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書籍名:対話流-未来を生みだすコミュ
ニケーション
出版社:三省堂
著者名:清宮 普美代 北川 達夫
価格:1,575円
ISBN:4385364370
ISBN:978-4385364377
清宮普美代さんインタビュー

―北川達夫さんと共著という形で本書を執筆されていますが、本書をお書きになったきっかけはなんだったのでしょうか。

清宮「北川先生と打ち合わせをする際はいつもお互いに触発されて話が膨らみ、2~3時間があっという間にたってしまいます。そんな状況があって、北川先生が三省堂の編集者の方に、平田オリザさんとの対談集(『ニッポンには対話がない―学びとコミュニケーションの再生』)の続編として、ビジネスについて私との対談集の提案をしてくださったのがきっかけです」

―清宮さんが提唱されている「質問会議」についてお聞きしたいと思います。「質問会議」を実践することによって、それに参加する個人や、それを導入している企業にどんな変化が期待できるとお考えですか?

清宮「質問会議の実践は、対話型の会議体を組織のなかに導入する仕掛けづくりです。
会議体をこのように変容することによって、より本質的な問題解決ができ、物事をシステム思考的にとらえられるようになります。また、主体的に会議にコミットメントすることになるので、実行される計画に周囲の人を巻き込むことが可能になります。組織内のコミュニケーションを対話型にすることで、組織に活力を生み出すことができます」

―権威性による教育が難しくなってきている、ということを本の中で述べられていましたが、今後重要になっていくと思われるファシリテーションの能力を高めるためにはどのような取り組みが必要になっていくとお考えですか?

清宮「安全で平等な状況下で相互に触発しあう場を設定することが重要です。また、対話型コミュニケーションの態度やマナーを認識しながらきちんと対話をすることが、このようなファシリテーションに必要な共感性(エンパシー、シンパシー)を生み出すのだと思います。」

―体験を概念化する能力ということで紹介されていた「リフレクション能力」ですが、この能力を意識的に身につけるにはどういった訓練が必要ですか?

清宮「第一に、時間をとること。第二に、場を設定することですね。また、問いかける力をつけ、さまざまな視点からの質問できるよう訓練することも大切です」

―今回の北川さんとの対談で一番印象に残った場面、または言葉を教えて頂けないでしょうか。

清宮「『国際紛争における対話』というテーマでお話をした場面です。『事態が深刻であるほど、相手の意見に対して反論したり反対意見を述べたりしてはいけない。許されるのは質問だけです』と北川先生がおっしゃっていたのが印象的でした。

―本書をどのような方に読んで頂きたいと思っていますか?

清宮「組織や人材開発に興味をもつビジネスマンの方々や管理職に就いている方々に是非読んでいただきたいです」

―新刊JP読者の皆さまへ一言お願い致します。

清宮「対話は問題解決に不可欠です。そして、対話は私たちに新しい未来を生み出すものだと思います。対話の力を組織の力とすることがビジネスの現場で求められていることであると、日々現場のマネージャーや幹部クラスの方々のトレーニング研修を行う中で感じています。
今回、北川先生と語り合える機会を持つことができたことにより、私達が直面している状況をより明確に理解することができました。
それは、グローバル化、学習する個人、組織、社会、無から有を生む集合としての知といったものへの理解と重なります。
対話の時代は、私たちがこれから直面していかなければいけない多様化の社会の中で現実に起こっている問題解決の時代の到来ともいえます。対話の力はビジネス、教育といった境界を越えて、全てに共通する「生きる力」を養う根源の力となるでしょう。
何ゆえ、対話が未来を生みだしうるのか、是非、本書を読んで考えてみてほしいと思います」