• ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ書影

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  • ヘッジファンド×海外不動産で組む 鉄壁の資産防衛ポートフォリオ
  • 定価: 1400円+税
    著者: 植頭隆道
    出版社: 幻冬舎
    ISBN-10: 4344970446
    ISBN-13: 978-4344970441

著者インタビュー

■ 投資は個人でやるよりプロに任せるべき、その理由とは?

― 植頭さんは転職や独立の経験もおありですが、就職されてからずっと証券会社で働かれているんですよね。

植頭:そうですね。母が証券会社に勤めていたということもあり、就職する際も悪いイメージはありませんでした。

― 証券会社というと激務のイメージがありますが…。

植頭:最初の会社に入社した当初はそうでしたね。朝6時半くらいに出社して、主な業務が飛び込み営業でした。上司から名刺を40枚集めてこいと言われるのですが、200件くらいまわってももらえない日もありましたし、ストレスで過呼吸になったこともあります。でも、今は証券会社に就職して良かったと思っています。

― 本書を執筆した経緯、理由について教えていただけますか?

植頭:ヘッジファンド証券を設立してから4年になりますが、これまで私たちのやってきたことをまとめるという目的と、ヘッジファンドの存在を広く世間に知ってほしいという想いから執筆しました。

― 投資というと、今では「NISA」で活用できる個人投資家向けの商品もありますが、そもそも富裕層のすることというイメージが強い部分があります。

植頭:特にヘッジファンドはそういうイメージがありますよね。アメリカでは富裕層にとって当たり前の運用方法なのですが。
投資家の資金を預かって、プロがその資金を運用するという点では、一般の投資信託もヘッジファンドも同じ仕組みなのですが、ヘッジファンドの場合は最低投資金額が1000万円だったり1億円だったりと、富裕層にしか買えない商品ばかりでした。
そこで、当社では100万円から投資できる国内公募型の個人向けヘッジファンド商品を提供していますが、まだ定着しているとは言いにくい状況です。

― それは何故ですか?

植頭:多くの個人投資家は資産運用の知識や経験が乏しいので、大手証券や銀行で勧められるままに投資信託などを買ってしまいます。逆に、ヘッジファンド投資に関しては情報がとぼしい上に、イメージの部分もあると思うのですね。

― 「ヘッジファンド」へのイメージというのは?

植頭:世界的な金融危機が起こったり、相場が乱高下したりするたびに、主犯はヘッジファンドであるかのように報道するメディアがあります。つまり、世間の目からみれば、ヘッジファンドは悪者なんですよ。
また、ヘッジファンドはハイリスクだというイメージもあると思いますが、それも悪いイメージを持たれる一つの要因です。海外ではそういった運用をしているファンドもありますが、日本ではハイリスクな運用をしているファンドはほとんどないと思います。

― そもそも、ヘッジファンドは海外というイメージが強いです。

植頭:本書ではそういったイメージを払しょくしてもらうために「和製ヘッジファンド」について書かせてもらっています。和製ヘッジファンドはとても堅実な運用をしています。本書の中で詳しく解説していますが、和製ヘッジファンドの多くは「マーケット・ニュートラル運用」という手法で運用しています。これは空売りと買いとを組み合わせてマーケットに対して常に「中立」を保つ運用方法なので、マーケットの上下にあまり影響されず、安定的に資産を運用する投資戦略ということができます。ですから、富裕層だけではなく、一般的な個人の方々でも安心して投資ができる商品だと思っています。

― 景気が悪いといわれた時期から、一般の方々にも「お金を投資して儲ける」という選択肢があることがより広まったと感じるのですが、投資は独学でするよりもプロに任すべきだとお考えですか?

植頭:多少の手数料を払っても、プロに任せるべきです。プロばかりの世界に素人が飛びこんでいくようなものですから。一週間などの短い期間では勝てる可能性がありますが、そのまま勝ち続けられるかというと、難しい世界です。
そう考えていくと、運用のプロが揃っているヘッジファンドに任せてしまうというのも自然な流れになると思います。

■ 甘い話ばかりの投資の世界…裏にあるリスクを見抜くには?

― 本書では資産防衛のために必要な2本の柱としてヘッジファンドとともに海外不動産を取り上げていますが、これはどうしてですか?

植頭:資産防衛のポートフォリオを組むときに、外貨資産を組み入れておくべきだという考え方ですね。ポートフォリオの基本型はヘッジファンドなどリスク資産40%、海外資産30%、現金30%です。起こらないと思いますが、万が一、日本で経済危機が起きて1ドル300円になってしまったら…。海外資産を組み入れるのは、そういったリスクに対する防衛のためです。
このように富裕層にとっては経済危機に対処する方法は色々ありますが、もっと切実なのは、富裕層ではない一般の方々です。

― では、一般の人たちはどうすればいいのですか?

植頭:例えば毎月3万円貯金をしているとすると、そのうちの半分を外貨で貯金するということもできます。

― 本書の中に気になった記述がありまして、国内不動産は長期的に見ると良い投資ではないという話です。今、にわかに人気が出ている国内不動産ですが、一体なぜですか?

植頭:私は株式も不動産も経済成長率に紐づくものだと思っています。今は国内不動産が注目されていますが、人口減少期に入って、国内消費が伸び悩むと想定される日本がこのまま経済成長を続けられるかというと、それは難しいのではないでしょうか。今後人口が増えることがなければ、国内不動産投資による長期的な運用は勧められません。国の強さは国内の消費力ですから。

― 消費が停滞する国内よりも、海外の方がいい、と。ただ、外貨資産というと、どうしてもこれから価値が上がる通貨に投資したほうがいいと考えてしまいます。

植頭:個人投資家の傾向の一つとして、大化けするものを狙いたいというものがありますね。外貨取引なら新興国の通貨とか、株ならばITベンチャーとか。ただ、私はその考え方には大反対で、リターンは確かに大きいかもしれないけれど、その分、リスクも大きいんです。新興国には経済破綻や政治リスクの他に武力紛争のリスクなどもあります。リスクをヘッジするという考え方でいくと、到底お勧めできません。
ただ、甘い話ばかりされると、その裏にあるリスクを見抜けなくなってしまう。そこから悲劇が始まってしまいます。

― では、そうした甘い話の裏にあるリスクを見抜くにはどうすればいいですか?

植頭:私たちの業界を見ても、リスクヘッジをしながら運用をすると、年間2割くらいのアップがやっとです。プロが運用してもそのくらいなんですね。月2割、3割という話をしてくる人もいますが、疑ってかかるべきでしょう。リスクヘッジをしていない極めてハイリスク・ハイリターンの運用か、はじめから投資詐欺の可能性があります。でも、相談する相手もなく個人で投資している人は、やはり大きな儲け話に耳を傾けてしまいがちなんです。「投資の世界にはそんなうまい話はない」という実情を知ることが第一だと思いますね。

― なるほど。

植頭:だから本書は、リスクをなるべくおさえて、長期で運用したい人たちに読んでほしいです。富裕層はもちろんそうなんですが、一般の投資家の方々も。また、これから投資を考えている人も多いはずです。そういったすべての方々に、大失敗をする前にぜひ読んでもらいですね。
一回勝つと次は額を増やして投資して、さらにまた勝って、あるところで一気に負けたという人は珍しくありません。負けるときはそれまでのものが0になるどころか、マイナスになることもありますから悲惨なんですよ。だから、これまで運用で失敗したことがある人にも読んでもらえると嬉しいです。

― 読者の皆さまへメッセージをお願いします。

植頭:メディアなどによってヘッジファンドに対してあまり良いイメージを抱いていない人も多いと思いますが(笑)、必ずしも悪い存在ではありません。まずは本書を通して、その先入観を解いていただきたいです。
今では、ヘッジファンドでも小口でリーチできる商品が出てきています。大切なのはお金であり、そのお金を守りながら増やしていくことが、長期的に見て最も安定したお金の増やし方だと思います。甘い話に惑わされず、自分の資産を増やしていってもらえると嬉しいです。

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