この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる

定価: 1300円+税
著者: 七田 厚、澤谷 鑛
出版社: 学研パブリッシング
ISBN-10: 4058002093
ISBN-13: 978-4058002094

インタビュー前編

「勉強させるにはどうすればいいの?」「上の子と下の子の仲が悪い」「ひとりっこでわがままに育ってしまわないか心配」……子育ての悩みは尽きないもの。

そんな悩めるお母さんたちの味方になる一冊が『この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる』(七田厚、澤谷鑛/著、学研パブリッシング/刊)です。

本書はしちだ・教育研究所の七田厚さんと、カウンセラーの澤谷鑛さんによる共著で、第1部では七田さんによるお悩みQ&A、第2部には澤谷さんによる子育ての悩みをめぐる物語が掲載されており、お母さんたちの子育てについてのモヤモヤを解きほぐしてくれます。

回は、共著者の一人である七田さんにインタビューを敢行。前編では書籍出版の経緯や、「しつけ」の現場についてお話をうかがいました。

■母親に「ババア!」と言い放つ子ども ―この『この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる』はカウンセラーの澤谷鑛さんとの共著となっていて、子育てをしている母親の悩み相談が書かれています。共著者の澤谷さんとはどのようなつながりがあったのですか?

七田:もともとのつながりは私の父である七田眞です。父は5年ほど前に亡くなったのですが、亡くなる4ヶ月ほど前の2008年12月に、澤谷さんと合同の講演会をしているんですね。そのご縁を元に、父が亡くなってから1年くらい経った後に、澤谷さんを訪ねようと思いまして、会いに行ったんです。

―どうして急に会いに行こうと思ったのですか?

七田:その時に、父とご縁のあった方々を訪ねてみたいと思ったんですね。生前に共著を出した方、一緒に講演をされた方…いろいろな方にお会いしようと。実は私自身は澤谷さんとお会いしたことがなかったので、当社の父と澤谷さんの講演会のコーディネーターをしたスタッフにお願いをして、京都にいらっしゃる澤谷さんの元へうかがいました。
そこでお話をしている中で、澤谷さんから「お父さんと一緒に講演をしたのだから、息子のあなたとも講演をしたい」というお話をいただきまして、一緒に講演をして、さらに共著を出すという流れになったのです。 ―本書は七田さんにとって、澤谷さんとは2冊目の共著になりますね。前著は『いのちの教育の物語』というタイトルでした。

七田:はい、そうなんです。昨年、その本を出したのですが、それぞれが書き下ろした章と、講演を文字化した章、また、対談形式の章から成っています。本書はそうではなく、私のQ&Aパートと、澤谷さんの物語パートの2つから出来ています。

―そういえば、七田さんと澤谷さんはお名前が同じ音なんですよね。

七田:そうなんですよね(笑)私も、澤谷さんも「コウ」ですからね。結構珍しいと思うんですよ。

―本書の第一部「お母さんの心が軽くなるあれこれQ&A」では、子どもと母親の関係についてのお悩み相談という形式で七田さんが書かれています。この81個の相談は、七田さんの元に寄せられたものなのですか?

七田:そうですね。当社は父が創業して以来、ずっと子育ての相談を受け付けてきていまして、その中の相談が結構入っています。また、最近は生活環境が一気に変わって、新たな悩みも出てきています。スマートフォンどうすればいいの? とか。こうした悩みは、この本を作る際にお手伝いいただいた女性ライターのママ友から、実際に上がってきたものです。

―確かにスマートフォンを持った子どもが「LINE依存」になってしまったという話もありますからね。

七田:愛知県刈谷市の小中学校では、午後9時以降スマートフォンや携帯電話の使用を禁止する取り組みを4月から始めたそうです。とにかく時代の変化が速いので、その分、子育ての悩みも増えているといえます。

―第一部の第二章のテーマは「しつけ」ですが、どこまで家庭でしつけるべきかという話もあります。

七田:私は学校でしつけを1から教えるのは無理だと思っています。それは家庭ですべきことであって、家庭ではできないことを学校で補うのが理想的です。例えば上下関係や団体行動などの、大勢の中で学ぶものは学校で身につけるべきで、やはり基本は家庭だと思いますよ。
子育ての一つの到達点は「自立」です。親や先生、友達の手を借りずにできるか、学習面だけでなく生活面もそうですよね。社会生活に適応できるかどうか。それは家庭で教えないといけないことだと思いますね。

―言うことを聞かないときに「叱る」基準というのも、家庭によって違いますよね。本書では「言っても聞かないときのゲンコツは絶対にいけないことですか?」という質問が載っています。

七田:私自身は親から体罰を受けたことがないのですが、自分の子どもにはビンタをしたことがあります。子どもが小さい頃、二人でお風呂に入っているとき、あまりにふざけるから「もう一回やったら叩くよ」と言った直後に、またふざけてしまったので…。その子の下に2人、子どもがいるのですが、その子たちは叩いたことがないです。

―やっぱり下の子どもは、お兄さんのことを見ているんでしょうね。

七田:それはあると思います。私には妹と弟がいるのですが、弟は小さなころ、母に叱られるようなことを言って、よく叱られていました。それは僕が叱られることがなかったので、参考にならなかったのでしょうね。
でも、子どもって、親がどこまでなら許してくれるのか、はかっているようなところがありますよね。本気で悪さをしているのではなく、親の出方を見ている。そこで何もしないと、親はなめられてしまうから、線引きをすることが必要です。
少し前の話ですが、幼稚園くらいの男の子に「ババア!」と言われて、何も言い返さないお母さんがいたんです。それは、間違いだと思います。人として言っちゃいけないことだし、あってはならないことです。普段は友達のような付き合いをしていても、そういうときは烈火の如く怒らないと、子どもには伝わりません。
このエピソードで一番問題なのは、その子の親に対する態度が、他のところでも出てしまうことです。そうならないように、「これをしたら叱られる」「ここまでなら叱られない」という線をはっきりとさせるべきでしょう。人として大事なことを身につけさせないと、自信を持って子どもを外に送り出せなくなります。

インタビュー後編

「勉強させるにはどうすればいいの?」「上の子と下の子の仲が悪い」「ひとりっこでわがままに育ってしまわないか心配」……子育ての悩みは尽きないもの。

そんな悩めるお母さんたちの味方になる一冊が『この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる』(七田厚、澤谷鑛/著、学研パブリッシング/刊)です。

本書はしちだ・教育研究所の七田厚さんと、カウンセラーの澤谷鑛さんによる共著で、第1部では七田さんによるお悩みQ&A、第2部には澤谷さんによる子育ての悩みをめぐる物語が掲載されており、お母さんたちの子育てについてのモヤモヤを解きほぐしてくれます。

今回は、共著者の一人である七田さんにインタビューを敢行。後編では七田さんが経験された子育てのエピソードをお話ししていただきました。

■子育てに必要なのは“母親の癒し” ―「叱り方」というところで最近見かけたのが、電車の中で騒ぐ自分の子に、ものすごく大きな声を出して叱る親です。時にはひどい言葉を投げかけていて、叱ることも必要だと思うのですが「そこまで言わなくても…」という気になってしまいました。

七田:注意はもちろん必要ですが、公共の場で大きな声を出すのは慎むべきだと思います。家の中のような2人だけの世界ではないですから。もしどうしても収まらないようならば、次の駅で降りてから叱るとか、そういう配慮も必要です。
逆に叱らない人もいますよね。それも問題なのですが、話を聞いてみると、叱るべきタイミングが分からないという方がいらっしゃるんです。子育てはマニュアルではないから、自分が思ったときに叱るべきなんですけどね。
子どもへの接し方は、自分が親にされてきたことが物差しとなります。親がこうしていたから自分もこうしよう、というのが最も自然な形です。

―子どもへの接し方が、自分の子どもが親になったときの接し方の指針になるわけですね。

七田:そうなんです。だから、親自身も子どもとの接し方を学んでいく、自分で自分を親として育てていくということをしなければいけません。子どもにとっての最大の指導者が自分であると分かったら、自分の至らなさが見えてくるはずです。

―七田さんも3人のお子さんを育てていらっしゃいますが、戸惑ったことはありましたか?

七田:もちろんありました。特に一人目は肩に力が入りすぎるもので、子育ての理想を追求してしまいがちなんです。でも、そう理屈通りに動いてもらえるわけではなく(笑)それまで幼児や小学生の家庭教師をした経験はあったのですが、我が子に教えるということは全く違う難しさがありましたね。どうしても、感情が入ってしまうので…。

―それは親子ならではのコミュニケーションですよね。

七田:我が子だと、そう簡単に冷静にはなれないんですよ(苦笑)

―奥様と子育てについて議論を交わすことはあったのですか?

七田:それは折に触れて話をしていましたね。本にも書いていますが、家内に言われて「なるほど」と思ったことが、両親が一緒に叱らないということです。2人で叱ってしまうと子どもは逃げ場がなくなってしまう。だから、家内は私が叱っているときは叱らないようにして、子どもに助け舟を出したり、逃げ場をつくるように心がけていたそうです。
基本的に七田家では、勉強面では私がイニシアチブを取り、健康面や食事面では家内がイニシアチブを取っていました。どちらでもない分野は、子どもが寝たあとに意見を戦わせていて(笑)一番話したのは携帯電話のことですね。私は容認派なんですが、家内は小中学生に携帯は要らない派なんです。私自身は、我慢させておくと、いざ解禁したときに使い方に歯止めがきかなくなるのではないかと思っていて、それならば親の目が届くうちに使い方を教えて、いざ独り立ちしたときにも自律できるようにしたほうがいいのではないかと考えているんです。
ただ、私の家では上の子と下の子が8歳離れていて、下の子は今、中学3年生なのですが、8年前とかなり状況が変わっているんですよね。上の子が中学生の頃はスマートフォンもLINEもありませんでしたから。

―そういえば愛知県刈谷市では、小中学生の夜9時以降のスマホ使用を禁止するという試みがなされています。

七田:ありますね。他にも、母親が子どもに携帯電話を持たせるときのルールを何か条か制定したり。

―テクノロジーはどんどん進化していきますし、今後もこうした子育てを悩ます存在は増えていくように思いますが、新しい技術やコミュニケーションに対して、親はどのような心持ちでいるべきだと思いますか?

七田:親がスマホに夢中になって子どもとのコミュニケーションをなくしてしまうのは危険ですね。例えば授乳しながらのスマホ、これは良くないです。母親は子どもがおっぱいを飲んでいる姿を見て、愛情を増していくものなのに、スマホに熱中し過ぎて子どもとの心の交流をなくしてしまうと、愛情は伝わりません。子どもに愛情をもって接することが大事なんです。
一方で、母親自身が寂しさや孤独を感じていると、子どもに愛情が伝わりにくくなります。子育ての問題は、どうしても母親が責められがちなんですが、そうではなくて、お母さんをどう癒してあげるか、母親の問題をどう解決してあげるかが、すごく大切だと思うんですね。
こうした部分は、本の中で澤谷さんが書いてくださっていますので、それを読んでいただければ腑に落ちると思います。

―つまり、子育てを本質的に理解するために澤谷さんのお話が大事だということですね。

七田:そうですね。根本的な問題に対する解決の糸口が書かれていると思います。

―本書は母親向けに書かれていますが、父親の方も読むとすごく参考になると思います。

七田:父母問わず、良い家族にしていこうと思う方に読んで欲しいです。
子育てというのは連鎖的につながっていくもので、自分が受けた教育を、自分の子どもにもしてしまうことが多いんです。だから、もし自分が親から愛情をあまり授けてもらえなかったと思ったら、気づいたその部分を自分なりに変えることが大事です。
子どもが嬉しそうな顔をすれば、親も嬉しいはずだし、楽しい思い出もたくさん作らないといけません。親と一緒に何かをしたり、一緒に過ごしたという記憶が残るようにしてほしいんです。

―他にどのような方に読んで欲しいとお考えですか?

七田:今ちょうど子育てをしているお母さん、お父さん。もしくはお孫さんがいる方。幼児から小学生くらいのお子さんを対象としているので、その年齢くらいの子どもがいる方ですね。あと、子育てというのは会社の上司部下の関係にも似ているということを言われたことがあります。なので、そういったところでも役立つかも知れません。 この本のQ&Aの部分は、右側に質問があり、左側にその質問に対する答えが書いてありまして、ページを開いてすぐにその悩みに対する解決法が分かるようになっています。だから、一家に一冊置いておいていただいて、悩んだときに読んでもらえると嬉しいです。

(了)

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この「魔法のメガネ」で、子どもの心が見えてくる

定価: 1300円+税
著者: 七田 厚、澤谷 鑛
出版社: 学研パブリッシング
ISBN-10: 4058002093
ISBN-13: 978-4058002094

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