『人生の悩みはお風呂で消える』は人生を好転させるきっかけをお風呂に求めるという、一風変わった本です。小山さんがお風呂に注目された理由はどんなところにありますか?
小山:何かに悩んだ時、皆さん一人になって自問自答したり瞑想したりされると思うのですが、人には瞑想したり、自分の内面に目を向けられる場所が3つあって、それは「お堂」と「トイレ」と「お風呂」です。
でも、トイレはそんなに長く入っていられませんし、お堂は近くにない方が大半でしょう。でもお風呂は、日常的にある程度長い時間使いますし、遮断された空間で余分なものがありませんし、裸になります。自問自答したり瞑想するにはもってこいの場所なんです。
こういう場所を利用しないのはあまりにもったいないということで、お風呂を悩み解決や、将来のことを考える場にしていただきたいと思いました。
―たしかに、基本的にお風呂には毎日入りますからね。
小山:特に今は多くの方が眠る直前まで携帯電話やパソコンを見ているという時代で、デジタルに囲まれています。そんな中で幸せを感じにくくなっているということも言われていますし、デジタルデトックスといいますか、デジタル製品から離れてみる時間も必要です。
お風呂に入っている間だけでもそういったものと離れて、ゆっくりお湯に浸かって一日をリセットするだけでも幸福度は変わってくると思いますし、健康状態もよくなると思っています。
―私もそうなのですが、普段あまり湯船には浸からず、基本的には入浴はシャワーだけです。毎日湯船に浸かる人とそうでない人にはどんな違いがあるのでしょうか。
小山:心のゆとりがまったく違ってきます。
湯船に浸かるよりもシャワーで済ませたほうが時間は短くて済みますが、そこを短く済ませたからといって後の時間効率が良くなるかというと、そうでもないんですよ。
それならば、きっちりと湯船に浸かって、一日をリセットするということを毎日やったほうが、悩みを翌日に持ちこしませんし、じっくり解決策を考えることもできて、結果的に効率的です。
悩みや問題が解決しない理由の一つとして、「きちんと解決方法を考える時間を作らない」というものがあります。自分の内面にフォーカスする時間がないから解決策が見つからない。そうしているうちに新しい問題が起きて、積み重なってしまうんです。
それと、体質改善、疲労回復の観点からいっても、シャワーで済ますより湯船に浸かるのをおすすめします。湯船に浸かると血管が拡張されて、血流がよくなり、体内の老廃物の排出機能が高まりますから、忙しい時ほど時間をかけて浸かっていただきたいですね。
― 一日のリセットをするために、お風呂でどんなことを考えればいいのでしょうか。
小山:考えるというよりも、とにかく自分を客観的に見るために、自分に色々なことを問いかけてみることが大事です。
悩みには大きく2つあって、たとえば「上司に叱られた」というように、原因がはっきりしているものと、「漠然とした不安」のように原因がはっきりしないものがあります。どちらかというと後者の方が大きな問題になりやすい。
心配事や不安の9割は現実には起こらず、取り越し苦労に終わると言いますが、自問自答する時間がないと、そういったことに気づくことができずパニックになってしまいます。お風呂でやるべきことは、自問自答することで自分を客観視して、心配や不安が現実にはほとんど起こらないということを理解することだと思います。
―確かに、何が不安なのか自分でわかっていないことも多いので、自問自答の時間をお風呂でゆっくりとるのはいいかもしれませんね。
小山:漠然と不安に思っているだけで、何が不安なのかを真剣に考えてる時間を作っていない人がすごく多いんです。自問自答しながら考える時間さえ作れば解決するんですけどね。
ただ、身の周りに携帯電話やパソコンがある状態で自問自答することはできません。だから「お風呂に浸かりなさい」というのは「デジタル機器から離れる時間を作りなさい」ということでもあります。そういう時間があるかないかで、悩みが消えるかいつまでもひきずるかも変わってくる。そういう意味で「デジタルデトックス」もこの本の大きなテーマなんです。
―「デジタルデトックス」というワードが出ましたけども、小山さんはデジタル機器とどのように付き合ってらっしゃいますか?
小山:携帯もパソコンもまったく見ないわけにはいかないのですが、お風呂の時間も含めて眠る前は見ないようにしています。
―「一日のリセット」ということ意外に、「明日へのフォーカス」も大事だとされています。明日のこととなると考えるのが憂鬱になってしまう人もいると思いますが、ここではどんなことを考えればいいのでしょうか。
小山:今日の悩みを解決して、一日をリセットできていないから明日のことを考えるのが憂鬱になるんです。先ほどの「リセット」さえきちんとできていれば、憂鬱になることはないはずなんですよ。
この本を通して伝えたかったのは「明日を今日より少し良くしよう」ということです。毎日、お風呂でその日を振り返って何が良くて何が悪かったのか、改善できるところはどこかと考えるのを365日続けられたら、人は大きく成長できるはずです。
―小山さんがお風呂に浸かってどんなことをされているのかを教えていただければと思います。
小山:特別なことはしていないですよ。笑顔の練習をして、あとはゆっくりのんびり、一時間くらい浸かっています。
「こうしなさい」という手順はないので、あまり難しく考えずにリラックスしてお湯に浸かっていただきたいです。そうすれば頭の中に色々なことが浮かんでくるはずですから。
ただ、デジタル機器は一切持って入らないこと。僕はアイデアを書きとめられるようにノートとペンだけ持って入ります。基本的にはそれだけですね。
―お風呂の中では新しいアイデアも湧いてくるものですか?
小山:そうですね。普段、忙しいといくつかのことを同時進行で考えてしまったりするのですが、お風呂だと邪魔の入らないところで一つひとつのことを集中して考えられるので、問題の解決策もアイデアも出やすいと思います。
―最後になりますが、人生にモヤモヤしている人や悩みを抱えている人にメッセージをいただければと思います。
小山:まずは携帯とパソコンを見ないことです。情報が入ってきすぎてかえって悩みが増えてしまいます。そしてお風呂に浸かることです。30分以上ぬるま湯に浸かってのんびりしながら、自問自答すればほとんどのことは解決しますよ。
担当編集・伊藤氏:個人的にものすごく頭のいい人や才能がある人、人一倍がんばっている人ほど、悩みや不安に押しつぶされそうになっている人が多いと感じていて、そういった人にこそこの本を読んでいただきたいです。
今感じている不安や心配事がほとんどは取り越し苦労なのだということに気がついていただければ状況はよくなっていくはずですし、そうなればこの本を出す意味はあるのかなと思いますね。
(新刊JP編集部)
2003年、個人が運営するオンラインゲームサイトが月間3600万PVを突破。ゲーム業界にてアバターを用いたアバガチャを広める。2005年、大手広告代理店に入社しSNS開発、ゲーム開発、マーケティングに携わる。その後、独立し、過去に培った知識を元に「ゲーム理論マーケティング」を取り入れた法人へのビジネス指導と、講演会を全国で開催。垂直思考と水平思考を元に、経営者向けのアイデア発想転換メソッドを生み出し、外食産業、広告メディア、印刷業、アパレル等多岐に渡り成功をおさめる。
統計学、認知心理学にも携わり、日本、世界で活躍する経営者、投資家とコネクションを持ち、著名人らの講演スタイルを分析し、独自に開発した概念拡散発想法を元に講演会を構築。
また、そのコネクションを活用し、成功者の脳の特性や仕組み、成功パターンについても科学的に分析。独自の研究を重ね、体系化している。シンガポールにて講師育成プログラムを経て、潜在的、局地的なインタラクティブを利用した講演プロモーション戦略を考案。さらには、世界的な著名人の海外教育研修プログラムを直接プロモートし、そのノウハウを活かし、効果の高いセミナーの実施をトータルに支援する。また自身も幕張メッセ、東京ビッグサイトなど、大規模な講演会にて聴衆から絶大な支持を誇る人気セミナー講師として活躍する。現在、講演会コンサルタントとして活躍すると同時に、後進の指導を行っており、指導した延べ人数は5万人を超え、何千人ものセミナー講師を日本全国に送り出している。