者」は総スカンを食ったのか?
  • ・化粧品はグレーゾーン
  • ・ラベリングによる過去の失敗事例に学べ
  • ・高齢者という名称が消えていく
  • ・高齢者という名称を避ける理由
  • ・中高年を呼ぶ適切な名称は何か
  • ・アメリカでも混乱している「シニア」の使い方
  • ・サードエイジは、シニアに代わる名称か

第Ⅲ部 さらなるシニアシフトで、市場はこうなる!
第11章 「高齢者にやさしい」を誤解するな
-エイジフレンドリーの落とし穴

  • ・世界中に広まりつつあるエイジフレンドリーという言葉
  • ・「高齢者にやさしい」街づくりの間違い
  • ・「高齢者にやさしい」と、高齢者に受け入れらない
  • ・経年変化を考慮しない西洋型エイジフレンドリー
  • ・エイジングフレンドリーこそ、超高齢社会に必要な概念

第12章 進む「大家族」への回帰

  • ・ベビーブーマーの大移動の始まり
  • ・高齢化に伴うコスト増、収入減が移動の理由
  • ・大家族へ回帰するアメリカ
  • ・日本でも産業空洞化が若年層の所得水準を低くする
  • ・所得の低下が大家族化を加速する
  • ・90年代後半から増えた近居
  • ・深化する「孫ビジネス」
  • ・増える「スマートシニア」と若者との交流
  • ・ソーシャルメディアによるシニアと孫との新しい協働スタイル
  • ・豊かな高齢社会とは、高齢者だけが豊かになる社会ではない

第13章 巣鴨地蔵商店街で、「赤パンツ」が売れなくなる日

  • ・巣鴨の地蔵商店街が高齢者に人気の理由
  • ・2025年「赤パンツ世代」は、巣鴨に買い物に来るか
  • ・上客の高齢化とともに消え去る可能性のある三越本店
  • ・いまシニアに商売できていても、10年後もうまくいく保証はない

エピローグ これから世界中で起こるシニアシフト

  • ・世界中から注目されている日本のシニアビジネス動向
  • ・シニアビジネスで日本は世界のリーダーになれる
  • ・「企業活動のシニアシフト」は、これからほかの国でも必ず起こる
  • ・シニアビジネスは、「タイムマシン経営」によって規模がグローバルになる
  • ・シニアビジネスは・「グローバル・ライフサイクル・ビジネス」になる

謝辞


シニアシフトの衝撃

著者:村田 裕之
定価:1,680円
出版社:ダイヤモンド社
ISBN-10:4478022607
ISBN-13:978-4478022603

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