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過酷すぎる権力闘争!平安宮廷社会を生き抜く貴族のノウハウ

過酷すぎる権力闘争!平安宮廷社会を生き抜く貴族のノウハウ(*画像はイメージです)

権力闘争は人間に埋め込まれた本能であるかのように、これまで歴史のさまざまな場面で繰り広げられてきた。
日本の平安時代も同様だ。大きな戦はなかったが、階級社会に生きた貴族たちは地位上昇をめぐって、策謀をめぐらせ画策を練っていた。平安宮廷社会は権力奪取をめぐる闘争の場だったのだ。

ただし、平安宮廷社会では天皇の位ではなく、それを後見する摂政、関白をめぐってなされていた。摂関政治体制では権力者は天皇ではなかった。次代の天皇を決めるのもその後盾なので、天皇の権威は、摂政、関白に移譲されたも同然で、なし崩し的に権力の最高位は摂政、関白に置き直されていたのだ。

平安貴族サバイバル

平安貴族サバイバル

和歌を詠んだり楽器を奏でたり、恋愛に一喜一憂したりと、優雅な毎日を送っているように見える平安時代の貴族たち。
しかし実際は、セルフプロデュースやコミュニケーションのスキルがないと生き残れない過酷な世界で、様々な戦略を駆使してサバイバルを図っていた。

実務能力より見た目とセンスの男社会、教養を武器に女主人をサポートしたエージェント=女房、天皇の縁戚になるという一大プロジェクトにまつわる悲喜こもごも、乱れ飛ぶ愛情と呪詛……。
そこには、ジェンダーやルッキズム、シスターフッドといった現代にも通ずる問題も。

本書では古典文学だけでなく女性学などにも詳しい著者が、そんな弱肉強食な世界に翻弄されながらも意外とアグレッシブに生きた人たちの軌跡を、史実と文学作品をもとに解説。
歴史や古典文学への理解を深めるとともに、現代にも通じる人の生き様や心の動きを浮かび上がらせる。