だれかに話したくなる本の話

新刊ラジオ第1477回 「幸福の商社、不幸のデパート 〜僕が3億円の借金地獄で見た景色〜」

構想3年、水野俊哉氏、入魂の一冊!ビジネス書作家水野さんが、実業家時代に経験した3億円超の負債を背負ったというお話。本人の主観を小説調に綴る事で、感情移入しやすく、読み手を楽しませる構成になっています。また、水野さんならではの各種「法則」や「寓話」も散りばめられており、読み手を楽しませる自伝、及び失敗経験談となっています。

新刊ラジオを購読する方はこちら

読む新刊ラジオ 新刊ラジオの内容をテキストでダイジェストにしました

負債総額が3億円を超えた訳

● 著者プロフィール  水野俊哉さんは、1973年生まれ。これまで累計数千冊のビジネス書を読破したため、新聞や雑誌から書評を依頼されることも多いようですが、本業はビジネス書作家です。会社経営を経て、2008年「成功本50冊『勝ち抜け』案内」(光文社)でデビューし、同シリーズは累計10万部を突破するヒットとなりました。以後も「法則のトリセツ」(徳間書店)など刊行。

 本書は、「ほぼ完成していた原稿をゼロから書き直した」としており、水野俊哉さん入魂の一冊だそうです。内容は、水野俊哉さんの半生を物語り形式で綴った小説風の自伝です。ビジネス書作家になる前、実業家時代にした、ある失敗の話、そこから立ち直るまでを書かれています。

水野さんの歩いてきた歴史を振返ると・・・

 1994年、社会人になる。

 2000年、27歳の冬に独立。事業はすこぶる順調で、20代で年収は1000万円を超え、売上は2000万、3000万、4000万と増えていく、この頃には、個人事業主から中小企業の経営者に。

ある出来事をきっかけに新事業を思いつき、すぐさま実行に移す。新事業の売上は初年度1億弱、翌年1億5000万、翌々年には5億円と、順調に伸びていく。

経費の拡大に売上が追いついていかず、また当時の世相もあって、成長を止めるよりも資金調達して事業を拡大していく方針をとる。その頃の経営陣は創業時のメンバーではなく 、IPO(新規上場)を目指して引き抜いてきた各分野のスペシャリストを配置していた。

ある日の会議中に経営陣の一部より、代表取締役解任決議を提案される。水野さんが会社の資本の大部分を所有していたため、クーデターは未遂に終わったものの、クーデターを起こした経営陣が会社を去り、社内の体制がガタガタに。去った経営陣は不正会計や架空取引による横領も行っていた事が発覚。

調達した資金の返済をするために、事業を継続しつつ、別の金融機関からなおも融資を受け、返済に回す。気付いた頃には、負債総額は3億円を超えていた。

決断末の栄枯盛衰

本書は、小説調の文体になっていて、主人公(=水野さん)に感情移入しやすい構成になっています。

ヒルズ族が栄華を極めていた2000年代、当時のイケイケドンドンなビジネスの風景や、夜な夜な麻布や六本木のVIPルームで開かれるパーティでの出来事、ベンチャー企業社長同士のバブリーな会話など。金と色と欲にまみれた当時の財界の裏事情が垣間見えます。

また、本書の随所には、水野さんが得意とする法則や寓話・名言が挟まれます。 たとえば、『ビュリダンのロバ』という寓話が出てきます。

分かれ道でお腹をすかせたロバが迷っている。右に行けば水があるかもしれないし、左にいけば餌があるかもしれない。ロバがどうなったかというと、結局どちらの道も選ぶ事ができず餓死してしまうのだ。 本当は目的地に向ってまっすぐ進めればいいのだが、人生の分かれ道の選択は、まず右か左か選ばなければいけない。IPOを目指して歯を食いしばって踏みとどまるか。すべてを捨ててどこかへ逃げてしまうのか。 ロバは僕だった。

この寓話を受けて水野さんは過去を振返ります。 2週間後に返済期限の迫った2000万円の手形の不渡りを出しそうになり、さらなる借金を重ねるか、このまま事業を諦めるか、夜の六本木の交差点をぼんやり彷徨う自分を、このロバに例えています。

ビュリダンのロバは心理学上の例え話ですが、時として、人は選択肢を選ぶことを保留してしまう様子を、寓話を用いて表現しています。

貸付額と怒りの大きさは反比例する

事象に法則を見つけ出すのを得意とする水野さんらしい一節があります。 「貸付額と怒りの大きさは反比例する」という法則で、返済に関するアドバイスをしています。

1億を超える負債だと、個人で返済するのはもはや不可能に近いので、相手も怒って無駄なエネルギーを使うよりは、事務的な対応になりがち。 1千万円単位の負債なら、すぐに返すのは無理だとしても、再起すれば返ってきそうな金額だけに、貸し手は逆に「頑張って下さい」と励ましてくれる。 数百万円以下の負債だと、頑張れば返せそうな額なので、貸し手は感情的な爆発をおこしやすい。そのため、対応には注意が必要。 そして、さらに怒りが激しいのが数万円の負債。「ふざけるな」「ぶっ殺すぞ」などと、貸し手のボルテージが高く、催促も執拗であるケースが多い。

資金繰りに困った際は、少額債権者から返済するのがよいのかもしれません。

幸福の商社、不幸のデパート

回転寿司評論家が好きな回転寿司店は?(ひとつ前の新刊ラジオを聴く)

幸福の商社、不幸のデパート 〜僕が3億円の借金地獄で見た景色〜

幸福の商社、不幸のデパート 〜僕が3億円の借金地獄で見た景色〜

構想3年、水野俊哉氏、入魂の一冊!ビジネス書作家水野さんが、実業家時代に経験した3億円超の負債を背負ったというお話。本人の主観を小説調に綴る事で、感情移入しやすく、読み手を楽しませる構成になっています。また、水野さんならではの各種「法則」や「寓話」も散りばめられており、読み手を楽しませる自伝、及び失敗経験談となっています。