だれかに話したくなる本の話

敵は自分自身? 周囲の視線にとらわれないために

自分を卑下したり、「すべき」という思いにとらわれて周囲を気にし過ぎて、自分の意見が言えない。こうした人が、もっと自分らしく生きるにはどうしたらいいのか。

精神科医の著者が書いた『すべての罪悪感は無用です』(斎藤学著、扶桑社刊)では、そんな悩める人に向けて、自分自身を縛る見えない呪縛から解放する方法を紹介する。

例えば親や上司からの期待に応えなければいけないと頑張っても、窮屈な毎日は続いてしまう。成績が良くなければいけない、明るい人でなければならない、と周囲からの期待と要求の目に怯えていると、ちょっとした失敗でも重く受け止めてしまいがちだ。そして、何かやってみても、周囲が称賛するほどの結果が出なければ「こんな自分はダメだ」と自己嫌悪に陥る。

この自己卑下のスパイラルは、まずます自分自身の価値を信じられなくさせていく。

だが、実際のところ、自分が思っているほど、他人は自分に期待していないと著者は述べる。実は、周りの視線を気にしたところで、「他者が期待する非の打ちどころのない自分」というのは虚像にすぎない。
ひしひしと感じていた期待や要求の視線は、実は自分自身が自分に向けている視線である。自分を苦しめているのは自分ということなのだ。

また、ありのままの自分を受け入れられない人は、自分自身を厳しく批判し、「こうでなけれなばらない」「あれができないから自分はダメだ」という周囲から吹き込まれた考えにとらわれて生きている。

そこから脱するためにはまず、「こうしたい」「こうありたい」という欲求を大事にすることが大切だ。周囲が何と言おうと思うままに生きてみる。そうでなければ、自分を受け入れることはできない。

自分にダメ出ししては自己評価を下げ、必要以上に自分を大きく見せようとして疲れ果て、本当の自分を見失ってしまう。そんな悪循環に陥らないためにも、もっと自分に正直になって生きるべきなのだろう。そうすることで、生きづらさも解消するはずだ。

(新刊JP編集部)

すべての罪悪感は無用です

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