だれかに話したくなる本の話

おすすめされた本をおすすめする

提供: 新刊JP編集部

新刊JP編集部の金井です。

こういう媒体を運営していると「仕事以外でも本を読むんですか?」と聞かれることがあるんですが、普通に読みます。当たり前だろ。アイデアを練ったり、仕事につなげるための読書ではなく、本当の意味での「自分のための読書」はむしろ大事です。

最近は1ヶ月に1テーマを決めて、そのテーマにそって1ヶ月内で5冊の本を読むという習慣付けをしようと頑張っています。ちなみに10月のテーマは「ファシズム」です。
ただ、もちろんそのテーマ以外の本も気になったものは読みます。
基本的に人が「良かったよ」と言っていたものは読むようにしているので、どんどん積読が貯まっていくわけですが、とりあえず買っておきます。まあ無駄遣いとも言えますが。だからお金がないのか。

というわけで、最近、人から聞いて「面白そう」と思って購入した本を3冊ご紹介します。

■『殺人者たちの午後』(トニー・パーカー著、沢木耕太郎翻訳、新潮文庫)

これはアマゾンの原住民たちのやりとりを描いたノンフィクション『ノモレ』(新潮社刊)の著者である国分拓さんが「新刊JP」のインタビューの中で挙げた一冊です。

どんな文脈でこの本が挙がったのかというと、「取材してみたい対象は?」という質問に対してしばらく考えた後、「殺人者を取り上げたい」と国分さん。そこに続けて「ただ、こういう本があるからそれには勝てないね」というところで、この本のタイトルを出してくれました。

確かに殺人を犯した人の話は聞いてみたいですよね。おそらく普通の人たちなのだと思います。では、なぜそこに至ったか、その心理はもしかしたら自分も持っているもの、もしくは普遍性のあるものかもしれない。そして、『ノモレ』という傑作を書いた国分さんが「これには勝てない」と評する本はどんなものなのかを味わいたいというのが一番の好奇心です。

「アマゾンへの取材はもうやめます」…その言葉の意味とは? 話題のノンフィクション『ノモレ』について聞く(下)

■『東欧革命1989』(ヴィクター・セベスチェン著、三浦元博、山崎博康翻訳、白水社刊)

だいぶ前にルーマニアの「マンホール・チルドレン」についての本を読んで以来、社会主義時代の東欧の政治・経済・文化について強烈な興味を抱いており、定期的に関連する本を読んでいます。

この本は先日、コンサルタントの坂口孝則さんが、弊社が運営する「暦日会」という収録型講演の中でお勧めの本として紹介した一冊。講演のテーマは「仕事に生きる読書」ということで、仕事につながる読書の方法について語っていただいたのですが、その中で出てきました。(どんな文脈でこの本が出てきたかは今後配信される予定のオーディオブック版をお楽しみください)

1989年に共産圏の東欧諸国の政権が次々に崩壊していった様が、20年のときを経て克明に描かれています。新装版が2017年に刊行されましたが、本体7600円+税と高額なので、僕は絶版になっていた前の版のものを購入しました。

■『アンデル』(中央公論新社刊)

これは本ではなく文芸誌なのですが、80ページほどの小冊子で、協力書店での販売のほかに定期購読、電子書籍で購入ができます。とある書評家の方から「すごく良いよ」と教えていただいて読みはじめました。

『群像』や『新潮』などの一般文芸誌はボリュームがある反面、全部読み切るのが大変だなと思うことが多いのですが、この『アンデル』は毎号掲載作品が3、4作程度。連載が主ですが、他に読みたい本がたくさんあるという身からするとちょうど良い長さ。また、作品のクオリティが高く、極めて丁寧に作っている印象を受けます。

今は電子書籍で読んでいますが、毎号200円(+税)、定期購読でも年間で2400円(+税、送料込み)と本1冊分程度ですから定期購読も検討しようかなと考え中です。

ではまた。

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金井元貴

1984年生。「新刊JP」の編集長です。カープが勝つと喜びます。
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audiobook:「鼠わらし物語」(共作)

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