あなたは今、1日に何回、歯を磨いていますか?
ある統計によれば、日本人の95%が毎日歯を磨いていて、1日2回以上歯を磨く人は73%に及ぶといいます。ところが、成人のほぼ100%が虫歯を持っていて、「成人の約8割が歯周病」という調査結果も出ており、歯を毎日磨いても日本人の口の中はトラブルだらけです。
歯の健康を保っておくことはとても大事なこと。なぜなら、歯周病菌は、脳卒中や胃潰瘍、腎炎などの重大な病気を引き起こす一因となっているといわれているからです。
でも、毎日磨いても歯周病になってしまうのは一体なぜなのでしょうか?
33年間、歯科衛生士として歯科医療の現場に立ち、3万人の患者をみてきた豊山とえ子さんは本書の中で、冒頭でその理由について次のように述べています。
「まちがった歯磨きをしている」からです。歯を磨けば虫歯や歯周病を防げる、という考えがまちがいなのです。結論からいうと、「口の中の細菌を取り除く」。これがもっとも効果のある方法なのです。(p9-10より)
「まちがった歯磨き」と「細菌を取り除く」。これはどういうことなのでしょうか。
■ただ歯を磨くだけでは健康になれない!
豊山さんがまずメスを入れるのは歯磨きの方法です。
多くの人は、大きな歯ブラシをシャカシャカと大きく動かしながら、歯を磨いているのではないでしょうか。しかし、いくら磨いても、プラーク(歯垢)がとれていなければ磨いていないのも同然。さらに、磨き方によっては歯や歯肉を傷つけてしまう可能性もあります。
正しい歯のケアとはどんなものなのでしょうか。
私たちはつい、「歯“だけ”を磨きさえすれば、大丈夫」と考えがちですが、豊山さんは、歯周病や虫歯を防ぐ上で、いわゆる「歯磨き」だけでは不十分だといいます。なぜなら、歯垢は歯と歯肉の間にびっしり詰まっていることが多いからです。
本書のなかでおすすめしている、歯をケアするときのポイントは次のとおりです。
- 歯と歯のキワ
- 歯と歯の間
- 奥歯の噛み合わせ部分
この3つのポイントこそが、歯垢のたまりやすい場所。このポイントを意識したケアを行なうことが歯周病と虫歯予防に効果を発揮するのです。
■歯ブラシにプラスして必要なケア方法
では、3つのポイントをどのようにケアすべきなのか?
日歯保存誌のデータによれば、歯ブラシだけでは「6割しか汚れが落ちない」そうで、デンタルフロスや歯間ブラシを組み合わせて使うと効果的だと述べます。特にデンタルフロスは歯医者では使われたことあるけど、家庭ではあまり使わないという人が多いでしょう。しかし、海外では常識的なケア方法であるそうです。
他にもマウスウォッシュや歯ブラシ、歯間ブラシの使い方など、歯のケアのための幅広い知識を教えてくれます。
おそろしい病気を招く要因といわれる歯周病ですが、口臭の元になるなど、日常的なエチケット面でもケアしておきたいものです。
本書で紹介されているセルフケアは、コツさえつかめば2分ほどで済ませられます。本書によれば、日本人の平均歯磨き時間は1分40秒ですから、豊山さんのおすすめするセルフケアは、お手軽でいて効果的なものといえるはずです。
(新刊JP編集部)
- 定価:
- 800円(税抜)
- 著者:
- 豊山 とえ子
- ISBN-10:
- 4331519252
- ISBN-13:
- 978-4331519257
- 第一章
歯と歯肉が元気になると、
若さも健康もやってくる(キレイな歯の効果効用) -
- 虫歯だらけだった子ども時代
- 【健康な歯肉のチェックリスト】あなたの歯肉は大丈夫?
- 【自宅のお風呂でも、ラクにできる歯肉のケア】
- 歯肉が悪いと、疲れやすい!
- なぜ上の歯を8~12本見せると若くなるのか
- 【顔のむくみもとれる! ゴールデンスマイルのトレーニング】
- 健康な歯は、宝石のように白く輝く
- ホワイトニングで、歯はもろくならない
- 第二章
歯周病菌はキスからうつる!(手入れを怠る怖さ) -
- 歯周病菌が肺炎を引き起こすことも
- 歯垢1グラムに1億個のバイ菌
- 日本人の20歳以上80歳未満の約8割が歯周病にかかっている!
- 【あなたは歯周病? チェックリスト】
- 歯周病は、実は内服薬で除菌できる
- 口の中はお尻よりも汚い?!
- 進行が早い! インプラント周囲炎に要注意
- 第三章
9割の歯磨きはまちがっている(真実の歯のお手入れの目的) -
- 日本人の虫歯は先進国の中でもダントツに多い
- そんな歯磨きは今すぐやめてください
- 歯を磨くのではなく、「細菌をコントロールする」
- ゴシゴシしすぎると歯は削れていく! 水がしみる!
- 虫歯は、「3つの輪」が原因となる
- 歯と全身のために避けたい3大悪
- 砂糖は毒なのです
- お子さん、お孫さんの歯を守って!
- 虫歯でないのに、歯が欠けるトゥースウェア
- 第四章
自分の歯は自分で守る!(セルフケアの仕方) -
- たったの2分でプラークコントロールできる
- 歯の汚れは染めださないとわからない
- 歯ブラシだけでは6割しか汚れが落ちない
- マウスウォッシュは歯ブラシの代用ではない
- 歯ブラシは食後30分以内に使わない?
- ケア効果がすぐ現れる歯ブラシの選び方
- 1分間に数万回振動をする電動歯ブラシ
- 1本の歯は4方向からブラシをあてる!
- フロスより手軽。歯間ブラシの選び方と使い方
- デンタルフロスをあまり使わないのは日本人だけ
- 歯ブラシで舌をこするのは避けるべき
- 歯磨き粉は粒子の細かいものを
- デンタルIQの高い人になろう
- 第五章
歯医者さんは"歯磨き"を教えてくれない
(プロケアの大切さ) -
- 「この歯医者さんを最後にしてね!」
- 痛くない、早い、安いの治療は危険な場合も
- 虫歯治療は歯周病を治してから
- 麻酔を使わない治療とは?
- 歯を削らない、抜かない、神経をとらない、が理想の治療
- いい患者になるといい治療が受けられる
- いい歯医者さん、悪い歯医者さんの見分け方
- 患者さんも賢くなりましょう
豊山とえ子(とやま・とえこ)
1959年宮城県登米市生まれ。歯科衛生士。夫とともに、削らない歯科治療をする歯科医院を経営。行きたくなる歯医者さんづくりのためのスタッフ教育・歯科医院システム構築のためのコンサルティングも行う。ホワイトニングコーディネーター(日本審美歯科学会)、日本顎咬合学会認定歯科衛生士(日本顎咬合学会)、第二種滅菌技士 (日本医療機器学会)、第二種歯科感染管理者(日本・アジア口腔保険支援機構 歯科感染制御推進機構)。LDA理事、株式会社T-SIS代表取締役。社団法人日本経営コンサルタント協会会員、日本ほめ育協会アドバイザー。
- 定価:
- 800円(税抜)
- 著者:
- 豊山 とえ子
- ISBN-10:
- 4331519252
- ISBN-13:
- 978-4331519257