だれかに話したくなる本の話

妄想甲子園。

提供: 新刊JP編集部

甲子園の季節がやってまいりました。全国各地で地方大会が始まっております。
高校野球ファンの僕は、地方大会から存分に楽しむべく、高校野球関連の本を読み漁りました。

『甲子園、連れていきます! 横浜高校野球部 食堂物語』著・渡辺元美
『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』著・大利実
『偏差値70からの甲子園』著・松永多佳倫

の3冊を読破。ここでピックアップする本は『激戦 神奈川高校野球 新時代を戦う監督たち』です。

この本では、神奈川県の私立校から県立高校まで、14人の野球部監督が登場します。監督の考え方、指導方針は、本当に千差万別です。ただ、最近の指導の傾向は、ひたすら厳しい練習をかすのではなく、高校生自身に考えさせる、判断力を養わせるように日々、練習し、生活しているのだなあ、と感じました。

で、神奈川の野球部の監督は、横の繋がり、縦の繋がりがしっかりあって、切磋琢磨して高め合っているようです。 たとえば、横浜高校の平田徹監督と県立白山高校の村田浩明監督は、横浜高校野球部の先輩後輩の関係。その縁から村田監督が平田監督にお願いして、両校は合同練習を行っているそうです。そういったところも神奈川の野球のレベルアップに繋がっているのだと思います。

神奈川県は「神奈川を制するものは全国を制す」という格言があるほどの激戦区。参加校は196校。今年は100回の記念大会なので、神奈川大会は南神奈川・北神奈川に分かれ、2校が甲子園に出場できるとはいえ、激戦必至です。

僕はこの本をより楽しむために、全国の強豪校からスカウトされるような超有望な天才野球少年になった、という設定で読みました。 松坂大輔選手(中日ドラゴンズ)と清宮幸太郎選手(北海道日本ハムファイターズ)を足したような天才中学生に、僕はなったのです。

ちなみに、現実の僕の野球歴は、中学の軟式野球部に3年間在籍。大学の野球サークルに3ヶ月在籍。なので、甲子園を目指したこともなければ、高校野球すら経験していません。中学時代は、区大会の初戦敗退するような弱小軟式野球部の5番センターで、最後の夏の大会は初戦にノーヒットノーランを食らって敗退。最後のバッターは僕で、見逃し三振でした。そんな苦い記憶は消し去りました。

さて、天才野球少年となった僕は、どこの高校の野球部も選び放題です。
東海大相模の門馬敬治監督は怖そうな印象だったけど、いい人みたいだぞ。いやいや、慶應義塾は自由そうだし、何より慶應ボーイってモテそう。向上あたりの県立で私立に勝って甲子園を決めるのもかっこいい。

うーん、うーん、と悩んだ末に入部を決めたのは、横浜高校野球部。 1998年、松坂大輔選手を擁した横浜高校の大活躍は今でも脳裏に焼き付いています。『甲子園、連れていきます! 横浜高校野球部 食堂物語』を読んでいるので、食生活も熟知。そして、グレーのユニフォームに肩のワッペンもかっこいい。妙にユニフォームに詳しいのは、今年、甲子園博物館に行ったとき、松坂選手が当時着ていた横浜のユニフォームを「これが、あの・・・!!!」と、1時間くらい眺めて、同じような写真を撮りまくったからです。
憧れの横浜高校のユニフォームに袖を通し、エースで4番として大活躍。神奈川大会を制し、甲子園の決勝では、激戦の末、3-2で広島代表の広陵高校を破って優勝。胴上げ投手は僕です。

なんだかおめでたい気分になってきました。 読書は、妄想力と想像力を豊かにしてくれます。パワプロで運動した気になっているインドア・文系人間の僕でも、あの横浜高校のユニフォームを着て、灼熱の甲子園のマウンドに立っている、という妄想をいくらでも楽しめます。1冊の本でこれだけ楽しめるのです。本って、素晴らしいですね。

現実に戻りますと、僕の母校は東東京大会で初戦敗退しているので、横浜高校を応援しつつ、今年の甲子園も楽しみたいと思う次第です。

(T・N)

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T・N

ライター。寡黙だが味わい深い文章を書く。SNSはやっていない。

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