だれかに話したくなる本の話

【「本が好き!」レビュー】『戦略読書』三谷宏治著

提供: 本が好き!

実は『新・環境思想論―二十一世紀型エコロジーのすすめ』の書評を書いていて完璧に行き詰まっていた時に『お父さんが教える読書感想文の書きかた』と併せて気分転換のために手に取ったのが本書でした。

恐らく、タイトルにもあるとおり「読書にも戦略が必要だ」ということが著者である三谷宏治さんの訴えたい本筋のところなのでしょうが、個人的にはむしろ、後半部分の「楽章2 みんなと同じ本ばかり読んではいけない」で紹介されている三谷さん自身による書評の数々がとても参考になりました。

「数々」といっても”たった12編”、ページ数でいっても『お父さんが教える読書感想文の書きかた』同様60~70ページ程度です。

ですが、SF小説、歴史小説、自然科学、ナウシカ、宮部みゆき、湾岸ミッドナイト(マンガ)等々、多彩なパターンの書評が掲載されています。

三谷さんの書評のおすすめポイントは、『お父さんが教える読書感想文の書きかた』で示されていたような「書評を書くにあたってのキホンに忠実な形で書評が書かれていること」と、「素人が使いそうな言葉遣いで書いてあること」です。(←ホメ言葉ですw)

「素人が使いそうな言葉遣い」というのがミソで、やはりプロのライターや作家による書評は通常、「素人臭さ」がなく、読むぶんにはいいのですが、真似るのは至難のワザです。

ですが、三谷さんのそれは「まるで素人が書いたような平易な言葉遣いを使っているけれども、”この本読んでみたい!”と思わせてくれる書評」だと言えます。

また短編SF『青い星まで飛んでいけ』についての書評が秀逸で『サピエンス全史』を読んで抱いていたモヤモヤ感、『新・環境思想論』の結論を書くにあたって、「自分は何を言いたかったのか」ということを一気に解決してくれたという点で、「恩人」ともいうべき書評になってしまいました。

書評のお手本として一読されてみてはいかがでしょうか。
お薦めです!

(レビュー:Scorpions

・書評提供:書評でつながる読書コミュニティ「本が好き!」

本が好き!
『戦略読書』

戦略読書

著者の私的読書全史あり、家中で知をオープン化する書斎術あり、1冊の本をどのように読みさばくかの実践事例あり、オリジナル人材になるためのブックガイドありと、読書に関わる全テーマを1冊に網羅した究極の読書本。

この記事のライター

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