だれかに話したくなる本の話

部下の「やる気スイッチ」を入れるコミュニケーションとは

部下が受け身で、自分からは動かない。
きちんと指示したのに部下がその通りにしない。

こうした悩みを抱えている上司は少なくないだろう。
上司は部下に対してどんな関わり方をすれば、部下をうまく育てることができるのか。そこで求められるのは、部下の能力や可能性を引き出す会話のスキルだ。

『できる上司は会話が9割』(林健太郎著、三笠書房刊)では、リーダー育成家の著者が、「困った部下」の悩みを解決するのに絶大な効果を発揮する「部下との会話の仕方」についてさまざまな視点から考察し、即使える方法を紹介する。

■部下の「やる気スイッチ」を入れる方法

なぜ部下が仕事を覚えないのか。それは、部下の仕事に対する「やる気スイッチ」が入っていないからだ。

では、どうすれば部下のやる気スイッチを入れることができるのか。本書では、その答えを部下一人ひとりにとって何が「鼻先のニンジン」になっているかを探っていくことだとしている。

そのために欠かせないのが、普段からの部下との対話。だが、ただ単に話せばいいというわけではない。「どう思う?」「どうしたい?」など、できるだけ相手の感情や心情を理解することに努める。そして、価値観が多様化する中で、相手がどの価値観を重視しているかについて理解を深めていく。

部下にとって意味のあるニンジンを見つけ出して共有することが、部下のやる気スイッチを入れることに繋がる。地道な積み重ねが大切なのだ。

■部下の意見を引き出したいときは?

また、部下の意見を引き出したいときにどうすればいいのか。

そこで質問が大事になるのだが、質問には「はい」か「いいえ」の二択など、相手が答えられる範囲を限定した「クローズド・クエスチョン」と、答えの範囲に限定を設けず、相手に自由に答えてもらう「オープン・クエスチョン」の2種類がある。

部下の意見を聞きながら対話を進めたいなら、オープン・クエスチョンを使うべきだと著者はつづる。「どう思う?」「どうしたい?」「なんでそう思うの?」と、部下の考えや意向、感情、気持ちを聞くことができるからだ。

そして、部下からの意見を本気で引き出したいのなら、「自分のため」ではなく、「相手のため」という視点をもつ。部下の成長に繋げるためには何を質問するといいのか、という視点を持って質問の内容を検討しよう。

また、部下にもっと話してもらいたいと思うのなら、相手の話に対する「好奇心」と「承認」を忘れてはいけない。「聞いているよ」「理解しているよ」ということを、言葉や態度で相手に伝わるように示していく。無反応や否定のスタンスでは、相手の話す気持ちを萎えさせしまうだろう。

 ◇

部下の育成、関係づくり、会話に悩んでいる上司は、部下それぞれの職務能力や志向、価値観などを考慮しながら、個別化された会話をするスキルを身につけるべきだろう。
本書を通して上司自身の会話スキルを上げることで、部下も育ち、チーム全体の成果も上がるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

できる上司は会話が9割

できる上司は会話が9割

上司がコーチングの「すごい会話」を使えば、部下は変わる! チームの成果も上がる!

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この記事のライター

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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