「“大企業に勤めれば一生安泰”という時代は終わった」「これからは会社に頼らずに生きていける人が必要とされる時代」といったことが、近年あちこちで言われるようになりました。
こんな声を聞くと、よほど自信のある人でない限り「俺、大丈夫かな?」と不安を感じるものですが、20代、30代ならまだしも、
会社生活に慣れきった40代ともなると「“会社に頼らないで働く”といっても、どうすればいいのかわからない…」というのが正直なところかもしれません。
本書はそんな人のために、「会社に頼らない働き方」とはどんな働き方か、そのためにはどんなことをすればいいかを解説しています。
今回はその中から、「会社に頼らない働き方」をするために今からやっておくべきことを紹介します。
■まずは将来に備えてシミュレーションする
「2年後にクビになったとしたら、その時自分に何ができるのか」
この視点で将来を考えてみることが「会社に頼らない」自分になる最初のステップです。5年後ならどうか、10年後はどうか、など様々なバリエーションを考えておくだけで、意識はかなり変わるはず。
ポイントは「暗くならないこと」。あまり現実的に考えすぎると悲観的になりがちなので、「こんなことをしてみたいな」と夢を持って考えましょう。
■状況に応じた発想力を
とはいえ、将来のシミュレーションをするといっても、変化が激しい時代ですから「先行きが不透明すぎて何も考えられない」という人もいるはずです。
しかし、ここはわからないなりに考えておかなければなりません。
考えられる状況ごとにプランA・B・Cと複数想定し、そのそれぞれについて「アクシデントがあったケース」と「何もなかったケース」に分けてその先の想定をするなど、プランを枝分かれさせていきます。
■目標を組み立てる
ここまでのシミュレーションしたことを元に、今後の目標を組み立てます。
その際は短期的な目標と長期的な目標の2つを設定するのですが、目指すは「会社に頼らないこと」、つまりクビになっても生きていけるようになることですから「短期目標は日々の仕事、長期目標は出世」というのはやめましょう。
頭の中で考えるだけでなく、紙に書き出すとより具体的に目標を立てることができます。
■少しずつ踏み出してみる
目標がはっきりしたら、その目標のために何をすべきかもわかるはず。さっそくその方向に踏み出してみましょう。
その際は
・自分で決める癖をつけること(会社員を続けていると全体の合意を取って物事を進める癖がつきがちなので、すべて自分で決断する意識を持ちます)
・完璧を求めないこと(完璧なプランを求めると行動を起こせません)
・大きく踏み出しすぎないこと(くれぐれもいきなり会社を辞めたりしないように)
この3点に注意が必要です。
■うまくいかなかったら引き返す
計画がうまく行かないのは当たり前。
そんな時にこまめに方向転換できるかどうかは、仮に会社を辞めて独立したとしてもとても重要になります。
うまく行かなかったら引き返したり、方向を変える。この柔軟性は今のうちに養っておきましょう
「会社に頼らない働き方」をするために必要なのは、資格やスキルだけではありません。
会社がなくなった時にどうするかを想定して、今のうちからできることをやっておくだけでも、いざ本当に会社がなくなったり、クビになった時に焦らず行動を起こせるはず。
本書には、40歳以降のビジネスパーソンが会社に依存せず生きるために必要なことが網羅されていますので、いずれ独立するつもりという人はもちろん、当面会社を辞めるつもりはないという人も、手にとって将来に備えておきましょう。
1963年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。現在、東京大学大学院経済学研究科教授。 著書に『独学という道もある』(ちくまプリマー新書)、『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞出版社)、『元気と勇気が湧いてくる経済の考え方』(日本経済新聞出版社)、『日本成長戦略 40歳定年制』(さくら舎)などがある。