
絶対に選ばれる! 「ビジネス・プロ
フィール」のつくり方
著者: 福田 剛大
定価: 1,470円(税込み)
出版社: 同文館出版
ISBN-10: 4495523112
ISBN-13: 978-4495523114


■ 良いプロフィール、悪いプロフィール、その違いとは?
― 福田さんは“仕事の取れる名刺の専門家”として活動されていますが、今回の著作ではビジネス向けのプロフィールの書き方に特化して書かれています。まずは、プロフィールに着目した経緯、理由からお聞かせください。

― ビジネス・プロフィールの書き方について触れている本はありますけど、まるまる一冊というのは珍しいですよね。
「僕の知る限りだと、前例がないんです。だから、実務レベルでも、セミナーレベルでもプロフィールの書き方を教えている自分ならば書けるんじゃないかと思ったというのが、この本を書いた理由ですね。今はSNSやブログなど、個人がメディアを持つ時代になったので自分が何者かを説明するプロフィールの重要性が増してきていますし、ニーズもあるのかな、と」
― 確かに以前に比べて、そういったところで自分のことを書く機会が多くなったように思います。
「ただ、メディアはプロフィールを書く枠を提供してくれるだけで、書き方までは指南してくれません。SNSやブログをビジネスで活かそうとするならば、実はその部分がすごく大事です。どう書くかによってお客さんの反応がだいぶ変わってきます。そのための方法をこの本の中でまとめた、ということですね」
― ビジネス・プロフィールをしっかりと書くことで、具体的にどのようなことが変わるのか教えていただけますか?
「まず、自分がこれまで何をやってきたのかが整理できますよね。普通に働いているだけでも、意外にいろいろな経験をしているものです。その上で、そのプロフィールが誰に読まれるのかということを意識して書いていけば、お客さんの反応が変わってきます。一番大切なのはそのプロフィールに共感してくれる人が増えて、ビジネスにつながるということですね」
― 確かに誰かとビジネスをする際に、人柄で決めるという人もいますよね。
「そうなんですよね。似たような経歴が並んでいた場合、最終的には心に魅かれるものがあるかどうかだと思います。プロフィールはその部分でとても効果的なんですよ」
― この本の冒頭には福田さんが最初に書かれたプロフィールが「幼少~大学編」「激闘編」と2部構成で7ページにわたって掲載されています。これだけでも一読の価値ありと思うのですが、プロフィールを書く際に気を付けていることはなんですか?
「なぜ自分はこの仕事をしているのかというところは意識していますね。今に至るまでにどんな紆余曲折が自分にあったのか。
僕の場合、もともとうつ病になっていた時期があって、コミュニケーションの恐怖を克服するために、名刺を活用したんです。名刺があったからこそ今の自分があるし、そのときに名刺はすごく効果を発揮するということを肌で実感しました。それを元に自分をアピールする名刺を作るためのノウハウを編み出して、それをプロフィールに入れたら多くの人が共感してくれたという経緯があるので、そこの部分はちゃんと書こうと思っています」
― 非常に“読ませる”プロフィールだと思いました。
「本の冒頭に載せたプロフィールは、ブログを始めた頃に書いたものですから、実績は一切なかったし、とにかく名刺に対する想いを詰め込みました。逆にそれが良かったのか、僕に声をかけてくれるお客さんが増えて…自分は恵まれていますね」
― プロフィールの良し悪しはどういったところで生まれるのでしょうか。
「ビジネス・プロフィールということを考えれば、仕事に結びつくものかどうかというのが一番の判断基準になると思います。自分のプロフィールがライバルとの競争を勝ち抜く最後の一手になることもあるだろうし、そもそも自分の印象を決める入口にもなるものですから。読み手を想定して書いて、その通りに読み手が行動してくれるようなプロフィールが良いプロフィールだといえると思います」
■ 胡散臭い「プロフィール」に気を付けろ!
― ここからは「胡散臭い」プロフィールについてお話をしていきたいのですが、私自身、ビジネス書や自己啓発書の著者プロフィールを読んでいると、ごく稀に「すごく胡散臭いなあ」と思ってしまうようなプロフィールが書かれていることがあるんですね。
「例えばどんなものが『胡散臭い』と思ってしまうのですか?」
― いろいろ書かれているんですけど、結局実績として何を残してきたのかが書かれていなかったり、『だから何?』と思ってしまったこともあります。プロフィールにそこまで求めるべきでないのかも知れませんが…。

「ああ、でも分かりますよ(笑)プロフィールを通して、自慢話しかしてないような人もいますね」
― それだけでネガティブな印象を受けてしまうことがあります。
「上から目線とか、あとはとても仰々しくて、実態がよく分からない人もいますね。特にソーシャルメディアには盛り放題な人がいて、目につきます」
― 確かにプロフィールを盛り過ぎている人はいますね。また、軸がブレている人もプロフィールを読むと分かることがあります。
「僕が最近よく見かけるのは、不幸の履き違えをしているプロフィールですね。セルフブランディングのために、自分の不幸話をかなり盛って載せる人がいるんですけど、書き方を間違えると不幸自慢以上の印象にならないときがあるんです。
また、昔自分は悪びれていた、という不良エピソードも見ます。例えば学生の頃にキャンブルで負けて、闇金にまで手を出した…という話まではいいんですが、結局その経験をどう活かして、今の自分がいるのかが書かれていなければ、読み手の心を動かせないんです」
― 中学生や高校生の「俺、悪いことしてきたんだぜ」自慢みたいですね(笑)
「大事なのは今、自分がお客さんに何を提供できるのかということです。その背景に自分はこういうものを背負ってきたんだ、と訴えかけるのがプロフィールですから、ヤンチャ自慢だけでは、信頼も何も生まれないんですよ。虚勢を張って相手をビビらせても、人は遠ざかっていくばかりですから、ビジネスにはつながらないですよね」
― ビジネス・プロフィールを作っていく場合、ある程度、似たりよったりになってしまう部分が出てくると思います。そこで個性的なプロフィールを作るには、どうすればいいのでしょうか。
「本の話になりますが、この本ではプロフィールの『型』を用意していて、その『型』に自分のエピソードを当てはめていくことでプロフィール作りができるようになっています。似たようなストーリー展開でも、エピソードが変われば大分変わりますから、自然に個性的になるはずです。あとは、読む対象者に対してどうアプローチするか、ですね」
― プロフィールに限らず、名刺も含めて、福田さんのところに相談に来る人はどんな人が多いのですか?
「やはりフリーランスや起業家、あとは経営者も多くいらっしゃいますね」
― 普通のビジネスパーソンの方にも需要がありそうな気がします。会社以外の名刺を作る人も増えているといいますし。
「あ、そういう方もいますよ。セカンド名刺として持っておきたい、と。朝活などの社外で活動するときに使う名刺が欲しいという方もいます」
― 本書をどのような方に読んで欲しいとお考えですか?
「本の副題には『起業家・個人事業主のための』と書いていますけど、自分のことを好きになってくれるお客さんと仕事がしたい人であれば、誰でも読んで欲しいです。損はしないはずです。ビジネスは自分のことを知ってもらうことが大切だと思うので、有効活用してほしいですね。また、内向的な性格の人にもお勧めです」
― では、最後にこのインタビューの読者の皆さんに一言お願いします。
「ビジネス・プロフィールの書き方に特化した本というのは、おそらく前例がないと思いますから、もし気になったら手にとってください。仕事が上向くヒントがあるはずですので、ぜひプロフィールをつくって、あなたの良いところを世の中に発信していって欲しいと思います」