だれかに話したくなる本の話

大江健三郎『水死』がブッカー国際賞にノミネート

大江健三郎『水死』がブッカー国際賞にノミネート

世界的に知られているイギリスの文学賞「ブッカー国際賞」の候補作に、日本の大江健三郎氏の『水死』(翻訳版のタイトルは「Death by Water」)(講談社刊)がノミネートされた。 ノーベル文学賞受賞者として知られる大江氏だが、同賞へのノミネートは初めてとなる。  

水死

水死

終戦の夏、父はなぜ洪水の川に船出したのか?母が遺した「赤革のトランク」には、父親関係の資料が詰まっているはず。それらを手がかりに、父のことを小説に書こうとする作家・長江古義人。過去を持つ若い劇団女優との協同作業を通じて、自らの精神の源流としての「深くて暗いニッポン人感覚」を突きつけられる長江―。そして、やがて避けようもなく訪れる、壮絶で胸を打つクライマックス。初めて書かれる父の肖像と水死。「父」の死の真相と自らの暗部に迫る話題作です。母が保管していたトランクを開ける時がきた。そこには父の秘密が隠されているー。父の死の真相とは? 小説家の精神の暗い源流とは? そして予想を覆す最終章です。