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著者インタビュー

 誰もが日々膨大な量の情報に触れる現代ですから、情報インプットの速さは仕事の質や勉強の効率だけでなく、人生の充実度にもつながります。
 この「インプット速度」において、身につけておいて損はないのが「速読」です。とはいっても、「本をパラパラめくっただけで内容をすべて理解する」というような超能力じみたものではなく、トレーニングで身につけることができるもの。
 『1日が27時間になる! 速読ドリル』の著者で速読日本一の経験を持つ角田和将さんによると、それでも普段の2倍~3倍の速度で読めるようになるといいます。
 では、どんなトレーニングをすれば速読の能力を磨くことができるのでしょうか?今回は角田さんご本人にお話をうかがいました。

― 『1日が27時間になる! 速読ドリル』についてお話を伺えればと思います。角田さんは、前著『速読日本一が教える 1日10分速読トレーニング』で、速読は特殊能力ではなくスキルであること、トレーニング次第で誰でもできるようになることを示されました。
今回の本はその「トレーニング」にフォーカスした本、という位置づけになるのでしょうか。

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角田:トレーニングの本ではあるのですが、基本的なトレーニングのやり方というよりも、速読の原理や考え方に基づいて、「こんなトレーニングもあるよ」というパターンをたくさん紹介しています。一見トレーニングには見えなくても、実はトレーニングになっているという事例を中心に取り上げました。

― 「まちがい探し」などはやっていてすごく面白かったのですが、あれも速読のトレーニングなんですか?

角田:速読で大事なのは、文章を一文字ずつ目で追うのではなく、ある文字数を「ブロック」として捉えることで、そのためには「視野の広さ」が必要になります。二つの絵の違いを探すために「絵の全体」を視野に入れることで、この能力が鍛えられるんです。

― 順番が入れ替えられた文字列から元の単語を当てるというトレーニングもありました。これはどういう力が養われるのでしょうか。

角田:「イメージ力」ですね。パッと目に入れただけでその言葉をイメージする力が養われます。覚えてはいるものの、なかなか記憶から引っ張り出せないものを引っ張り出す力を鍛えるのが狙いです。

― 速読を身につけるために、こうしたトレーニングを毎日やったほうがいいのでしょうか?

角田:もちろん毎日やりたいのであればやっても問題ありません。ただ毎日やろうとがんばりすぎると続かなくなってしまうので、続けるのが苦痛にならない頻度でやっていただきたいですね。

― たとえば「まちがい探し」のトレーニングですが、これは市販の「まちがい探し」の本でもトレーニングになるのでしょうか。

角田:それは可能ですし、そういった問題をたくさん探していただいて、速読のトレーニングに活かしていただきたいというのが、この本で伝えたかったことでもあります。
こうしないとトレーニングができないとか、こうやらなきゃダメ、というのではなく、世の中のいろいろなところにトレーニングのネタは転がっています。「まちがい探し」に限らず、たとえば「脳トレ」の練習問題などは速読のトレーニング問題と似ているものが多いです。
もちろん、「脳トレ」の問題がすべて速読のトレーニングに使えるかというとそんなことはないのですが、この本に掲載した問題は数に限りがあるので、他のところから役立ちそうな教材を見つけてトレーニングに使ってみるといいと思います。その時はただゲームとして解くのではなく、「視野を広く取ること」と「できるだけ早く解くこと」を意識していただきたいですね。

― 同じトレーニングをやるのでも、効果が出やすい人とそうでない人がいると思いますが、より効果が出やすいやり方がありましたら教えていただければと思います。

角田:先ほどお話した、文字を一文字ずつなぞるのではなく、「ブロック」として捉える読み方を身につけるためには、文章を「読む」という意識から「見る」という意識に切り替える必要があります。トレーニングはこの切り替えができたうえでやるものなので、まずは「読む」から「見る」にいかに切り替えるかというところでしょうね。

― なるほど。この「切り替え」ですが、文章をなぞる読み方が身についてしまっている人にはなかなか難しいかもしれません。何かコツがありましたら教えていただけませんか?

角田:最初は一度に目に入れる「ブロック」を小さくする、というのがコツだと思います。極端にいえば、はじめは1単語ずつ見て、単語をつないでいる接続詞などは飛ばしていくような感じでいいかもしれません。それで慣れてきたら、次は一度に2つの単語を見るというようにだんだん視野を広げていく。
それと、視野を広げるのには新聞がおすすめです。新聞は1行が13文字くらいで、なんとか一度に視野に入れられる文字数です。1行単位で見て、どんどん次の行に目を移しながら内容を読み取っていくトレーニングをしていくと、「読む」から「見る」への切り替えがうまくいきやすいと思います。僕はこれを一度に3行くらい視野に入れて理解できるように指導しています。

― 新聞を一目で3行理解できたら、相当な速さで読めますよね。

角田:そうですね。そこまでの速さが必要かといわれるとそうでもないのかもしれませんが、目標として持っておく分にはいいと思います。
結果的に、1行か2行で止まってしまっても、それでも普通の人よりはかなり速く読めるはずですから。

― 一度に目に入る「ブロック」の文字数を広げていくことで、どんどん読むのが速くなるというのは理解できるのですが、速く読むことで理解度が犠牲になるということはないのでしょうか?

角田:一度に内容を理解できる視野をトレーニングによって広げていくということなので、それによって理解度が犠牲になるということはないと思っています。

― 以前お話を伺った時、速読には様々な方法があって、これといった正解があるわけではないということをおっしゃっていました。角田さんの速読方法は他の方法と比べてどんな点に特徴がありますか。

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角田:実際のところ、速読の原理原則はどのやり方もさほど変わりません。だから、僕の教えているやり方が特別なものかというと正直そんなことはないのですが、かなりシンプルなやり方だということは言えると思います。
僕の教えている速読法は文章をブロックで捉えて、「読む」のではなく「見る」というだけのもので、それだけでも2倍から3倍速くなります。このシンプルさが特徴といえば特徴なのかもしれません。

― 角田さんが速読を教えている方々は、どういった動機から速読を身につけたいと思っていらっしゃるのでしょうか。

角田:仕事に生かしたいという方が多いです。忙しいなかでも資格を取りたいからインプットのスピードを上げたいという方とか。それと、僕は投資についても教えているので、そちらから入って速読の方に関心を持たれる方もいますね。

― 「投資」と「速読」は一見関係がないように思えますが、速読ができると投資にも役立ちますか。

角田:大いに役立つと思います。投資というのは扱う情報量がとてつもなく多いので、そのインプットの時間を速読によって短縮することができれば、普段会社員をやっていて忙しい方でも、集めた情報を分析するところに時間を割けます。結果的に、精度の高いトレードにつながるというわけです。
それと、これは本の中でも書いたのですが、速読のトレーニングをやっていると、チャートという株の値動きのグラフを見て、いつもとは違う場所やおかしな場所がパッと見てわかるようになるので、それもトレードには役立っていると思います。

― 「資格を取りたい」「投資で稼ぎたい」などのようにはっきりとした目的があった方が速読は身に付きやすいということはありますか?

角田:明らかに身に付きやすいですし、それがないとトレーニングが続かないと思います。
というのも、速読はトレーニングの成果がすごくわかりにくいんですよ。本を読む時にいつもストップウォッチで速さを測っていれば別ですけどそんな人はまずいないでしょう。
だからこそ、速読を身につける目的があった方がいい。それを通じてトレーニングによって生まれた変化を感じ取りやすくなりますし、トレーニングのモチベーションも維持しやすくなります。

― 本書で紹介されているトレーニングをすることで、最高でどのくらいの早さで読めるようになるのでしょうか。

角田:人によって差があると思いますが、それまでの2倍の速さで読めるようにはなってほしいなと思っています。それは可能なはずですし、3倍までいける人もいるはずです。

― タイトルに「1日が27時間になる!」とあるように、これまで読むのに5時間かかっていた本を2時間で読めるようになれば3時間浮くわけで、忙しい人にとってこれは大きな違いですよね。

角田:そう思いますし、それで十分だと思うんですよね。「速読」というと、本をパラパラめくっただけで内容をすべて理解できる、「超能力」のようなものだと思われがちなのですがそんなことはなくて、これまで5時間かかって読んでいた本を2時間で読めるようになるというのも立派な速読です。

― 最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いできればと思います。

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角田:繰り返しになりますが、速読はそんなに難しいものではありません。今回の本に掲載したトレーニングにしても、「こんなものが速読のトレーニングになるんだ」と思うようなものばかりで、楽しみながらできるはずです。付録としてパソコンを使って速読のトレーニングができるツールも入っていますので、そちらもぜひ試してみてください。
この一冊で速読について理解できるように作ってはいますが、もしもっと速読について知りたいということであれば、前著のほうに理論的な説明が詳しく書かれているので参考にしていただければと思います。

(新刊JP編集部)
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