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ストーリー思考で奇跡が起きる 小山 竜央

著者インタビュー

■ ストーリー思考とは「自分の人生のシナリオを組み立てること」

―― 毎回異なったアプローチでビジネス書を書かれる小山さんですが、本を書く際にまずどのようなことを考えて書き始めるのですか?

小山: 本の元ネタは、毎月マーケティングやビジネスを教えるセミナーを開催しているので豊富にあります。今回の「ストーリー思考」はもともと2年ほど前からセミナーなどで教えていて、受講生からも人気のトピックでした。また、ストーリー思考を実際に経営に取り入れたところ、会社の売り上げが伸びたといった声も多く寄せられたので、満を持してこのテーマで書こうと。

―― 前作で『人生の悩みはお風呂で消える』という本を上梓されていましたけど、これもその流れで書いたのでしょうか。

小山: いえ、その本は誰も書いていないテーマを選んだといったほうが近いですね。
私が本を書く場合、日常で使えるメソッドをテーマにするということを課しています。もともとこの本も、ノートを使って人生を良くしようというところから編集者と打ち合わせていきました。ノートも日常で使えるでしょう。

―― ノート術の本から、ストーリー思考に変わったのは?

小山: 編集者との話し合いの中で「こっちのほうがいいよね」と変わっていきました。最初は「ノートを使って一人起業」とか「一人時間」とか、今となってはまったく面白くないテーマばかりがでてきて(笑)盛り上がらなかったんです。そこで、今までで一番人気の高かったコンテンツを題材にすることにしました。

―― ストーリーのどのような点が人気を集めているのでしょうか。

小山: ストーリーを追求していくと、自分を客観視できるようになります。仕事も、恋愛も、人間関係も。ストーリー思考とは、要は長期的な視点を持って自分自身を「物語」という目で見るということなのですが、そんなことを普段からしている人はそういませんよね。だから斬新にうつるのだと思います。

―― 確かに自分の人生を物語化する発想は、なかなかないですね。

小山: でも、上手くいっている人、ビジョナリーカンパニーをつくった経営者は、そういう視点を持っているんですよ。例えばディズニーランドをつくったウォルト・ディズニーは、自分の生涯で死んだあとのことまでを含んだ長編の物語を考えていました。
ただ、普通の人に「自分を主人公とした長編のストーリー」を作りましょうといっても分かりません。その方法を一つ一つ、分かりやすく説明していきましょうというのがこの本なんですね。

―― 「ストーリー」は、マーケティングの分野で活用されることがありますが、自分の人生戦略に当てはめて考えることはありませんよね。そのような活用方法を生み出したきっかけを教えてください。

小山: セミナーで受講者の皆さんにいろいろなことを教えていると、すぐに結果が出る人と出ない人がいるのですね。
すぐに結果が出る人はセミナーの参加者になっている、一方の結果が出ない人はセミナーの視聴者になっているんです。まさにYouTubeで動画を見ているだけのような状態ですね。私から見ると、視聴者タイプの方が圧倒的に多いんです。これは自分の人生に対してもそうで、常に受け身の状態です。
では、そうした人たちを参加させるにはどうしたらいいか。そのためには感情を揺さぶる必要があります。そこでストーリーを作ろう、と。ストーリーとは要は「シナリオ」であり、人生の流れです。その流れを自分で思い描くことで、自分自身を自分の人生に参加させるんです。

―― 孫正義さんやスティーブ・ジョブズなど、とてつもない成功を収めている人は壮大なストーリーを展開しています。彼らのストーリーの語り方、物語の組み立て方について小山さんはどのようにお考えですか?

小山: 彼らはすごい表現者ですよね。でも、表現がすごく上手だという以上はありません。

―― 彼らのような人生を歩みたいという人もいると思いますが、彼らの真似をするというのはいかがですか?

小山: 手順は真似をしてもいいと思いますが、あまり感情的にならないほうがいいと思います。シナリオは人生戦略ですから、ロジカルに組み立てなければいけません。彼らはすごい情熱を持って語るので、感情的でもいいと思うことがあるかもしれませんが、そうではないんです。
大事なのは俯瞰的に見ること。仮に起業して社会に影響を与える企業に成長させるというストーリーをつくったとして、最初の1年目で1億円の売り上げを達成しなきゃいけないのに、1000万円しか上がらなかった。現実を見るとすごく厳しいですよね。自分が考えたシナリオを変えるという選択肢は常に必要で、俯瞰的に見て上手くいかないなら、脚本を変えないといけないんです。孫さんのようになりたいと思ってそれを真似るのもいいけど、上手くいかなかったときに、それに固執してはいけません。

■ 成功者は「イッちゃってる」人が多い!?

―― シナリオの作り方を上達させるにはどうすればいいのですか?

小山: まずはこの本の68ページと69ページにある「イベントの起こし方」を読んでほしいですね。また、過去どのくらいストーリーを作ってきたかという経験則がたまっているかどうかということも重要な要素です。2回、3回とやっていけば作り方も上手くなりますよ。

―― 孫正義さんやスティーブ・ジョブズはやはり自分のストーリーを描いて人に伝えることがすごく上手だと思うのですね。本書でも人をいかに巻き込むかということを書いていますが、生き方やスピーチに引き込まれたという人も多いと思います。

小山: 彼らはスピーチのテクニックが秀でています。孫さんや堀江貴文さん、ジェームス・スキナーといった良いストーリーの語り部は、一発目からフックが強いんです。
例えばここにペットボトルの水があったとして、人を惹き込めない人はそのまま「これは水です」と言ってしまうんです。でも、良いストーリーを作る人は「肩こりを治すアイテムがここにあります」などと言うんですね。そういう風に、最初に人を惹きつける強いフックを入れる。その後に何でもいいから理由をつける。そうすることでストーリーが生まれるんです。
言い換えると、大風呂敷を広げて、その大風呂敷に至る理由を言う。そこにストーリーができる。良いストーリーが作れない人は大風呂敷を広げても、理由づけをすることができず、ビジョンだけで終わってしまう。だからロジックが大事なんです。ビジョンを魅力的に見せるには同じくらいロジックの部分を考えないといけません。大風呂敷を広げるだけの人は、ほとんど詐欺師のようなものですよ。

―― この本はどのような人を対象に書かれたのでしょうか。

小山: 大きな成功に憧れているけれど、なかなかアクセルが踏めない人ですね。悪く言えば“ビビリな人”です。
勘違いされがちなのですが、とてつもなく大きな成功をおさめた人たちは、一人だけで成功したわけではなく、誰かの手助けがあってその地位を手に入れたということです。ストーリー思考の重要なポイントは、周囲の人たちをいかに巻き込むか、いかに奇跡を起こす手助けをしてもらうかというところにあります。

―― ストーリーを一人だけで完結させようとしない、と。

小山: そうです。でも、世の中で「すごい」と言われているストーリーを作っている人たちは、ちょっとイッちゃってる人が多いように思いますね。どういう意味かというと、失敗したり、周囲に迷惑をかけたりすることを厭わない。普通だったら気にするところを、まったく気にしない。ネジが飛んでいる感じです。

―― 一方で、職人のような「求められている一つのことをひたすらやり続けて成功した」という人もいますが、小山さんはどのようにお考えですか?

小山: 正直なところ、運が良いとしか言いようがないですね。でも、運というのはロジックで説明できるもので、人ありきで成り立っています。成功している職人の場合、必ず応援してくれる人があらわれて、商品を広めてくれたりしているんです。
これはぜひとも伝えたいのですが、どんな成功もロジックなんです。例えば成功するための時間法則の理論というのがあって、どんなことでも10万時間それに費やせば100%に近い確率で成功する、奇跡を起こすことができるんです。よく1万時間と言われますが、それでは足りません。10万時間は1日8時間を365日で35年近くになりますが、それくらい続けることで、どんな人でも成功する割合が99%以上の数字になるという計算があるんです。

―― 逆にそこまで一つのことを続けられる人はそういませんよね。

小山: そうですし、その上に才能が加わるので、そもそも続けられない人が多いですね。途中でやめさせられてしまうこともあるでしょう。でも、そういった時間を短縮し、成功への道筋を作るのが、ストーリー思考でありシナリオなんです。

―― どのような方がこのストーリー思考を実践すべきだとお考えですか?

小山: 世の中に疲れてしまった人、勉強熱心だけど上手くいかない人です。いつかこの知識や視覚は役立ちそうだと思って、そこにお金を出している人が多いのですが、それが役に立つ保証はありません。それで無駄にするならば、今必要なことにお金と時間を費やすべきです。
ストーリー思考を身につけると、今必要なことが分かるようになります。何に自己投資をすべきかが見えてくる。自己投資をしても成果が出ない、前進しないという人が多いので、そういう人たちにぜひ読んでほしいです。

―― では最後に、この本の読みどころなどを教えてください。

小山: ずばり、シックスナインの69ページ、その隣にある68ページですね。イベントの作り方をまず知ってほしいです。まずどのようなことをしたらいいのか載せているので。律儀にはじめから読まなくていいです(笑)実際に行動を起こしてほしいですから。

(新刊JP編集部)