―本書『一言変えるだけで!もっと人に好かれる話し方』ですが、前作『人生を好転させる「新・陽転思考」』と通じている部分や、相違点がありましたら教えてください。
和田「『人生を好転させる「新・陽転思考」』では目の前の事実の捉え方や考え方をお伝えしました。前作を読んでくださって考え方は陽転思考になったけど、それを表現するのが苦手だと、せっかくがんばっているのに損をしてしまうことになりかねません。
コミュニケーションは(人と人をつなぐ)ドア。どんなに頭が良くて立派な方でも、コミュニケーションのドアを開けられない人は、実はとっても多いのです。コミュニケーションが苦手だと自己表現がうまくできなかったり、弱音を吐けなかったりして病気にもなりやすいんです。その意味で話し方はコミュニケーション・ツールの一番重要なところなので、陽転思考というベースの上にある次のステップのような感じでこの本を書かせていただきました」
―個人的なことで申し訳ないのですが、私もこういった取材等で人に会うと、緊張して早口になってしまったり、どもってしまったりするのですが、緊張にうまく対処する方法はありますか?
和田「これは本の中でも書いたのですが、緊張することは決して悪いことではないのです。私は緊張というのは集中力の1つだと思っています。
ただ緊張したことによって、声がうわずってしまったり、他の動作が変になってしまうことがあるので、そういう時は体をぶらぶらさせてほぐしてあげるとか、深呼吸をするだけでだいぶ違うんですね。あと、声も同じで事前に発声練習をすることで声帯の筋肉をほぐしてあげるといいと思います。緊張すると筋肉が硬くなるので。
あとは、うまく話そうとしようとか、いいことを言ってやろうとか、賢く思われようとか自分を保護したり、自分をよくしようとすると緊張しやすいですし、言葉が出にくくなるので、自分のミスや、格好悪いところを見て馬鹿にするようならその人はその程度の人なんだと思っていれば済むことだと割り切ると、割と緊張度がとれると思います」
―いつ頃からそのように考えられるようになったのでしょうか?
和田「営業の仕事に就いていた時だと思います。営業は、相手にお金を出してもらう瞬間を見るんですよ。『これいいですね』と言って商品を見てくれていた人でも、値段を言ったとたん、急にシビアになる。そういう場面を何千回も見てきたので、人の動作とか目線に敏感になり、自分の緊張や相手の緊張を感じ取れるようになりました」
―誰かと話している時に、自分が相手に嫌われているんじゃないかと思ってしまうことはありますか?
和田「今は誰かと話していても、お互い大人同士だから、相手が私に対して悪意があったとしても見せることはありませんが、言葉の語尾とか、ちょっとした目線とかいろいろなところから感じることはあります。
言葉というのは人を幸せにもできますし、ナイフのように人を傷つけることもできます。言葉の暴力によって、傷ついたり心を病んでしまう方は恐らく目に見えてないだけでたくさんいると思うのです。私も言葉を使って表現する世界で生きてる以上、人を幸せにする言葉か、人を傷つける言葉なのかということには特に気を使っています」
―なるほど。逆に講演などで、自分の言葉や話が聞く人に伝わったと実感することもあるのでしょうか。
和田「エネルギーの交換と言うと何だか宇宙的な言い方になってしまいますが、例えば千人の前で話をして皆一生懸命聞いてくれると、こっちもエネルギーをもらえてエネルギーの循環が生まれるんです。自分の言葉が伝わった時はこの循環度が高くなっていることを感じますし、すごく楽しくなります。とても大きなやりがいとか達成感がありますね。」
―本書でもふれられている、相手に好かれる話し方というのは、話す人の社会的地位によっても変わってくるものなのでしょうか?
和田「同じです。目上の人にはへりくだって、部下には偉そうに接するというのは決して好かれる話し方ではないですよね。素敵な話し方をする方は、誰とでも分け隔てなく接します。『同じ人間なんだから』という感覚が強いのではないでしょうか。
でもこれは難しいことで、例えばここに稲盛和夫さんがいたらやっぱり話し方は変わってしまうと思うんですよ。どうしても権威や名前で人を見てしまう。そのことわかったうえで、分け隔てなく人と接することを心がけておくことは大事なことだと思います」
―本書の3章で触れている「人に嫌われているクセ」の箇所は、心当たりのある方も多いと思います。もし職場の同僚にこういったクセのある人がいたとしたら、和田さんはどういった行動を取りますか?
和田「相手の器を見て判断します。でも、どうしても指摘しないといけないと思ったら、その人とのご縁が切れるかもしれないという覚悟を決めて言いますね。組織にいると、指摘せざるを得ない場面もあります。こういうことの注意の仕方はすごく難しくて、プライドの高い人に対しては、その人の横で別の人に向かって注意したり、他の人のこととしてミーティングの中でそれとなく指摘したりしています」
―「人に好かれる話し方」には語彙力も大事になってくるかと思いますが、和田さんは語彙力を鍛えるためにどんなことをされていますか?
和田「私は小説とか、物語をできる限り読むようにしています。語彙にも種類があって、『表現』の語彙か『情報』の語彙かに大別できるかと思います。話し方を身につけるための語彙で大事なのは表現に関わる言葉なので、新聞等で得られる『情報』の語彙よりも物語を読むことで得られる『表現』の語彙を重視しています。でも両方バランスよく、というのが理想ですね」
―会話中に相手が触れてほしくない話題に触れてしまい、気まずい雰囲気になってしまうことがありますが、そういった時はどのように対処すればいいのでしょうか?
和田「単純に話をそらすのは一つの手だと思います。たとえば『○○さん、お子様は?』と聞いた時、○○さんの子供が仮に病気だったとしたら気まずくなってしまいますよね。そういう時に、『△△さんのお子さんは最近こんなことがあったらしい』というように、同じキーワードで別の方向に話を振るとか。でも相手の表情や反応を見ながら『じゃあ別のお話にしましょう』と切り出すのも全然悪くないですよ。空気が変わった瞬間に変わったまま停滞させないことが大事だと思います」
―和田さんご自身は今の話し方に自信を持てていますか?
和田「そうですね、自信と言いますか、人前でお話をさせていただくプロとしてのトレーニングは積んだかな、とは思っています」
―たくさん講演をされていますが、日によって出来・不出来はあるものですか?
和田「そうですね。会場の空気によって自分のテンションは変わってしまうものですが、そういったものに影響をされないように心がけています」
―話し方で人生がどんな風に変わると和田さんは考えていますか?
和田「私は『和田式 人に好かれる話し方教室』で受講してくださった方の話し方がどんどん変わっていくのを見てきました。
人とうまくコミュニケーションが取れない、いざというときに言葉がでないなど人と話すことに困っている方は本当にたくさんいらっしゃるんです。そういう方は、人が集まる所に来ることに慣れていないので、まず私の教室に来ることを決断するまでにも時間がかかるし、来てからもなかなか会場に入れない。でもそこから少しずつ変わります。
だんだん相手の目を見て話せるようになるし、そうすると職場で明るくなったと褒められる。そうなると教室に来るのが楽しくなって友達ができる。そうやってどんどん明るくなり、自発的に人と話すことで自信が芽生えるんです。
そこからは自分に自信のない女性が自信を持ったことをきっかけに鏡を見始めることに似ていて、髪が気になりだしたら美容院に行く。そうするとオシャレな髪型になる。そうなると人から褒められて、髪だけでなく服装・メガネとどんどんオシャレになっていく。そうなると彼氏ができたりとか、もう別人になってしまう。話し方で人生は大きく変わると思います」
―最後になりますが、話し方や対人関係全般について悩んでいる人に向けて、アドバイスがありましたらお願いします。
和田「話し方や対人関係で悩む人は、『こんなことをされたら嫌だ』とか、『こんなことをされたら傷つく』と考えることで、自分の言葉が気になってしまうんです。その意味では知らず知らずのうちに人の心を傷つけながら生きている人よりも敏感なのかもしれません。人間関係で悩むこと自体は決して悪いことではないし、正しいことだと思います。ただ、悩んだままにしておいても物事は解決しません。だから、自分から声をかけるとか、失敗しても構わないから人を好きになったり、人を知りたいと思うところからコミュニケーションを始めてほしい。まず人に心を開く所から始めてほしいです」
(インタビュー・記事:山田洋介)

