ディズニー ありがとうの神様が教えてくれたこと

ディズニー ありがとうの神様が教えてくれたこと

著者: 鎌田 洋
定価: 1,155
出版社: ソフトバンククリエイティブ
ISBN-10: 4797372915
ISBN-13: 978-4797372915

Amazonでみる
ディズニーサービスの神様が教えてくれたこと インタビュー掲載!
2011年4月15日。ディズニーランドの再開は、ゲストとキャストたち、そしてディズニーの“ありがとうの神様”との「再開の日」でもあったのだ──。 あらすじ

2011年4月15日。
少し遅咲きだったパークの桜が、春風とのダンスを楽しむかのように舞っている。入門ゲート前に並ぶゲストたちの列も、どことなく浮き立っている。
一見、いつもと変わらない開園前の光景。でも、この日は少しばかり様子が違っていた。
「早くミッキーに会ってありがとうって言いたい」
「あのキャストのおねえさんの笑顔に会いたい」
多くのゲストが、そんな想いを抱きながら開園時間を待ちわびていたのだ。
開園を心待ちにしていたのはゲストだけではない。〝心はひとつ〟と記されたチャリティリストバンドを付け、胸の高鳴りを抑えられないでいるキャストたちも同じ。
節電のために照明を落とし、いつもはキラキラと水しぶきを上げている噴水も止まったままだったが、そんな状況を忘れさせるぐらいの期待と喜びがパークを取り囲んでいたのだ。

あの大震災から約1カ月。復旧のために休園していた東京ディズニーランド再開の日。
パークのゲートが開くと、キャストたちも、まるで久しぶりの友人との再会のように、満面の笑顔でゲストを出迎える。パークのあちらこちらで、キャラクターたちと抱き合うようにして喜び合うゲストの姿。
この日、全国からパークにやってきたゲストの中には、パークで大震災に遭遇し、不安な時間を過ごした人も少なくなかった。
交通機関も寸断され、陸の孤島になったパークで震えるような気温の中、夜を明かした人もいた。だが、もしも、そのときに辛い経験をしていたら、いくらディズニーが大好きでも、こんなふうに東京ディズニーランド再開の日に駆かけつけたりはしないだろう。
多くの人がこの日のために朝早くから開園を待っていたのには訳があった。

その訳とは、「ありがとう」を伝えるためだ。
同じ人間として、あれほどの震災で恐怖を感じないはずがないにもかかわらず、不気味な音と揺れの中、ゲストを包み込むような行動で「安心を与えてくれた」キャストに対して、どうしても「ありがとう」が言いたい。
あるゲストは、そう語った。
キャストもまた、同じ気持ちだった。ゲストの多くが、大きなパニックにもならず、押しつぶされそうな不安の中、キャストに家族のような信頼を寄せてくれたことに、そしてこの日を心待ちにしてくれていたことに「ありがとう」の気持ちでいっぱいだった。
人と人が信頼し合い、互いの温もりを必要とし、かけがえのない存在であることに素直に「ありがとう」と言える。それは、多くの人が忘れていた人間本来の姿だった。

あの大震災当日。東京ディズニーランド、東京ディズニーシーで起こった〝奇跡〟は、やがて人から人へと伝わり、多くのメディアにも取り上げられた。
やっぱりディズニーランドはすごい。多くの人がそんなふうに感想をもらした。けれど、未曾有の事態の中で、いったいどうして、ゲストとキャストの双方が「ありがとう」と言いたくなるような絆で結ばれたのか。
その様子をずっと見守っていたのが〝ありがとうの神様〟だったということを、どれだけの人が気づいていただろうか。

そう、東京ディズニーランドの再開は、ゲストとキャストたち、そしてディズニーの〝ありがとうの神様〟との「再会の日」でもあったのだ――。

目次情報

はじめに 日本でいちばん「ありがとう」が生まれる場所
第1話 虹色のミッキー
第2話 真冬の桜ふぶき
第3話 絆の糸電話
おわりに 〝ありがとうの神様〟から託されたもの

著者プロフィール
著者近影
鎌田 洋(かまた ひろし)

1950 年、宮城県生まれ。
商社、ハウスメーカー勤務を経て、1982 年、(株)オリエンタルランド入社。東京ディズニーランドオープンに伴い、初代ナイトカストーディアル(夜間の清掃部門)・トレーナー兼エリアスーパーバイザーとして、ナイトカストーディアル・キャストを育成する。
その間、ウォルト・ディズニーがこよなく信頼を寄せていた、アメリカのディズニーランドの初代カストーディアル・マネージャー、チャック・ボヤージン氏から2 年間にわたり直接指導を受ける。その後、デイカストーディアルとしてディズニーのクオリティ・サービスを実践した後、 1990 年、ディズニー・ユニバーシティ(教育部門)にて、教育部長代理としてオリエンタルランド全スタッフを指導、育成する。
1997 年、(株)フランクリン・コヴィー・ジャパン代表取締役副社長を経て、1999 年、(株)ヴィジョナリー・ジャパンを設立、代表取締役に就任。
著書に『ディズニーそうじの神様が教えてくれたこと』『ディズニーサービスの神様が教えてくれたこと』(共に、ソフトバンククリエイティブ)、『ディズニーの絆力』(アスコム)がある。