だれかに話したくなる本の話

「生類憐みの令」に見える将軍・徳川綱吉の心の闇

『「生類憐みの令」の真実』(草思社刊)

江戸幕府5代将軍・徳川綱吉が発令した「生類憐みの令」。一般的には「綱吉が発令した一連の動物愛護法」として知られている。

保護を受けた最も有名な動物は「犬」だ。綱吉が戌年生まれということから犬に深い愛情を注いだというエピソードである。しかし、「生類憐みの令」の中身を見ていくと、「生類」というだけあってその対象は幅広い。犬をはじめ、馬、魚類、鳥類、イモリ、虫、そして人間にも言及されている。

ただ、「生類憐みの令」の一連の中身を掘り下げていくと、単なる動物愛護法とは一線を画す、徳川綱吉という一人の人間の素顔が明らかになってくる。この発令の裏には、綱吉なりの論理と、ある種の執着のようなもの――「心の闇」と言い換えられるような、黒い感情が浮き彫りになる。

「生類憐みの令」の真実

「生類憐みの令」の真実

生類憐みの全法令をつぶさに検証し、綱吉の心の闇に迫る。