考え方を変えれば
人生が変わる

著者: 岩本 政人
定価: 1,470円
出版社: あさ出版
ISBN-10: 4860635531
ISBN-13: 978-4860635534

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著者インタビュー

■ “なりたい自分像”が人生を大きく動かしていく

― 本書に書かれている岩本さんの半生を読んでいて、前半部分のバイクレーサーの部分と、後半の経営者に転身されたあとの話の差がすごいなと思いました。全く正反対というか。


「そうですね。僕の場合はシフトチェンジが上手くできたと思います。ミュージシャンや役者、スポーツ選手とか、夢をもって頑張ってきてもほとんどの人は夢が破れてしまうじゃない」

― 鈴鹿8耐(鈴鹿8時間耐久ロードレース)まで出場したというのはすごいな、と。


「まあ、出ただけになってしまいましたけどね(笑)でも、そこに出場できたのは自分の中で一つの区切りになりました。日本で一番大きなオートバイレースですから」


― では、本書を執筆した動機を教えていただけますか?


「最近、若い子たちとコミュニケーションをとる機会が多いのですが、そこで感じるのは、どんなに学歴高くて、どんなに能力があっても、上手くいっているという実感をもった子が少ないことです。
僭越ですが僕は人生のシフトチェンジがうまくできたタイプで、そういった若い子たちも上手く変わることができればいいんですが、それがなかなかできていません。
成功者の多くは人生を上手く舵取りしていますが、よく見ると彼らには共通した法則があるんですよ。それを一人でも多くの人が知って、幸せになるきっかけとしていただければいいなと思ったのが動機です」

― この本を読んで、まず岩本さんの行動力には驚かされました。親の反対を押し切ってバイクの世界に入り、さらに知識ゼロからの会社設立と。この行動力はなかなか真似できないものだと思いますが、その土台はどういう風につくられたのですか?


「おそらく、『こうなりたい!』という意識が強いんだと思います。いつも夢を見ているんですよ(笑)自分が世界チャンピオンになって、表彰台に立って、シャンパンを飲んでいる姿を想像していました」

― 優勝インタビューの受け応えも全部考えたりしたんですか?


「考えましたね。そうなるために、行動することにためらいはなかったかな。
また、僕は人の影響を受けやすいと思います。高校時代のときに初めて読んだ司馬遼太郎さんの『竜馬がゆく』と、レーシングライダーを描いた小説で映画にもなっている大藪春彦さんの『汚れた英雄』の2作からはとても影響を受けています。なりたい自分になるための方程式が書かれているんですよ」

― 影響を受けやすいのは子どもの頃からなんですか?


「そうかもしれません。小学校の時はナポレオンが好きでした。あと、野球選手とか。憧れましたね。ヒーローが好きでしたよ」

― 本書の後半では岩本さんの仕事観がつづられていますが、岩本さんが考える「成功」とは何だと思いますか?


「これは、なりたい自分になることだと思います。だから、なりたい自分がイメージできなければ成功もないんです。
僕は人材ビジネスをしているので、雇用を増やすということが大きなミッションです。堅実にやっていこうと思ってはいますが、やはり夢は大きく、いずれアジアの中で最大の雇用を創出する企業になりたいです。そしてそのために逆算して何をしていけばいいのかを考えていく、と」

― 常に岩本さんの目は将来の理想の自分に向いているわけですね。


「そうです。勝手にストーリーを描いていて、それもどんどん変わります。でも、最近、一度決めたストーリーを変更しちゃいけないと思っている人が多いですよね。
そんなことはなくて、どんどん変えていいんです。むしろ社会が変われば自分も変わるし、シナリオも変わらないと逆におかしいと思います」

― 先ほど若い方々とお会いすることが多いとおっしゃっていましたが、学生さんに会われることも多いと思います。今の就活生を見ていて思うことはありますか?


「そうだなあ…。良い面もあるし、そもそも僕の若い頃の時代とは違うというのを前提にお話をしていきますが、すごく真面目だなと思います。本当に真摯ですよね。でも、逆に社会の仕組みにのっとって動いているという印象もあります。
学生はある意味、何をしても許されてしまうところがあるじゃないですか。会社員になったら『そりゃお前…』ってこともできてしまうというところでは、もっと色々なことをやればいいのにと思いますね。まあ、僕も社員たちには『ルールには従おう』と呼びかけているけれど(笑)既存のルールが社会と合わなければ、それは壊すべきだろうし、その判断は自分自身ですべきでしょう。
あと、もう少し柔軟性を持つといいかなと思うときがありますね。学生のうちにすでに自分のやることを決めてくる人が多いんですよ」

― 就職活動のときに「自分のやりたいことを探せ」と言われていますからね。


「そうみたいですね。学校とか就活の塾とかでもそんなことを言われて、元からやりたいことがあるならいいけれど、無理やり見つけるのは違う気がします。むしろ何でも試そうと思う柔軟性はあったほうがいいです」

■ アペックス流社員教育&採用方法とは

― 改めて岩本さんの半生は刺激的だと思います。夢に向かって突き進んでいる人には勇気が持てる内容だと思いますし、平凡な毎日を送っている人にとっては新鮮に映るのではないでしょうか。


「でも、実は恥ずかしいんですよ。本当に恥ずかしいことをたくさんしてきましたから。自分の転機は今までを振り返ってみると何回かあって、その中でも大きかったのが経営者になってしばらく経ったあと、景気が悪くなってこのままじゃヤバイということで、ビジネススクールに通った経験ですね。確か30歳手前でした。
僕は高卒で勉強もできないけれど、一応会社の社長ですし、社員もいる。だから、お山の大将みたいになっていたところがあったんです。そして、そのビジネススクールに行って、いかに自分が馬鹿なのかが分かったんですよ。周囲は優秀なビジネスマンで、使っている言葉も違う。そんな中でプレゼンをするわけで、それは恥ずかしかったですね。でも、そこをなんとか乗り越えて、本もたくさん読んで、分からないことはどんどん聞いて、最後には議論ができるようになっていました。だから、あの経験は経営者へのシフトチェンジするための重要な時間でしたね。安全地帯から出ないかぎり、人は成長できないんだと」

― 安全地帯から飛び出すというのは本書の中でも特に重要なことだと感じたのですが、社会人になるといきなり安全地帯から抜け出すということが難しくなるのではないでしょうか。


「もちろん勇気は要りますよ。僕も小心者だからためらいはあったけど、何十万円も払っていたからやるしかない、と思ってやりました。その後も同じような経験をしてきたけれど、結局、自分から手をあげて発言しないと何も始まらないということは分かりましたね」

― オートバイレースもそうだと思いますが、始まったあとにアレコレ考えても仕方なくて、もうやるしかなくなるんですよね。


「そうですよ。特にサーキットは命がけですから。だから開き直りが大切ですよね」

― 本書に書かれている岩本さんの考えを、ご自身の会社であるアペックスの社員の皆さんに根付かせるためにやっていることはありますか?


「まずは同じ言葉を使うようにしています。例えば朝に会議をするときに、若い子がよく『ちょっとまだ完成してないんですけど』と言いながら資料を配るんですけど、そうすると僕が『完璧な資料じゃなければ見たくないよ』って突っ込むんです。結局、完成していないって、ミスや不備がありますよって言っているのと同じですよね。だから、『その気持ちは分かるけれど、クセになるから言わない方がいいよ』と言って例え話を交えながらアドバイスします。
こんな具合にNGワードを指摘し合う文化をつくったり、あとは読書会を開いていますね。僕が独断と偏見で読んで欲しい本を決めて、みんなで読んでもらって感想文を書いてもらい、何人かのグループでディスカッションをし合うとか」

― アペックスの採用について書いているところで、採用は恋愛結婚と同じとおっしゃっていますが、岩本さんの好みのタイプを教えていただけますか?


「これはどんな女性が好きかを答えるのと一緒なんですが、素直な子ですね。素直で好奇心がある子が好きです。実は成功している人に共通している部分の一つがこれなんです。成功者ってすぐ他の成功者のやり方をすぐ真似するんですよ。成功まで最短で辿りつきたいから。自分のやり方に固執するのではなく、素直に他の人のやり方を受け入れて真似をするというのができちゃうんです。そういう人の意見を聞き入れる素直さは欲しいですね」

― 『考え方を変えれば人生が変わる』をどんな方に読んで欲しいとお考えですか?


「書き始めの頃は働いている方々全般をイメージしていたのですが、だんだんと若い子にイメージが寄っていきました。夢を持って頑張ったけれど上手くいかなかった人たちや、どうしていいのか分からなくなっている人たちに、一歩踏み出せよと背中を後押しするような感じで書いたので、そういった人たちに特に読んで欲しいですね」

― 最後に、インタビューの読者の皆様にメッセージをお願いします


「人生における成功と失敗の差ってすごくシンプルで、上手くいってない状態でもそこから好転させるコツがあるんですよ。それを知ると、すごくスムーズに事が運んでいきます。
この本にはそのコツを詰め込んでいるので、読んでもらって、それを実践していただければ嬉しいですね。すごくシンプルで普遍的なことなので、人生の方向性に悩んでいる人がいましたら、是非それをお伝えたいしたいです」