だれかに話したくなる本の話

「礼儀正しく、図々しく」10年後に稼げる人に必要な資質とは

10年後の世界がどうなっているのか正確にわかる人がいないのと同様に、10年後の自分がどんな仕事をしていて、どのくらい稼いでいるのかを予測するのは難しい。

「強い者が生き残るのではなく、変化に適応した者が生き残る」という言葉があるが、変化の速い今だからこそ、その変化に適応するしなやかさとしたたかさがビジネスパーソンには必要とされる。

では、そのしなやかさやしたたかさは人のどんな部分にあらわれるのか。「10年後食える人」と「10年後食えない人」の行動と考え方の違いを示した『1万2000人を見てわかった! お金に困らない人、困る人』(集英社刊)の著者、松尾昭仁さんにお話を聞いた。

■10年後食える人は「礼儀正しく、図々しい」

――起業コンサルタントとして活動されている松尾さんですが、今回「食える人・食えない人」というテーマで本を書いたのはなぜなのでしょうか。

松尾:今よりも収入を増やしたい、稼げるようになりたいという気持ちは皆さん共通していると思いますが、見ているとそのための努力が空回りしてしまっている人がすごく多いんですよね。

一生懸命仕事をするけど、「ありがとう」で終わってしまって評価につながらなかったり、個人でやっている人だと「次は大きな仕事をくれるだろう」と最初に安い値段で仕事を請け負ってしまって、それが定価になってしまったり。自分のがんばりや努力を収入に結びつける方法を知ってほしいということで、この本を書きました。

――思わず自分を振り返ってしまう本でした。どんな人に読んでほしいと考えていますか?

松尾:一応30代後半から45歳くらいの方をイメージしてはいます。ただ、高齢化が進んでいて、昔は定年退職した後の人生は10年かそこらだったのが、今は最低20年くらいは生きることを想定しておかないといけません。その意味では年齢に限らず「稼ぐ」ということは意識しておくべきなのではないでしょうか。

――今のお話にあった「いかにして稼ぐか」というところで、稼ぐ能力を決めるものは何だとお考えですか?

松尾:私が一貫して言っているのは「礼儀正しく、図々しく」ということと「決裁者と付き合うこと」です。

「礼儀正しく、図々しく」は要は「お願い上手」になること。また、決裁者と付き合うことでコミュニケーションの手間が省けます。愚直に仕事の能力を高めることも大事ですが、収入ということでいうとそこではあまり差がつかないというのが実感です。いかに意思決定者や決裁者とつながって、かわいがられるかというところの方が大事だと思いますね。

――「礼儀正しく、図々しく」についてもう少し伺いたいです。

松尾:要はアップセールスの話です。マクドナルドでハンバーガーを頼んだら「ご一緒にポテトもいかがですか」と言われますよね。あれはマニュアルですが、それによって一日に相当な額の売上が増えているはずです。

人の財布を開かせるまでは大変ですが、一度開いた財布からもう少しお金を引き出すのは比較的たやすいものです。もう自分に対してもう少し何かしてもらうために一声かけられるかどうかというのは後々大きな違いになってくる。

これは「もう一声」のお願いができる関係性をいかに作るかという話でもありますし、言い方の問題でもあります。いろんな言い方を駆使してお願い上手になれるかというのは稼ぐ力に大きく関わると思っています。
(後編につづく)

1万2000人を見てわかった! お金に困らない人、困る人

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10年後20年後「食える人」と「食えない人」の差は?

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新刊JP編集部

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