だれかに話したくなる本の話

魅力的な人間になるための「孤独」のススメ

「孤独」というと、「淋しい」「友達がいない」など、マイナスのイメージを抱く人が多いかもしれない。
しかし、見方によっては「自由」「孤高」といった言葉を連想できるのではないだろうか。

孤独に惹かれ、孤独ほど、贅沢な愉楽はないと述べるのが、『極上の孤独』(幻冬舎刊)の著者である下重暁子氏だ。
本書では、「孤独を味わえるのは選ばれし人」「孤独を知らない人に品はない」「素敵な人はみな孤独」など、一人をこよなく愛する下重氏が孤独の効用を紹介する。

孤独の「孤」の字は、個性の「個」の字と下重氏は言う。孤独を知らない人は、「個」が育たないから個性的になれない。「個」は長い年月をかけて培われるものだが、崩れるときは簡単だ。

人と群れる、人の真似をする、仲間外れになることを恐れる、物事に執着する。そんなことをしていれば、「個」はあっという間に失われてゆく。そうならないために、「孤」の時間を増やしていく必要があるだろう。
そして、その努力なしには「個」は育たないし、魅力的にもなれないと下重氏は指摘するのだ。

自分の心の声に耳を傾ける時間を持つことで、自分が何を考えているのか、本当は何を求めているのかなど、本音を知ることができるはず。

また、「孤独」と「淋しい」は違う。下重氏は「話し相手がいないから淋しくて孤独」という安直なものは孤独でないと述べ、淋しいとは一時の感情であり、孤独とはそれを突き抜けた、一人で生きていく覚悟だと説く。

淋しさは何も生み出さないが、孤独は自分を厳しく見つめることだと言える。

集団の中にいるときに、孤独を感じる。というように、ふと孤独を感じる瞬間は誰にでもあるはずだ。いっそのこと自ら進んで、独りになってみてはどうだろう。孤独の時間を過ごすことで、個が育ち、魅力的な人になれるかもしれない。

(新刊JP編集部)

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