だれかに話したくなる本の話

教科書は社会に出てからも役に立つ!中学の教科書で身につく教養

「学校の勉強が将来役に立つの?」
「何のために学ぶの?」

こんな疑問を学生時代に抱いた経験はないだろうか。

ジャーナリストとしてニュースをわかりやすく解説してくれる池上彰氏は「私の知識の多くは中学校までの教科書によって得たもの」と述べている。中学校の教科書をマスターすれば、社会を生き抜くための教養を身につけるといえるかもしれない。

■中学の教科書を頭にいれるだけで「大変な物知り」に

『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』(池上彰、佐藤優著、中央公論新社刊)では、池上彰氏と作家・佐藤優氏が、中学校教科書12社54冊を読み解き、現在の教科書について語り合っていく。

本書によると、現在、中学校で使用されている教科書を読むと、大変な「もの知り」になれるという。昔と今では教科書の中身を変化し、「何のために学ぶのか」「どう役立つのか」を教えてくれるものになっている。

たとえば、2年生の理科の教科書で、コイルに磁石を近づけると、コイルに電圧が生じて誘導電流が発生する「電磁誘導」を習う。螺旋状のコイルに棒磁石のN極を近づけたとき、遠ざけるときに、電流が流れる方向が反対になる現象を「ファラデーの原理」という。

今の教科書ではこの説明のあとに、その原理が身の回りで使われていることが記載されている。鉄道乗車券や電子マネーなどの「非接触型ICカード」に使われているのだ。駅の改札でICカードを使ったときに、実は手元の読み取り機から出ている磁力が自分のカードのコイルを貫いて電流が流れていた、と日常生活から「ファラデーの原理」を実感できる。

教科書で習うことが、「試験のために覚えなくてはならないもの」から「自分たちの社会を理解するために有意義な知識」に変わり、「学びのモチベーション」も上がるというわけだ。どの教科でも、このような工夫がなされ、今の教科書の特徴といえる。

社会人になっても、教養に自信がないという人は、中学校教科書を読んでみてはどうだろう。教科書は一般の人でも購入できる教科書供給会社が全国にある。大人になってからもう一度教科書を読んでみると、新たな発見もあるはず。

中学校教科書から社会人として必要な教養を身につければ、コミュニケーションもより円滑にできるようになるはずだ。

(T・N/新刊JP編集部)

人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく-12社54冊、読み比べ

人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく-12社54冊、読み比べ

いまどきの中学校教科書はすごい。「なぜ、勉強しなくちゃいけないの?」と心が折れかけた子どもたちにも楽しく学べる工夫に満ちているから、長いこと勉強と無縁だった大人が学びなおすのにも最適のツールといっていい。地理、歴史、公民、理科、国語、数学、英語、そして道徳まで。激動の世界を爆走し続ける池上彰、佐藤優の両巨匠が12社54冊を読み解いた。中学校教科書で足元を固めよう。ポストコロナ世界、AI社会を生き抜くためには、付け焼刃の知識じゃ太刀打ちできない。基礎力を鍛え直せば社会の深層が見えてくる。

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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